築20年を超えた戸建ての建物の価値はほとんどゼロになりますが、立地によっては比較的高値で売却できるケースもあります。
ただし、築30年の戸建ては購入需要が大きく減るポイントでもあるため、売り方が非常に重要になります。
この記事では、築30年でも売りやすい戸建ての特徴やスムーズに売るためのポイントを解説しています。
築30年の戸建ては土地の価値だけで売却される
一般的な木造の戸建ては築20年を超えた時点で、「ほとんど建物の価値はない」とされます。
そのため、築30年の戸建ての建物の価値はゼロで、土地の価値のみで取引されます。
築30年戸建て売却のポイント
- 売却価格は土地の価値
- 高く早く売れやすい戸建ては立地と形状が良い
- 「古家付き土地」で売るか「解体」して売るか
売却価格は土地の価値
築30年の戸建ては、土地の価値のみで取引されるため、地価を調べることでおおよその売却価格が分かります。
実際に売却事例を見ながら確認していきましょう。
下の例は、『SUUMO(不動産ポータルサイト)』で掲載されていた群馬県前橋市総社町総社の物件です。
築年数は32年、土地面積349.95㎡、販売価格2,050万円の物件です。
不動産ポータルサイトSUUMOより引用
国土交通相の『土地総合情報システム』では、特定の地域の売買履歴を確認できるため、その地域のおおよその地価を求められます。
同じ地域を検索すると、平米単価4万9千円~5万5千円で取引されていることが分かります。
SUUMOで調べた物件の土地面積に55,200円(この地域の平米単価の一例)を掛け合わせると、1931万円となります。
誤差はあるものの、建物の価値はなく土地の価値のみで売買されているのが分かります。
高く早く売れやすい戸建ては立地と形状が良い
前項で紹介した事例は前橋市の物件でしたが、当然都内の物件はもっと高値で取引されています。
土地の価値は、地域の需要や駅からの距離などの立地や、土地の使い勝手を決める形状の良さで決まります。
立地がいい物件の特徴
- 都心の主要駅に近い
- 通勤・通学の利便性が良い(駅に近い、主要都市へのアクセスがいい路線など)
- 需要のある大型商業施設に近い
- 地域の知名度が高い(人気別荘地、観光地など)
形状がいい物件の特徴
- 四角い形状をしている土地(逆に不整形であるほど価値は下がる)
- 道路に面する間口が広く奥行が広すぎない
築30年の戸建てを売却する方法
築30年の戸建てを売却する方法は、以下の4つあります。
- 古家付き土地として売却する
- 戸建てを解体して更地で売却する
- 不動産会社に買取してもらう
- 空き家バンクを利用する
それぞれ解説していきます。
古家付き土地として売却する
建物に価値がない築30年の戸建ては、「中古住宅」として売りに出すことはせず、価値がある土地をメインに「古家付き土地」として売り出すことが一般的です。
購入者がそのまま住む、又はリフォームを目的としている場合は、古家付き土地として売りに出すと、余計な費用を捻出することなく早期売却が見込めます。
戸建てを解体して更地で売却する
人が住めないほど劣化している(欠陥がある)建物や、極端に住宅需要のない地方では、建物を解体して更地で売却したほうが買主が早く見つかるケースもあります。
売り方の見極めは、地域の需要を熟知した不動産会社と相談しながら慎重に決めるようにしましょう。
解体費用を売却金額で補える補償はないし、更地状態で売れない期間が長引くと固定資産税が高くなってしまうんだ。
不動産会社に買取してもらう
売却しにくい築30年の戸建ては、不動産会社による「買取」を検討してみましょう。
買取とは?
不動産会社に直接戸建てを買い取ってもらう売却方法。一般の買主を探す必要がないため、早く確実に売却できる。買取価格は相場の7~8割程度となる。
買取では、仲介と違って不動産会社が買主となるので、買主を探すための売却活動の必要がなく、早ければ数週間で売却できます。
買取は、築年数が古い戸建てや住宅需要の少ない地域の戸建てを売却する時におすすめの方法です。
空き家バンクを利用する
空き家バンクを利用すれば、所有している空き家の情報を無料で掲載できます。
空き家バンクは費用をかけずに売り出すことができ、空き家を買いたい人にアプローチできることが大きなメリットです。
空き家バンクとは?
