マンションの相続税とは?計算方法と適用される控除について解説

マンション相続税の算出式

資産を相続する際には、相続税という税金を支払わなければなりません。これは現金から不動産まで幅広く対象となっており、マンションを譲り受ける場合も相続税が課税されます。

マンションの相続税は状況によって金額が異なるため、相続する予定があるならあらかじめ税額を計算しておくことが大切です。事前に相続税を計算し、少しでも税負担を抑える方法を把握して、スムーズに相続を行いましょう。

マンション相続税は以下のように算出されます。

相続税=(①相続税評価額-②控除額)×③税率

相続税は相続する財産の資産価値に対してそのまま課税されるわけではなく、相続税評価額や控除額、税率を考慮して求められます。

それぞれの概要については、以下になります。

要素概要ご参照
①相続税評価額相続する財産の価値を、国税庁が決めたルールに従って評価した際の金額。計算方法は国税庁の「財産評価基本通達」にまとめられています。相続税評価額の計算方法
②控除額相続税の支払いが免除される額。控除額の範囲内に相続税評価額が収まる場合、相続税が0になることがあります。控除額の計算方法
③税率相続税評価額に応じて課税される税金の割合。相続税評価額が大きいほど税率は高くなります。税率の計算方法

それではまず、①「相続税評価額」の計算方法について見ていきましょう。

①「相続税評価額」の計算方法

相続税評価額は建物部分土地部分の各相続税評価額の合算によって成立します。

相続税評価額=建物部分の相続税評価額+土地部分の相続税評価額

建物土地の評価はまとめて計算すると誤差が出てしまう可能性があるため、別々に計算して最後に足して考えることが大切です。

建物部分と土地部分の計算概要は以下になります。

種類計算方法の概要ご参照
建物部分固定資産税の評価額(=マンション購入価格の70%)

固定資産税の正しい額は納税通知書を参照

建物部分の相続税評価額
土地部分路線価ありの場合路線価×マンション全体の面積×自分の持ち分割合

路線価なしの場合固定資産税の評価額×財産評価基準書に定められている税率×自分の持ち分割合

土地部分の相続税評価額

路線価とは、取引の目安や税金の計算のために使用される、国税庁によって定められた公的な価格を指します。路線価が設定されているかは、国税庁ホームページの「路線価図」で確認できます。

それでは、それぞれの計算方法を詳細に見ていきましょう。

1.建物部分

まずは建物部分の相続税評価額を調べましょう。

建物部分の相続税評価額は、固定資産税の評価額と同じです。

固定資産税の評価額の計算方法は複雑なため、正確に算出することは難しいですが、購入価格の70%で計算するとある程度の金額は算出できます。

建物部分の相続税評価額=固定資産税の評価額(≒購入価格の70%)

また、正確な固定資産税の評価額は納税通知書に記載されているので、手元にある場合は納税通知書を確認することが最も確実です。

2.土地部分の価値

土地部分の価値を調べる方法は2つあり、路線価が定められているかどうかで異なります。

それぞれの計算式は以下になりますので、各式における要素の定義まで確認してみましょう。

①路線価が定められている場合
土地部分の相続税評価額=路線価×マンション全体の面積(専有部+共有部)×自分の持ち分割合

▼各要素の定義

要素概要
路線価取引の目安や税金の計算のために使用される、国税庁によって定められた公的な価格を指します。土地には定価が存在しないため、基準価格を公的に設定することで、その土地の価値を見積れるようになっています。路線価が設定されているかは、国税庁ホームページの「路線価図」で確認できます。
マンション全体の面積マンションにおける専有部共有部を指します。マンションの1室を購入している場合は、自分の部屋が専有部分で、廊下やエントランスなどが共用部分となります。
自分の持ち分割合マンション全体の面積において自分が専有している面積を指します。持ち分割合は部屋の面積に応じて設定されており、登記事項証明書に掲載されているので確認してみましょう。
②路線価が定められていない場合
土地部分の相続税評価額=固定資産税の評価額×財産評価基準書に定められている税率×自分の持ち分割合

