「不動産の個人売買って何に注意すればいいの?」「個人売買ならではのトラブルって?」
そのような不安を抱いている方、いませんか?
不動産の個人売買は仲介と比較して、手数料がかからず金銭的メリットが大きい取引手法です。
しかし一方で様々なデメリットも存在しており、それに伴う注意点も非常に多い取引であります。
これらの注意点をしっかりと把握した上で取引に臨まなければ、後々大きなトラブルに巻き込まれる可能性もあるため、個人売買取引を行う人は十分に知識を付けておく必要があります。
そこで今回は、不動産の個人売買に焦点を当てて、売主・買主のそれぞれの目線から特に気を付けるべき注意点をご紹介していきたいと思います。
不動産の個人売買は可能?個人売買のリスクや注意について解説!
不動産個人売買での注意点 ~売主編~
まずは、売主の目線で不動産の個人売買における注意点を見ていきましょう。
個人売買において特に準備すべき事が多いのが「売主」です。その為、個人売買を行う売主は覚悟を持って取引に臨まなければなりません。
売主が個人売買で特に注意すべきポイントは以下の3つ。
- 売却価格の設定
- サイトや掲示板を利用した買主探し
- 瑕疵担保責任の理解
これらの項目一つ一つを詳しく説明していきましょう。
注意①:売却価格は相場を元に決定しよう
不動産の個人売買は、物件の売却価格を自分自身で決定する事が出来る、というメリットがあります。
しかし逆に言えば、仲介ではプロが「最も売れやすい値段」を決定してくれる工程を、個人売買では自分自身で行わなければならないという事になります。
ここでなんの根拠もなく適当に売却価格を決めてしまうと、買い手が見つからない、またはとても損をしてしまうといった事態を引き起こしかねません。
そのため、売却価格を決定する際は必ず「相場」を把握したうえで、相場を基準にして検討するようにしましょう。
相場を把握する方法はいくつかありますが、最もお勧めする方法は「一括査定サイト」の活用です。
一括査定サイトとは、築年数や立地など物件の基本的な情報をサイトのフォーマットに入力すると、その情報をみた不動産会社が物件の査定額を提示してくれるというものです。
この一括査定サイトは、無料で利用できるものが多く、不動産会社に足を運ぶ必要もないので非常に簡単且つ効率的に物件のある程度の相場を知る事が出来ます。
中でも特にお勧めするサイトは「すまいステップ」です。
すまいステップとは、全国の不動産会社と提携している一括査定サイトで、無料で活用できます。
また、一度情報を入力すると、同時に最大4社の業者から査定結果を得ることが出来る為、比較してより正確な相場を知る事が出来ます。
その為売却価格を決定する際は、ぜひ活用することをお勧めします。
注意②:サイトや掲示板で買主を探す時は慎重に
一般的に、不動産の個人売買を行う人は親族や親しい友人など、知り合い同士で行う事が多いと思います。その場合、すでに知っている人が取引相手という事になるのでその点ではとても安心して取引を進める事が出来ると思います。
しかし、相手が決まっておらず、インターネット上で取引相手を探す人も中にはいると思います。
インターネット上で取引相手をさがすという事は、全く知らない赤の他人と莫大なお金のやり取りを行うという事になり、中には、そのような状況を利用して詐欺まがいの行為を行う集団もいます。
その為、インターネットを利用して相手を探す人は非常に注意が必要です。
正式なサイトではなく、Twitterなどでやりとりをして取引相手を決めてしまうような事が絶対にやめましょう。
インターネットで取引相手を探す時にオススメをするサイトは以下の3つです。
詳しくはこちらの記事に載っているので、気になった方はぜひチェックしてみてくださいね!
不動産個人売買のオススメサイト4選!サイト利用時の個人売買の流れも解説!
