戸建ての売却を検討しているなら、築10年は売り時です。築10年は、建物の価値がまだ半分程度残っている中で売りに出せるので、上手くいけばローンの残債よりも家を売って得た収入の方が高い「アンダーローン」が目指せます。
ただ、いざ売却活動を始めたいと思っても「何から手を付けたら良いかわからない」「売却に失敗して損したらどうしよう」と不安や悩みを抱えている方もいます。
そこでこの記事では、戸建てを売却するときの基礎知識から高く売るためのコツ、注意点などをまとめました。記事に目を通し、売却を成功させるためのノウハウを学びましょう。
【2023年11月更新】家の売却相場はいくら?築年数で価格はいくら下がる?【調べ方を解説】
築10年の戸建ての相場はどれくらい?
首都圏の戸建ての場合、築15年までであれば新築時と同程度の価値があります。
首都圏は土地価格も上昇しており、築5年までであれば、買った価格より高く売れる場合もあります。
築10年であれば新築時と同程度の価値がある
以下は、首都圏の戸建て売却相場の推移です。
築10年であれば新築時とほぼ同じくらいの価値があることがわかります。
築30年を超えると新築時の70%ほどの相場となります。
※参考:新築一戸建て価格は東京カンテイ 「首都圏一戸建て住宅・価格と戸数の動向」(2023年1月31日時点)を、築5年以降の売却相場はレインズ「首都圏中古マンション・中古戸建住宅地域別・築年帯別成約状況【2022年01~03月】」から編集部作成
そもそも、家の売却相場は「建物の価値」と「土地の価値」の合計で決まります。
築年数が経過するほど建物の価値は下がっていきますが、土地の価値は所有期間が経過しても下がらないと言われています。
築10年であれば、建物自体の価値は大きく下がることは少なく、土地の価値も下がらないため、同程度の価値があります。
売却は早期売却がおすすめ
築15年までは新築時と同程度の価値はありますが、基本的に築年数と比例して価値は下がります。
そのため、売却を本格的に検討している方は早期売却をおすすめします。
また、消費者は中古物件より新築物件を求める傾向があります。
古い物件でも良さはありますが、築年数の浅い物件の方が需要があります。
そのため、できれば築年数の浅い段階での売却がおすすめです。
戸建て売却を築10年でするときの基本
まずは、築10年の戸建てを売るときに知っておくべき基礎知識を紹介します。売却活動をはじめる前に理解しておきましょう。
戸建てを売却するためローンは完済
戸建てを売却するときは、残っているローンを完済するのが基本です。なぜなら売却するためには抵当権を抹消しておく必要があるからです。抵当権とは、もしローンを借りている人が住宅ローンを返済できなくなった場合に、融資元である金融機関がローンの対象の不動産を競売にかけられる権利を指します。
抵当権がついた戸建ては、万が一売主がローンを滞納した場合、買主が家を失うことになるため購入希望者にとっては不安材料にしかなりません。そのため、ローンを完済し抵当権を抹消するのが売却を成功させるためのマスト条件と言えます。
もちろんローン返済中でも売却活動は行えます。戸建てを売って得たお金でローンをすべて返済できれば問題ありません。もし、売却代金だけでは残りのローンを返済できない「オーバーローン」になった場合は、不足分を貯金などでまかなうか、金融機関に相談して新たなローンを組むことになります。新しい家を買う予定なら住み替えローン、それ以外は無担保ローンを組むのが一般的です。
戸建ての売却には諸費用がかかる
戸建てを売るときにかかる諸経費についても把握しておきましょう。売却時に必要なおもな諸経費は、以下の5つです。
- 仲介手数料
- 印紙代
- 登記費用(抵当権抹消・司法書士報酬など)
- 引っ越し費用
売却が成立したときの報酬として、仲介手数料を支払います。物件価格が400万円超の場合、上限は「売買価格の3%+6万円+消費税」です。印紙代は、売買契約書に貼る印紙の費用です。印紙の金額は売却額に応じて定められています。登記費用は、抵当権抹消やその他の手続きを依頼した司法書士への報酬を含めた費用などを指します。
新居への引っ越し費用もかかります。もし売却のタイミングと新居への入居のタイミングが合わないときは、仮住まいを用意しないといけません。その場合は、旧居から仮住まいへ、仮住まいから新居へ2回分の引っ越し費用が必要です。
その他、新居に引っ越す際、家具や家電など廃棄物を処分するなら10万から15万円ほど、内覧前にハウスクリーニングを依頼するなら5万から15万円ほどと、必要に応じて費用がかかります。
