「相続した土地を3年以内に売却すると節税できるってほんと?」
相続した土地を売却して利益(譲渡所得)が出た場合、『譲渡所得税』と呼ばれる税金が発生します。
譲渡所得税は特例によって節税でき【相続税納税または相続開始から3年以内の売却】であれば「取得費加算の特例」または「相続空き家の3,000万円控除」によって大幅な節税が可能です。
本記事では、相続した土地の売却にかかる税金の仕組みや、【相続税納税または相続開始から3年以内の売却】で使える2つの特例(取得費加算の特例・相続空き家の3,000万円控除)について解説しています。
相続した土地の売却にかかる税金はいくら?特別控除や基本的な節税対策を解説!
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相続した土地を売る場合の税金の仕組み
本章では、相続した土地を売却する場合にかかる税金と、特別控除による節税の仕組みを解説します。
相続した土地を売る場合の課税の仕組み
土地売却にかかる税金は「譲渡所得税」と呼ばれ、「譲渡所得」(=土地の売却益)に税率を掛け合わせて計算します。
【譲渡所得税の計算式】
譲渡所得税 = 譲渡所得×税率
また「譲渡所得」は売却代金から【譲渡費用】(土地の売却にかかった費用)と【取得費】(土地の購入にかかった費用)を差し引いた金額です。譲渡費用には「土地売却時にかかった仲介手数料、解体費用、測量費用」、取得費は「土地購入時にかかった仲介手数料、相続税等」が該当します。
【譲渡所得の計算式】
譲渡所得 = 売却代金 -(譲渡費用 + 取得費)
- 譲渡費用:土地売却時にかかった仲介手数料、解体費用、測量費用etc…
- 取得費:土地の購入価格、購入時の仲介手数料、相続税etc…
なお、相続した土地は購入価格がわかる資料が紛失していることが多く、【取得費】が不明なケースが多々あります。その際、「取得費」を「概算取得費(売却代金×4%)」でに置き換えて計算します。ただし、「概算取得費」は実際の取得費より少額となってしまうので、できるだけ取得費がわかる書類は節税のために見つけるようにしましょう。
また、税率は土地の所有期間で決まります。所有期間が5年未満なら「短期譲渡所得」とされ税率は39.63%、5年超えなら「長期譲渡所得」とされ税率は20.315%です。相続した土地の場合は、被相続人から引き継いだ所有期間を基に税率を決めます。例えば、被相続人が10年所有していた土地を、相続人が3年保有した後で売却する場合は、所有期間は13年で「長期譲渡所得」となります。
【所有期間に応じた税率】
税率 | 所有期間5年以下 (短期譲渡所得) | 所有期間5年超 (長期譲渡所得) |
---|---|---|
所得税率 | 30.63% | 15.315% |
住民税率 | 9% | 5% |
合計税率 | 39.63% | 20.315% |
譲渡所得から控除額を差し引くと節税できる
譲渡所得税は特別控除を利用することで節税できます。特別控除を利用する場合、譲渡所得から控除額を差し引くと課税金額を軽減でき、節税が可能です。
譲渡所得税=(譲渡所得 – 控除額)×税率
売却期限(適用要件) | 種類 | 控除額 |
---|---|---|
相続税納税から3年以内に売却する | 取得費加算の特例 | 相続税額の一部 |
相続開始から3年以内に売却する | 相続空き家の3,000万円控除 | 3,000万円 |



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相続税納税から3年以内に売却するなら【取得費加算の特例】
相続税納税者が【相続税納税】から3年以内に土地を売却する場合、相続税額の一部を取得費に加算できる「取得費加算の特例」を利用できます。相続税額の一部を取得費に加えることで、課税金額となる譲渡所得を軽減できる特例となっています。
控除の仕組み
譲渡所得税
={売却価格-(譲渡費用 + 取得費 + 相続税額の一部)×税率

控除額の計算式
「取得費加算の特例」における控除額の計算式は以下の通りです。
例えば、土地6,000万円と現金6,500万円を相続して相続税を2500万円納めた場合、控除額は1,200万円[2,500万円×(6,000万円÷1億2,500万円]となります。
特例を利用する場合、この土地の購入価格が4,000万円、売却価格が7,000万円、譲渡費用が210万円の場合、控除額を差し引いた譲渡所得は1,590万円(7,000万円 – 210万 – 4,000万円 – 1,200万円)です。ここに税率(20.315%)を掛けて、譲渡所得税は323万円となります。
ただし、特例を利用しなかった場合、譲渡所得はで2,790万円、税金は566万7,885円です。
つまり、取得費加算の特例によって243万7,800円も節税できたことになります。条件によって軽減できる所得税の金額は異なりますが、うまく利用すれば所得税を大幅に軽減できるので積極的に利用しましょう。
特例の適用要件
「取得費加算の特例」における適用要件の詳細は以下の通りです。
【適用要件】
- 相続や遺贈によって財産を取得した者であること
- その財産を取得した者に相続税が課税されていること
- 相続税の申告期限(相続開始から10ヶ月以内)から3年を経過する日までに売却すること
特にポイントになるのは「相続税の申告期限から3年を経過する日までに売却」するということです。
具体的には、【相続開始から3年10か月以内】に売却しないと本特例は適用できないので、注意してください。
相続税の申告期限は相続開始(被相続人が死去した日)から10か月以内であるため、特例の利用するには「相続開始から3年10か月以内」に土地を売却することが必要です。
【特例を受けるための売却期限】
相続開始から3年以内に売却するなら【相続空き家の特例】
「相続空き家の特例」とは、相続した空き家が建っていた土地を売却すると、譲渡所得から最大3,000万円を控除できる特例です。
譲渡所得税
={売却価格-(譲渡費用 + 取得費 – 3,000万円)×税率
被相続人が生前一人で住んでいた家屋が建っていた土地を【相続開始から3年以内に売却すること】が適用要件となっています。
なお、適用要件の詳細は以下のとおりで、全てに該当することが必要です。
【適用要件】
- 相続開始の直前まで被相続人が1人で住んでいたこと
- 被相続人が直前に老人ホームに入所していた場合も含む
- 被相続人から相続した家屋を取り壊した土地の売却であること
- 相続から取り壊し時までに、取り壊した家屋や土地が居住や事業(貸付け等)の用に供されていないこと
- 平成28年4月1日から令和5年12月31日までに売ること
- 相続開始から3年を経過する日の属する12月31日までに売ること
- 売却相手が親子や配偶者など特別な関係にある人(法人含む)でないこと
- 売却価格が1億円以下であること
- 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例や、他の収用に関する特別控除の適用を受けていないこと
参考|国税庁公式「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」
2つの特例は併用できない!
上記で解説した「取得費加算の特例」と「相続空き家の3,000万円控除」は併用できません。
基本的には「相続空き家の3,000万円控除」のほうが「取得費加算の特例」よりも控除額は大きくなります。「取得費加算の特例」の控除額はあくまでの相続税の一部なので、控除額が3,000万円を超えるケースは珍しいためです。
【相続開始から3年以内】で売却する場合、いずれの特例も利用できる可能性があるかもしれません。その場合は控除額がより大きい「相続空き家の特例」を利用することがおススメです。
相続した土地を3年以内に売却して節税しよう!
【相続税納税】または【相続開始】から3年以内に土地を売却する場合、「取得費加算の特例」か「相続空き家の3,000万円控除」が利用できることを解説しました。
ただし、両者は併用不可なので、選べる際は控除額が大きい「相続空き家の3,000万円控除」がおススメです。
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