▼各要素の定義

要素概要
財産評価基準書相続税を計算する際の基準となる路線価、倍率、各種割合、地区区分等などを記載したもので、毎年国税庁によって更新されています。財産評価基準に定められている税率は地域ごとに異なるため、該当する部分の倍率を確認しておきましょう。

マンションにおける相続税評価額の算出例

マンション相続税評価額への理解を深めるために、以下の条件にあてはまるマンションの相続税評価額を求めてみましょう。
  • 固定資産税評価額 : 600万円
  • 路線価/㎡ : 50万円
  • マンション全体の面積 : 1,267㎡
  • 持ち分割合 : 7,426/439,931
相続税評価額を求める式は、
相続税評価額=建物部分の相続税評価額+土地部分の相続税評価額
ですので、「1.建物部分の計算→2.土地部分の計算→3.土地部分と建物部分の合計」の流れにそって算出していきます。
1.建物部分を計算する

建物部分の相続税評価額は、固定資産税の評価額と同額です。上述した条件では固定資産税評価額は600万円なので、建物の相続税評価額は600万円となります。・・・(①)

2.土地部分を計算する
今回は路線価が定められているので以下で計算します。
土地部分の相続税評価額=路線価×マンション全体の面積×自分の持ち分割合 
ここに条件の数値をあてはめると、
土地部分の相続税評価額=50万円×1,267㎡×7,426/439,931=1,070万円

つまり、1,070万円が土地部分の相続税評価額です。・・・(

3.土地部分と建物部分を合算する
最後に、建物部分の相続税評価額()と土地部分の相続税評価額()を合算しマンションの相続税評価額を求めます。
相続税評価額=①600万円②1,070万円1,670万円
つまり、1,670万円がこのマンションの相続税評価額になります。

※マンション評価額の計算方法についてもっと詳しく知りたい方は以下の記事も参照してみましょう。
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②「控除額」の計算方法

マンションの相続では、「基礎控除」「配偶者控除」の2つが適用できます。(対象者と控除額は下表を参照して下さい。)

▼マンション相続で適用できる控除

種類対象者控除額
基礎控除全ての相続者3,000万円+(相続人数×600万円)
配偶者控除被相続者の配偶者「1億6,000万円」または「配偶者の法定相続分相当額」のいずれかを選択

控除によって相続税の支払い額を大幅に抑えられるので、それぞれの内容を理解して利用できるようにしておくことが大切です。

それでは、各控除の詳細と計算方法を順に見ていきましょう。

全ての相続者が受けられる基礎控除

基礎控除相続者全員(配偶者や父母などの直系尊属、兄弟姉妹等)が対象となる控除で、他の控除と併用することも可能です。

基礎控除額の計算式は以下となります。

基礎控除金額=3,000万円+(相続人数×600万円)

基礎控除額は相続人数に600万円を掛け合わせて算出されるため、相続人数が多いほど控除額が大きくなります

▼相続人の数に応じた基礎控除額

相続人の数基礎控除額
1人3,600万円
2人4,200万円
3人4,800万円
4人5,400万円
5人6,000万円

基礎控除額よりも相続評価額が下回る場合は税負担がゼロになるため、積極的に利用していきましょう。

配偶者が受けられる配偶者控除

遺産を相続する配偶者は「配偶者控除」が受けられます。

法定相続人配偶者の法定相続分
配偶者と子供遺産の2分の1
配偶者と親遺産の3分の2

配偶者控除の特例には、控除額を「1億6,000万円」とするか「配偶者の法定相続分相当額」とするかの2種類が存在し、より控除額が大きくなる方を選んで適用させることができます

控除額を「1億6,000万円」とする場合、配偶者が相続する財産の評価額が1億6,000万円までなら税金はかからなくなります。

一方で「配偶者の法定相続分相当額」とする場合、相続財産の評価額が1億6,000万円を超えても、法定相続分の範囲内で相続する場合には税金がかからなくなります。

配偶者の法定相続分相当額とは、民法で定められた、財産を相続する各相続人による取り分の割合を指しています。配偶者の法定相続分は配偶者と誰が相続人になるかによって異なってきます。例えば、相続人が配偶者しかないなら財産全て、配偶者に加えて子供の相続人がいるなら配偶者の法定相続分は財産の1/2です。つまり相続人が増えると、配偶者による法定相続分の割合は減少するように設定されています。(以下の表をご参照)