所有期間が10年超えで譲渡所得税に軽減措置
所有している不動産や株式などを売って得た利益のことを「譲渡所得」と言います。この譲渡所得には所得税や住民税がかかりますが、これらをまとめて「譲渡所得税」と呼んでいます。
戸建てを売却するとき、所有期間の長さと譲渡所得の金額によって税率がかわります。
- 5年以下:39.63%(所得税30%+復興特別所得税0,63%+住民税9%)
- 5年超:20.315%(所得税15%+復興特別所得税0.315%+住民税5%)
- 10年超/6,000万円以下:14.21%(所得税10%+復興特別所得税0.21%+住民税4%)
- 10年超/6,000万円超:20.315%(所得税15%+復興特別所得税0.315%+住民税5%)
詳しくは国税庁『土地や建物を売ったとき』をご覧ください。
10年超所有していた戸建ての譲渡所得が6,000万円以下の部分は、税率が14.21%と大幅に軽減されます。
築10年の戸建てを売却する流れ
基礎知識を身に付けたところで、築10年の戸建てを売るときの流れを確認しておきましょう。大きく分けて売却開始前・活動中・売却決定後の3つに分かれ、期間は3ヶ月から長いときは1年ほどかかるときがあります。
売却開始前
- 事前準備
- 売却までの計画を立てる
- 不動産会社に査定を依頼する
- 不動産会社と媒介契約を結ぶ
まずは、ローンの残債を確認してください。戸建てを売った収益でローン完済が望ましいですが、足りない場合は資金調達が必要になります。次に、売却予定の戸建てがあるエリアの相場を調べます。国土交通省の土地総合情報システムや、不動産流通機構が運営しているレインズ・マーケット・インフォメーションなど、信頼性の高い相場検索ツールを使うとよいです。
事前準備でまとめた情報をもとに、引っ越し時期や住み替えの準備など計画を立てましょう。ローンの残債と相場を加味して、売却価格の目標を設定してください。複数の不動産会社から1社を選ぶときの判断基準にもなります。
ある程度目標を定めたら、不動産会社に査定を依頼しましょう。すまいステップなど一括査定サイトで検索するのがおすすめです。いくつかの不動産会社の中からパートナーを決める基準は、自分が調べた相場と大きくかけ離れていないかです。相場に近い価格の査定額を出した不動産会社の方が、信頼性が高いと判断できます。
信頼できる不動産会社が見つかったら、媒介契約を締結します。媒介契約の種類は、専属専任媒介契約・専任媒介契約・一般媒介契約の3種類です。すべてを一任したいなら、専属専任媒介契約がおすすめです。自分でも知人や知り合いから買主を探すことができそうなら、専任媒介契約を結びましょう。不動産会社も売却活動を行いますが、自分が買主を見つけた場合、取引内容によっては買主と直接契約することができ、不動産会社に報酬を払う必要はありません。
複数の不動産会社に売却活動を依頼したいなら、一般媒介契約になります。ただし、不動産会社としては販売活動しても報酬をもらえる保証がないため、積極的に売却活動をしてもらえない可能性があります。
売却活動
- 売り出し価格を決める
- 購入を検討している人への対応
- 購入希望者と交渉
売り出し価格を決めたら、不動産会社と媒介契約を結びます。売り出し価格が、そのまま成約価格になるとは限りません。ほとんどの購入希望者は値引き交渉を行うため、売り出し価格はやや高めに設定するのが一般的です。損しないためにも不動産会社と相談しながら、慎重に価格を決定してください。
購入を検討している人から不動産会社へ連絡があったら、内覧です。居住中の場合は、売主が内覧に立ち会うのが一般的です。高値で売却できるよう、室内を整理整頓したり、ハウスクリーニングを依頼したりして、よい印象を与える工夫をしてみましょう。
購入希望者が現れた場合、価格や支払い方法、物件の受け渡し時期などを調整します。このとき、値下げ交渉があるケースも少なくありません。必ずしも応じる必要はないため、売主が納得のいく範囲で交渉を進めましょう。
売却決定後
- 売買契約を結ぶ
- 決済・引き渡し
- 確定申告
購入希望者と合意が得られたら、正式に売買契約を結びます。売主と売主及び買主側の仲介業者(仲介業者が1社しか介在しない場合)や、売主と売主側の仲介業者、買主と買主側の仲介業者で(仲介業者が2社介在する場合)集まって行います。買主は手付金として、売却額の5%から10%程度を支払うのが一般的です。また、売主は不動産会社に仲介手数料の50%を先払いするケースがあるので、必要な場合は事前に用意しておきましょう。