各自治体が運営している、空き家を売却したい人と空き家を購入したい人を結びつけるための仲介システムのこと。空き家バンクに登録された物件は、売買はもちろん賃貸や寄付・無償提供されることもある。
空き家バンクを利用すると、買主に対して自治体から助成金が出るなど、売主だけでなく買主にもメリットがあります。
空き家バンクについては以下の記事で詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
築30年の戸建てを売却する5つのポイント
築浅の物件に比べて需要の少ない築30年の戸建ては、考えなしに売り出しても売れる保証はありません。
より確実に、より高く売却する可能性を上げるためには、いくつかのポイントを理解しておく必要があります。
ここからは、築30年の戸建てを売却する際のポイントを紹介していきます。
築30年戸建て売却のポイント
- リフォーム・リノベーションせずに売り出す
- 水回り・外壁などの修繕を行う
- ホームインスペクションを受ける
- 中古住宅の販売が得意な不動産会社を見つける
リフォーム・リノベーションせずに売り出す
築30年の戸建てであれば、耐震基準の問題もなく、十分に住み続けられる建物である場合がほとんどです。
建物の見栄えが悪いからといった理由で安易にリフォームやリノベーションをしないようにしましょう。
築古物件の購入者の多くは、自らリフォームやリノベーションを施そうと考えています。
そうした購入者は、広さや耐久性がある物件をできるだけ安価で取得したいと考えます。
売主がリフォームやリノベーションをすると、買主の理想通りにカスタマイズしにくくなり、また購入価格も高まってしまうため、購入されにくくなるケースがあるのです。
売主がリフォーム・リノベをすると…
- 購入者好みにカスタマイズできない
- 購入価格が高くなるので条件に合わない
↓↓
『購入されにくくなる』
水回り・外壁などの修繕を行う
築30年の戸建てを売却する場合に、安易にリフォームやリノベーションはしてはいけません。
ただし、外壁塗装や内装の張替え、水回りの修繕等を行うと売れやすくなるケースもあります。
築年数の古い戸建ては、内覧の際にイメージダウンしてしまう可能性が高くあります。
広告で使われる写真に比べ、実際に近くで見ないと分からない細かい傷や劣化が多いためです。
中でも、水回りの見た目が与える影響は強く、キッチンや風呂場、トイレを清潔にしておくだけでも購入されやすくなります。
ホームインスペクションを受ける
築30年の戸建てとなれば「この先住んでいけるのか」「購入後に欠陥が見つかるのではないか」といった不安を抱える方も少なくありません。
ホームインスペクションは、プロに住宅の劣化状況や不具合を診断してもらうサービスです。
ホームインスペクションによって住宅性能の現在の状態がわかると、買手は購入を決断しやすくなるため、売却できる可能性が高まります。
中古住宅の販売が得意な不動産会社を見つける
築30年の戸建てを中古住宅として売却したいのなら、中古住宅に強い不動産会社を見つけることが大切です。不動産会社が扱う物件は、戸建てだけでなくマンションや土地、商業用物件もあります。不動産会社ごとに得意としている分野がそれぞれあります。
築30年の戸建てを売却したいのなら、マンションの売却に強い不動産会社よりも戸建てや中古住宅に強い不動産会社に依頼したほうが、より高額で確実に売却できる可能性が高まります。
不動産会社を探すときには、当たりをつけた不動産会社のホームページを確認してみましょう。ホームページには必ず今までの実績が掲載されています。その不動産会社がどのような物件を扱っているのかを確認して、中古住宅の売買の経験が豊富かどうかを確認しましょう。
優良不動産会社を探すならすまいステップ
不動産会社をどのように探したら良いのかわからない場合には、不動産売却の一括査定サイトのすまいステップで査定依頼するといいでしょう。すまいステップとは、全国各地で厳しい基準で厳選した良心的な不動産会社だけと提携している、不動産を売却したい人のための一括査定サイトです。
売却したい物件の最寄りの地域の不動産会社の、良心的で実績豊富なスタッフに出会えます。
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築30年の戸建てを売却するときの注意点
築30年の戸建てを売却するときには、いくつか注意したほうが良い点があります。築30年の戸建て売却に関する2つの注意点について見ていきましょう。
不具合を見過ごすと損害賠償等の責任が発生することがある
外壁塗装や水回りのメンテナンスをしても、築30年の物件ではどんな不具合が隠れているかわかりません。
売主や仲介をした不動産会社も見逃してしまった水漏れや雨漏りが、売却後に発見される場合もあります。
売買契約時には、不具合・欠陥等、買主の不利益となるものを伝える必要があります。
これらを見過ごし、正しく伝えて買主の同意を取れていないと、後に買主が発見した場合に損害賠償等の責任が発生する場合もあります。
こうした、売主が契約時の物件品質等を保証する責任を契約不適合責任といいます。
後に契約不適合責任が発生するリスクを抑えるには、前章で紹介したホームインスペクションを実施した瑕疵保証に加入するといいでしょう。
売却価格が400万円より低いと仲介手数料が割高になる
外壁塗装などの補修をしても、築30年の戸建ての売却価格はかなり安くなります。建物部分の価格はほとんど評価されないので、土地だけの価格となってしまいます。地価の高い地域であれば、築30年の戸建ての売却価格もそこそこの高額になりますが、地価の安い地域ではかなり安い価格になってしまうでしょう。
物件の価格が安ければ安いほど、仲介手数料の割合が増加します。また、400万円以下の物件の場合には現地調査費などの費用を最大18万円まで加算できます。物件価格が安い場合には、仲介手数料の負担が大きくなる点に注意しましょう。
以前は、400万円以下の物件は仲介手数料からの利益がほとんど見込めないことから、不動産会社が仲介を引き受けてくれない事が多くありました。その結果、最大18万円までの現地調査費が認められたという経緯があります。
地方の地価の安い地域では、築30年以上の物件は400万円に満たないこともよくあります。仲介手数料は物件価格が安くても、最大で20万円程度はかかることを考慮しておいたほうが良いでしょう。
まとめ
築30年の戸建ては新耐震基準で建てられていて、耐震性には問題がありません。しっかりとメンテナンスされている住宅であれば、法定耐用年数を過ぎていても、長い期間住み続けられます。
しっかりとリフォームをすればまだまだ住み続けられる住宅が、手頃な価格で手に入るということで、築30年の戸建ての需要は今後も見込めるでしょう。この記事でお伝えした、必要最低限の補修や瑕疵担保保険を付けるなどの工夫をできる範囲で施すことで、築30年の戸建てでも売却価格をより上げることも可能です。
しかし、戸建ての立地や建物の状態によっては中古住宅としての売却が難しい可能性もあります。その場合には、更地にするか古家付土地として売却するしかないでしょう。
築30年を超える戸建てを売却するには、戸建ての状態や、その地域の需要を正しくとらえる必要があります。
素人判断には難しいため、まずは不動産会社の査定を受けてみましょう。
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