法定相続人配偶者の法定相続分
配偶者と子供遺産の2分の1
配偶者と親遺産の3分の2
配偶者と兄弟姉妹遺産の4分の3
配偶者のみ遺産の全て

参考:配偶者の法定相続分相当額

控除額の算出例

法定相続人の違いによって相続税控除額がいくらになるかを計算してみましょう。

1)子供2人で相続する場合

子供2人で相続するため、基礎控除のみが適用できます。

基礎控除金額=3,000万円+(相続人の数×600万円)なので、

基礎控除金額=3,000万円+(2人×600万円)=4,200万円

つまり、4,200万円が控除額となります。

1)配偶者と子供2人で相続する場合

相続評価額が1億円のマンションを配偶者と子供2人が相続する場合、①基礎控除額と②配偶者控除額のいずれも適用させることができます。

配偶者控除は「1億6,000万円」と「配偶者控除の法定相続分相当額」にわけられますが、ここでは「配偶者控除の布袋相続分相当額」の計算方法を見ていきます。

また、「基礎控除額」と「配偶者控除額」は別々に求めたほうがわかりやすいので、別々に算出していきましょう。

まず、基礎控除額を求めます。

1.基礎控除額=3,000万円+(3人×600万円)=4,800万円

次に、配偶者控除額の計算対象になる相続税評価額を求めます。相続評価額の1億円から基礎控除額(4,800万円)を差し引いた値が配偶者控除額の計算対象になります。

2.配偶者控除額の計算対象=相続評価総額(1億円)ー基礎控除額(4,800万円)=5,200万円

その後、配偶者の想定相続分に応じて配偶者控除額を計算します。ここでは配偶者は5,200万円の1/2を配偶者控除額とすることができます。

3.配偶者の控除額=5,200万円×1/2=2,600万円

よって控除額合計は4,800万円+2,600万円=7,400万円となります。

※配偶者控除である2,600万円は配偶者のみが控除の対象になります。

③「税率」の計算方法

税率は相続税評価額の金額によって異なり、国税庁によって次のように設定されています。

相続税評価額の金額が大きいほど、高い税率が課せられることになっています。

  • 1,000万円以下:10%
  • 3,000万円以下:15%
  • 5,000万円以下:20%
  • 1億円以下:30%
  • 2億円以下:40%
  • 3億円以下:45%
  • 6億円以下:50%
  • 6億円超 :55%

(参照:相続税評価額の税率

マンションの相続税を減らすための対策方法

基礎控除や配偶者控除を適用することで、相続税が発生する可能性を下げられますが、相続する遺産の内容次第では控除分を超えて課税対象になることもあります。

もし課税対象となる場合でも、節税の方法はあるため、上手に対処して少しでも税負担を抑えることが大切です。

小規模宅地等の特例を適用させる

相続人と被相続にが同居していた場合、つまり遺産を残す人と相続する人が同居していたなら、「小規模宅地等の特例」が適用できる可能性があります。これは相続する土地が330平方メートル以下なら、土地の評価額を80%減額できる制度です。

分かりやすい計算例を挙げるとして、マンション全体の土地が1,000平方メートルで、持ち分割合が100分の1だったとします。この場合は相続する土地は10平方メートルとなるため、小規模宅地等の特例が適用でき、評価額を80%まで引き下げられます。

建物部分に適用できる制度ではありませんが、地価が高い場合には有効であり、土地の価値が高いほど、適用できるかどうかで課税額は大きく違ってくるでしょう。

相続したマンションを売却する

相続したマンションに居住、あるいは単に保有する場合は評価額と税率に応じた相続税がかかりますが、売却する場合は売却価格が時価となります。つまり、現時点でのマンションの価値ではなく、売却価格が評価額となるため、売却価格が現時点の評価額を下回ると、課税対象が縮小されるため相続税が安くなります。

ただし、もし現時点の価値よりも高値で売れると、課税対象が大きくなり、余計に相続税がかかってしまうため注意しなければなりません。あくまで相続時の価値よりも売却価格が低くなることが前提のため、一度価値を計算し、売却する時の価格がそれより低くなりそうか、確認しておく必要があります。