買主が残りの代金を売主に支払い、売主は不動産会社に仲介手数料の残金を支払います。売主が買主に鍵を渡すことで引き渡しが完了します。
もし戸建てを売却して譲渡所得が発生した場合は、確定申告が必要です。売却した翌年の申告期間内に所轄の税務署へ申告してください。
築10年の戸建てを売却する6つのコツ
次に、築10年の戸建て売却を成功させる6つのコツを紹介します。
現在の価値を一括査定で調べる
一括査定は1社だけでなく、必ず複数社に依頼しましょう。1社だけでは査定が妥当な価格なのか判断できません。高すぎても売れ残り、安すぎても損するため、正確な査定額を提示してくれる不動産会社を探しましょう。
査定をするときは、すまいステップなど一括査定サイトを利用するのがおすすめです。サイト上で必要な情報を入力するだけで、複数の不動産会社から査定結果を受け取れるので、複数社に1件1件依頼する手間を省けます。
すまいステップの無料査定は物件の種別とエリア、連絡先などを入力するだけで最大4社から査定結果が届くので便利です。
不動産会社は担当との相性まで厳選
戸建てを高く売るためには、不動産会社の担当者との相性も重要です。査定額の高さだけでなく、実績や担当者の対応力も吟味しましょう。信頼できる担当者を厳選するポイントは、以下の3つです。
- 宅地建物取引士の資格を持っている
- 仲介実績が多い担当者
- 対応が丁寧な担当者
不動産の売却には、専門知識が必須です。豊富な知識を持っている証として「宅地建物取引士」の資格があります。この資格がある担当者は、不動産取引の専門家として一定以上の知識を持っていると判断できます。通常、資格保有者は名刺に印刷されているため確認してみましょう。
売却仲介の実績が多い担当者は、売主への的確なアドバイスや対応力の高さを期待できます。ただし、売却にも戸建て・マンション・土地など種類があるため、戸建ての売却経験が豊富な担当者が心強いです。
不動産売却には、聞き慣れない専門用語が飛び交います。難しい言葉や内容を、売主にわかるようにかみ砕いて説明してくれる担当者は、売主に寄り添える担当者と言えます。不動産売却は大きなお金が動きます。売主の疑問に親身に答え、不安を取り除いてくれる担当者を探しましょう。担当者は買主とやりとりする機会も多いので、高い対人力がある人が適任です。
売却期間に余裕がある人は高額売り出しに挑戦
売り出し価格は、売主が自由に決めてよいものです。不動産会社と相談しますが、最終的な決定権は売主にあります。3ヶ月ほどで売ることを想定して適正な価格を決めるのが一般的です。もし売却期間に余裕がある場合は、許容範囲の中で目一杯価格を引き上げたチャレンジ価格を設定してみましょう。築10年以内の戸建ては希少性が高いので、買主に上手くフィットすればそのままの価格で売れることもあります。
売却計画に合わせ、事前にチャレンジ価格で売り出す期間を○ヶ月と決めておき、その期間を過ぎても売れなかった場合は、価格を見直しましょう。
内覧には細心の準備を
購入希望者が内覧するときは、空き家を除き、一般的に売主が立ち会います。どんなところがチェックされるかを事前に把握し、好印象を与えられるように準備しましょう。内覧の際にチェックされるポイントをまとめました。
- 水回りや玄関
- 室内のニオイ
- 室内の傷
- 室内の広さ
- 室内の明るさ
購入希望者は清潔感の有無をチェックします。特に気になる場所は、トイレや風呂などの水回りや玄関です。内覧前に入念に掃除してください。
ニオイは家中に染みついています。長年暮らしていると慣れてしまい気になりませんが、初めて訪れる人はニオイに敏感です。内覧の何日も前から部屋中の窓を開けて換気したり、消臭スプレーを使用したりして、できるだけニオイを逃がしましょう。
壁や床など傷がある場合は、できる限り修理しましょう。ただ、大規模な修繕をする必要はありません。悪い印象をもたれない程度に手を加えましょう。もし簡単な修理で直しきれない場合は、内覧時に購入希望者に説明するようにしてください。傷に気がつかないまま契約してしまい、その後トラブルに発展するケースもあります。
整理整頓してなるべく部屋が広くみえるようにしましょう。押し入れやクローゼットの中もチェックされることも多いため、荷物を詰め込まず、必要ないものは捨てるか、一時的にトランクルームに預けるなど工夫してください。家具の配置を変えてみるのもひとつの手です。