注意③:瑕疵担保責任をしっかりと理解しよう
瑕疵担保責任とは、取引が成立し引き渡しを行った後に、確認していなかった欠陥が見つかた場合に課せられる売主への責任の事です。
この瑕疵担保責任は、何も規定を設けずに契約すると、民法に基づいて「引き渡しから10年後までに隠れた欠陥が発見された場合は、その責任を売主が追わなければならない」とされてしまい、売主にとって非常におおきな負担になってしまいます。
その為、まずは物件にある欠陥は隠さず全て買主に説明する事を徹底しましょう。
また契約をする際は、この瑕疵担保責任について、「責任を負わない」「責任を負うのは引き渡し後の〇か月まで」など、しっかりと規約を設けるようにしましょう。
ここを適当に流し、なんの規約も設けずに契約してしまうと後々大きなトラブルに発展してしまう可能性があります。
売主はそのリスクを背負う側になるので、自分の為にもしっかりと理解し、確認しておきましょう。
不動産の個人売買契約書の作り方を解説!困った時の対処法も学ぼう!
不動産個人売買での注意点 ~買主編~
次にお話するのが「買主」目線での注意点です。
買主は、これから自分自身が利用していく物件を購入するわけですから、特に慎重に取引を進めていく必要があります。
買主が注意すべきポイントは以下の3つ。
- 物件情報の詳細の把握
- 住宅ローン審査に必要な重要事項説明書の準備
- 物件の内覧
これら一つ一つについてみていきましょう。
注意①:物件の情報は細かく把握しておこう
個人売買において物件の情報を提供してくれるのは全て「売主」です。
もちろん、書類等の証明をもとに情報提供をしてくれるはずなので、うその情報などはないと思いますが、自分自身でもその物件について調べる努力をしましょう。
例えば、価格の交渉を行う際、その物件の相場などを調べておくと、相手が提示してきた価格が相場より高いのか低いのか判断する事が出来ますよね。
逆にその情報がなければ、判断材料がなく自分が損をする結果にもなりかねません。
その為、売主から得られる情報にプラスして、自分自身で調べる事が出来る範囲でしっかりと情報の収集を行いましょう。
注意②:住宅ローンの審査には重要事項説明書が必要
不動産を購入する際に、住宅ローンを組む方は多いのではないかと思います。
その際に必ず必要になるのが「重要事項説明書」です。
しかし、この重要事項説明書は、資格を持っていない人には作成する事が出来ず、「宅地建物取引士」の資格を持つ人に依頼するほかありません。
その為、個人売買を行う際には、個人間取引をサポートしてくれる不動産会社を探して、この重要事項説明書を作成してもらう必要があります。
住宅ローンを組まずに取引を行う人には関係のない話かもしれませんが、多くの人に該当するお話だと思うので、しっかりと覚えておきましょう。
注意③:内覧は丁寧に行おう
本来不動産仲介の場合は、プロの業者が内覧を行い物件の欠陥などをしっかりと確認して取引を進めていきます。
しかし個人売買の場合は、売主と買主のみが物件を確認する為、特にこれから自分の所有物になる買主は内覧を丁寧に行う必要があります。
内覧の際に特に注意してみるべきポイントは以下の6点です。
- 水回り
雨漏りやシロアリ被害の有無
- 外装の破損個所
- 日当たりや土地の形状
- 接面道路
- 周辺環境
これらのポイントを押さえて内覧をするとその後の選択に役立てられる事が多いと思います。
ただし、個人的には家の状態を調べる工程は部分的にプロに依頼する事をお勧めします。
物件を購入する前に家の状態を知る事は非常に大切です。しかし、自分自身で全て確認するには限度がある部分もあります。
その為、ホームインスペクションなどの住宅診断サービスを使って、一度見てもらう方法を活用するのもいいと思います。
古い家を売るにはどうすればいい?売却時の税金や節税の特例についても解説
まずは不動産会社からの査定をいけてみるのもありでしょう。
査定に費用は掛かりませんので、その時点で好条件なら仲介での売却。
条件が不満であれば、個人で売却してみるというのも選択肢の一つです。
トラブルを未然に防ぐ施策
ここまでで、それぞれの注意すべきポイントについては理解できたのではないかと思います。
仲介と比較してプロの介入がない分、注意する点も多くトラブルも発生しやすいのがこの個人売買取引です。
しかし、極力トラブルは起こさずに取引を終えたいですよね。
そこで、本章では、トラブルを防ぐために意識しておくべきポイントを3つご紹介します。
これは売主、買主両方に当てはまる事なので、両者がしっかりと把握しておきましょう。