マンションを購入しておく

相続する資産のほとんどが現金になるなら、事前にマンションを購入し、不動産化して相続することで税金を安くできます。現金だとそのままの金額が課税対象となりますが、不動産なら評価額で計算されるため、購入価格よりも課税対象が縮小できます。

例えば1,000万円で購入したマンションは、評価額上は1,000万円を下回るため、その差額分だけ現金で相続するよりもお得になるでしょう。

マンションは建物は50~70%程度、土地は80%程度の評価額になるため、節税効果は高いです。また、購入したマンションを賃貸物件にして相続すると、評価額を30%引き下げることができ、さらにお得になります。

マンションの相続税対策に関する3つの注意点

失敗なく相続税対策を行うには、次の3つの注意点を頭に入れておかなければなりません。

  • 早めに専門家に相談する
  • 相続直前のマンション購入は指摘される可能性あり
  • 相続税の支払いは10カ月以内

相続税のことでトラブルを招いたり、失敗して損をしたりしないためにも、細かいポイントまで正しく理解しておきましょう。

早めに専門家に相談する

相続対策で不動産を購入したり、相続した不動産を売却、賃貸などで活用したりするなら、早めに専門家に相談することが大切です。不動産や相続の手続きは専門知識が必要なことも多く、素人が自己判断で相続や売却、収益化などをやってしまうと失敗することも少なくありません。

不動産会社に相談すると不動産の正しい扱い方を教えてくれたり、相続税対策としておすすめな物件を紹介してくれたりするでしょう。また、売却の際にも助けになってもらうことができ、必要に応じて不動産に造詣のある税理士や弁護士を紹介してくれることもあるため、早めに相談することが大切です。

よい不動産会社を見つけるには一括査定の利用がおすすめ

相続した不動産の売却を考えているなら、信頼できる不動産会社を見つけて、よりよい条件で売ってもらうことが大切です。不動産会社の選定を行うには一括査定の利用がおすすめであり、複数社の査定をまとめて比較することで、取捨選択がしやすいです。

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相続直前のマンション購入は指摘される可能性あり

同じ相続をするなら現金ではなく、マンションなど不動産を購入して相続すると、税金は安く抑えやすいです。しかし、相続直前に不動産を購入するのは注意が必要であり、相続前の時期と購入日があまりにも近いと、税務署からの指摘を受ける場合があります。

税務署からの指摘を受けると、直近で購入した不動産は評価額ではなく時価、つまり購入価格での申告が求められるため、結局現金の相続と同じになってしまいます。

節税のために不動産化するのはおすすめの方法ですが、ぎりぎりになると利用できない可能性があるため、購入するなら早めに動き出しておかなければなりません。

相続税の支払いは10カ月以内

控除や税率などを使って計算した結果、相続税が発生する場合は、相続開始から10カ月以内に支払いをしなければなりません。納付期限を超過してしまうち、延滞課税がかかるため注意が必要です。延滞課税は銀行金利で変動しますが、超過から2カ月までの間は年利3~4%程度、2カ月以降は年利8~9%程度かかります。

また、相続の申告をしなかった場合も罰金が発生するため、これも必ず行わなければなりません。申告期限も相続開始から10カ月以内であり、これを超過するとペナルティが発生します。

税務署に指摘される前に申告した場合は5%、指摘されてから申告した場合は15~20%と罰則は重たいため注意が必要です。

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早めの対策でマンションの相続税を引き下げよう

遺産相続時に課税される相続税は、事前の対処次第で減額したり、非課税にしたりできます。特にマンションは減税制度が適用できる可能性があるため、どれが適用できるか確認しておくことが大切です。

相続税の計算や相続した資産の活用、処分方法などをあらかじめ検討しておき、スムーズかつ損なく相続を行いましょう。


不動産一括査定サイトを使って査定をしたら300万円以上の差も珍しくない

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これだけ査定額に差が出ると、複数の不動産会社に査定を依頼することが、不動産を高く売るために必須だと言えるでしょう。

少しでも不動産売却を検討しているなら、一括査定サイトで自分の不動産がいくらで売れるか調べてみましょう。

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