室内が明るく見えるように雨戸やカーテンは必ず開けておきましょう。また、暗くなりがちな部屋だけでなく、室内の電気はすべて点灯して室内を明るく見えるようにしましょう。
免責事項を決め契約不適合責任の負担を軽減
戸建てを売却する際、売主は、売買契約の内容に合った不動産を、買主に引き渡す義務を負います。契約不適合責任とは、買主が購入した不動産などの数量や品質が「契約内容と適合しない」と判断した場合、売主が負う責任のことを指します。
たとえば、契約書に記載がない建物の傷やシロアリ被害、雨漏りなど不具合があった場合、買主は修繕や代金の減額を売主に求めることができたり、契約を解除できたりする権利があります。売主が責任を負わないときは契約解除が可能です。さらには、契約不適合によって生じた損害を売主に請求することもできます。
ただし、買主の権利をどこまで認めるかなど免責事項を事前に契約書に明記し契約を取り交わせば、万が一の事態が起こったときの責任を免れることができます。トラブルを回避するために、住宅の劣化や不具合などの状況を正確に見極め、売主が責任を負う内容や範囲を契約書に記載して、売主と買主が適正に取引できる契約内容にすることを心がけましょう。
確定申告で特例や控除を利用
戸建てを売却したときに受けられる特例や控除は、大きく4つあります。それぞれの内容や適用条件をまとめました。
3,000万円特別控除
これはマイホームの売却なら譲渡所得から3,000万円を差し引ける特例です。物件の所有期間の指定がないため、利用しやすいのが特徴です。適用条件は、下記の4つです。
- 住宅に住まなくなってから3年が経過する日にあたる年の12月31日までに売ること
- 住宅を売る前に、その他の土地活用で利益を得ていないこと
- 売った年の2年以内に3,000万円特別控除を受けていないこと
- 売主と買主が親子など特別な関係にないこと
控除は1人につき最大3,000万円までで、土地や建物の名義が夫婦の共有名義などの場合は、合計6,000万円の控除を受けられます。セカンドハウスや賃貸用マンションなど、マイホーム以外は対象外です。また、住宅ローン控除との併用はできません。
10年超所有軽減税率の特例
売却する戸建ての所有期間が10年を超えている場合、譲渡所得の税率が軽減される特例です。譲渡所得のうち6,000万円以下の部分は税率が14.21%、6,000万円超の部分は税率が20.315%になります。条件を満たせば、3,000万円の特別控除と併用できます。適用条件は、下記の6つです。
- 譲渡した年の1月1日現在でマイホームの所有期間が10年以上であること
- 住宅に住まなくなってから3年が経過する日にあたる年の12月31日までに売ること
- 売主と買主が親子など特別な関係にないこと
- 家屋の解体日から1年以内に譲渡契約を結び、かつ空き家になって3年後の12月31日までに売却すること
- 3,000万円の特別控除以外の特例を使っていないこと
- 過去3年の間に軽減税率の特例を使用していないこと
特定の居住用財産の買換え特例
マイホームを売却して新居に買換える場合、条件を満たせば売却で得た利益に対する税金を繰り延べできるという特例です。繰り延べできる金額は新居の購入金額によって変わります。旧居より新居の方が高額または同額なら、税金の全額を繰り延べでき、新居の方が安いときはその差額に税金がかかります。買換え特例は税金の免除ではなく、あくまで繰り延べという点を理解しておきましょう。
適用条件は、以下のとおりです。
- 令和5年12月31日までに譲渡したものであること
- 住宅を売却した年の1月1日における所有期間および居住期間が10年を超えていること
- 売却の代金が1億円以下であること
- 新居の床面積が50㎡以上、かつ土地面積が500㎡以下であること(マンションの場合は、登記された専有部分の面積のみで判定)
- 買い換えるマイホームが中古住宅である場合は、取得の日以前25年以内に建築されたものであること、または一定の耐震基準を満たすものであること。
居住用財産の買い替えの場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例
住宅の買換で譲渡損失が生じた場合であって、買換資産に係る住宅ローン残高がある場合は、譲渡損失額を所得金額の計算上控除(以降3年間繰越控除できる制度)。
適用条件は、以下のとおりです。
- 令和5年12月31日までの間の居住用財産の譲渡であること
- 譲渡した年の1月1日における所有期間が土地建物とも5年超
- 売主と買主が親子など特別な関係にないこと