契約書の内容は全て理解してから承諾しよう
不動産の個人売買におけるトラブルのほとんどは「契約書づくり」の段階でうまれます。
契約書は、一度承諾すると簡単には解約できず、文面に記載されている内容は法的拘束力をもちます。
そのため、よくわからない事があるまま契約書にサインをして契約を結んでしまうと、のちのち自分の首を絞める結果になってしまう可能性が大いにあります。
どんなに小さな事でも、もしも疑問があったら必ず調べて理解した上で契約を結びましょう。
契約を結んだあとにどんなに自分の意見を主張しても、契約書に書かれている内容がやはり事実として認められてしまいます。
特に、取引相手が親族など知り合いの場合、こうしたトラブルが関係悪化につながってしまう危険性もあるので、契約書の承諾はとにかく慎重に行うようにしましょう。
困ったら司法書士や行政書士を頼ろう
不動産の個人売買は全て自分で準備などを行う変わりに、手数料などがかからず金銭的なメリットを得られるといった取引です。
しかし、上記でもお話した通り、せっかく金銭面で節約できたにも関わらず、トラブルが起きてしまい出費が増えてしまったとなれば、本末転倒ですよね。
その為、もしも準備を行っている段階で自分でやっては不確実な点が多いと感じたり、素人同士で最後まで取引を進めることに不安を感じたら「司法書士」や「行政書士」などのプロに頼りましょう。
もちろん、仕事として依頼するわけなのでお金はかかりますが、後々のトラブルが起こるリスクなどを考えると活用するのは悪い手段ではないと思います。
例えば、書類の作成のみをサポートしてもらう、土地の調査報告書のみを作ってもらう、など部分的な助けが得られるのがこれらの機関の特徴です。
それぞれの機関によって、サポート内容やお値段も変わってくるので一概に費用などは言えませんが、不動産会社に全てお任せする仲介の手数料よりは圧倒的に安くサポートを受けられるでしょう。
全てを一人でやろうとせずに、困ったらこれらの機関を頼りトラブルのない取引を目指しましょう。
口約束はせず全て書面に起こして記録しよう
不動産の個人売買では「口約束」がトラブルのもとになる場合が非常に多いです。
話し合いの中で決めた事を特に書面に起こさず、口約束としておいておくと、後々トラブルが発生したときにその約束があったことの証明が出来ません。
例えば、瑕疵担保責任について、いつまでの責任を負うのかなどについて口で約束をし、書面に起こさなかった場合、その期間を過ぎた後に買主が責任を求めてきた場合でも売主は否定をすることが出来なくなってしまうのです。
こうしたトラブルは、お互いに悪意がなくても起きてしまいます。
時が経って話した内容の記憶が互いに曖昧になってしまう場合などもあるので、決めた約束は全て契約書に記載して後々確認したいときも文字でしっかりと記述してあるようにしましょう。
これを徹底することによって、トラブルの発生を未然に防ぐ事が出来ると思います。
不動産取引は個人売買より仲介の方がオススメ
個人売買は金銭的なメリットが大きい取引ですが、やはりプロの仲介がない分どうしてもトラブルが発生しやすい取引です。
親族間や知り合い同士などで取引をするから個人売買を選択される方も多いですが、個人的には多少お金がかかっても個人売買より仲介をお勧めします。
本来プロが介入して行う取引を、素人のみでやろうとすると、どれだけ気を付けていても確認不足や認識の不一致などが出てきてしまう事が多いです。
また、こうした大きなお金が動く取引でのトラブルは、その後の関係性にも大きく影響してくる問題になりかねません。
更に、不動産の取引は「法的規則」も絡んできます。
ある程度不動産について分かっていると思っていても、法的な面での知識が抜けているとのちのち多大な損を被る場合もあります。
個人売買で手数料や税金を浮かせることが出来る、というメリットを活用したかったのに、かえって損害を出してしまった、などという事もじつは珍しくないのです。
こうした理由からも、少しお金がかかっても安全且つ正確に取引を進める事が出来、プロからしっかりと知っておくべき知識をレクチャーしてもらえる「不動産仲介」を利用する事をお勧めします。
まとめ
今回は、不動産の個人売買における注意点についてお話してきました。個人売買はメリットが大きい分デメリットもたくさんある取引方法です。
今回お伝えしたポイントを踏まえて、今一度どういった選択をするのか考えてみてください。
その上で個人売買を行うと決断された方は、しっかりと知識を蓄え、時間に余裕をもって取引を行うようにしましょう!