- 譲渡した年の前年1月1日から譲渡した年の翌年12月31日までの間に居住用財産を取得すること
- 新居の取得日から翌年12月31日までの間に居住の用に供すること
- 新居の床面積(登記記録の面積)が50㎡以上であること
- 新居を取得した年の年末において買換資産の取得に係る住宅借入金(償還期間10年以上)を有すること
いずれの特例も確定申告が必要です。忘れずに申告してください。
築10年の戸建てを売却する注意点
築10年の戸建てを売るときの注意点をまとめました。売却に失敗しないためにも、目を通しておきましょう。
リフォームをしても損をする可能性
「所有している戸建てを少しでも高く売りたい」「内覧時に好印象を与えたい」と、リフォームを検討している方もいらっしゃるかもしれません。リフォームをすれば確かに見た目や設備が良くなるため魅力的に感じますが、売り出し価格にリフォーム費用を上乗せするとなると、相場よりも高くなりやすく、買い手が付かない可能性があります。せっかくリフォームしても売却できないと意味がありません。
また、中古物件の購入を希望している人の中には安く物件を仕入れて、自分好みにリフォームしたいという人もいます。本当にリフォームが必要かは不動産会社の担当者や専門家に相談してから決めることをおすすめします。
任意売却はできるだけ避ける
ローンの返済が難しくなったとき、「競売」や「自己破産」のほかに、「任意売却」という手があります。任意売却とは、金融機関の合意のもとローンと抵当権を残したままで売却することです。競売にかけると事実が公に知れ渡ることになるため、プライバシーを侵害される可能性がでてきますが、任意売却ならローンを滞納したことを周囲に知られる心配はありません。
ただ、滞納した記録が信用情報機関に残ったままになるため今後の融資が受けにくくなったり、一定の期間を過ぎても任意売却が成立しない場合は競売にかけられたりと、すべてが解決するわけではありません。なるべく避けたい選択肢です。
任意売却をしなくてもローンを返済できる策を考えましょう。たとえば、以下のような例があります。
- 月々の返済額の軽減を金融機関に相談してみる
- リースバックで家を売却し持ち家を手放さない
- 債務整理を行う
- 身内に家の買取やローン返済の立て替えを頼んでみる
ローンの返済が滞った場合もいくつか選択肢があるため、ベストな対処法を検討しましょう。
戸建てを売却しても火災保険は解約されない
所有している戸建てを売っても、かけていた火災保険や地震保険は解約されません。自分で解約手続きを行う必要があります。解約のタイミングは必ず「引き渡し日以降」にしてください。売買契約を締結後、物件の引き渡しまでは早くても約1ヶ月程度かかります。その間、物件が火災や地震、台風などにより被害を受けた場合は、基本的に売主が損害を負担しなければなりません。
また、売買契約が成立しても引き渡し前に物件に損害がでた場合は、買主は代金支払いを拒むことや契約を解除することもできます。そのため、売主は売却で得るはずだった利益を手にできないだけでなく、損害まで負うことになります。引き渡しまでは何があるかわからないため、保険の解約のタイミングは引き渡し日以降に設定しておきましょう。
もし解約時に保険の残存期間が残っている場合は、前払いしている保険金の一部を返金してもらえます。忘れずに手続きしてください。
利益がある売却で確定申告忘れは追加の出費
売却で利益があったのに確定申告をしないということは、脱税にあたる行為です。確定申告は義務なので、放置しておくと無申告加算税や延滞税の支払いを求められる可能性があります。
無申告加算税は、原則として納付すべき税額に対して50万円までは15%、50万円を超える部分は20%の割合に乗じた金額を課せられます。延滞税は、法定納付期限までに税金を全額納付しない場合に課せられる罰金です。納付期限の翌日から納付日までの日数に対して、利息分として延滞税が課せられます。
戸建ての売却時期によっては、確定申告が1年近く先になるため忘れがちですが、無駄な出費をしないように必ず申告しましょう。
築10年の戸建ての相場を調べ、アンダーローンを目指せる売却をしよう
築10年の戸建てを売却するとき、ローンの残債よりも売却額が上回って入れば売却代金でローンを一括返済できます。もし売却額よりもローン残債が上回っている場合は、二重ローンを組むか貯金を崩すなど資金繰りが苦しくなります。売却の成功の鍵は、アンダーローンを目指すことです。この記事を参考に、少しでも高く売る工夫をしましょう。