相続不動産(自宅などの非事業用資産の場合)の取得費には、以下の費用が含まれます。
相続不動産の取得費に含まれるもの
- 被相続人が購入した際の「購入代金」
- 購入時の「仲介手数料」「登記費用」「不動産取得税」 などの諸費用
- 購入時の「測量費」「解体費」「耐震リフォーム費」
- 取得費加算の特例適用時の「相続税の一部」(相続後3年以内の売却が条件)
取得費が不明な場合、売却価格の5%を概算取得費として計算します。
この記事では相続した不動産の取得費に含まれるものと、計算方法をわかりやすく解説します。
取得費を正しく計算することで譲渡所得を抑え、税負担を軽減できます。証拠となる書類がない場合は税理士に相談しましょう。
相続した不動産の売却にかかる税金を知りたい方は、あわせてこちらもご覧ください。

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相続不動産における取得費の計算方法
相続不動産における取得費とは、被相続人が不動産を取得するのにかかった費用のことです。
その譲渡所得を求めるために必要になるのが取得費です。
※税率は(不動産の所有期間が売却する年の1月1日時点で5年以下なら39.63%を、5年を超えているなら20.315%をかけましょう)
建物の取得費の計算方法
取得費は、建物と土地によって求め方が異なります。
まずは建物の取得費の求め方を確認しましょう。
建物の構造別の耐用年数と償却率は、次の表のとおりです。なお償却率は定額法の場合です。
| 建物の構造 | 耐用年数 | 償却率 |
|---|---|---|
| 鉄骨鉄筋コンクリート造または 鉄筋コンクリート造 | 47年 | 0.022 |
| れんが造、石造またはブロック造 | 38年 | 0.027 |
| 骨格材の肉厚4mm超の金属造 | 34年 | 0.030 |
| 骨格材の肉厚3mm超4mm以下の 金属造 | 27年 | 0.038 |
| 骨格材の肉厚3mm以下の金属造 | 19年 | 0.053 |
| 木造または合成樹脂造 | 22年 | 0.046 |
| 木骨モルタル造 | 20年 | 0.050 |
※主な減価償却資産の耐用年数表をもとに作成。
建物は築年数が経過するほど老朽化していくため、価値も下がっていくことを理解しておきましょう。
土地の取得費の計算方法
土地売却時の取得費の計算方法は以下です。
譲渡所得を求めたら税率を掛けましょう。
取得費が不明の場合は購入価格の5%で計算
被相続人が不動産取得時に支払った各費用が不明なこともあります。
そんなときは、購入価格の5%を取得費として計算してもよいです。
ただし、正確に算出したときよりも差し引き額が少ない場合が多いです。
結果として、譲渡所得税があまり抑えられない場合が多くなることを留意しておきましょう。
取得費不明の場合は、売却金額の5%を取得費とすることができますが、裏を返せば、95%が利益となります。
契約書が見つからないと諦めるのはもったいないです。
明らかに5%よりも高く購入した場合には、購入当時に借り入れている金額があるか、当時相場がいくらだったのかなどを調べることで、その金額を取得費とすることができる場合があります。
相続不動産の取得費に含まれる費用
相続不動産の取得費にはどのような費用が含まれるのでしょうか。
把握していないと取得費を少なく算出してしまい結果的に税額を抑えられず、損をしてしまうこともあるので確認しておきましょう。
- 被相続人の購入費用
- 登記費用
- 測量費
- 印紙税
- 不動産取得税
- 立ち退き費用
- 取壊し費用
- 契約解除違約金
被相続人の購入費用
購入費用とは、被相続人が不動産を購入した費用のことです。
費用が分からない場合は、以下の書類で購入費用を確認できます。
これらの書類を紛失してしまった場合は、不動産会社に連絡しましょう。
- 売買契約書
- 領収書
- 請負工事契約書
登記費用
登記費用とは、相続人がその不動産を相続した際に、所有権移転登記などのために司法書士に支払った報酬や登録免許税のことです。
所有者が亡くなっても自動で登記情報は変更されないため、相続人が変更しなければなりません。
登記変更の手続きは、自分で登記するか司法書士に依頼します。
自分で登記した際の費用はもちろん取得費に含まれますが、司法書士に依頼した場合も含まれます。
測量費
測量費とは、不動産購入時に土地を整地する際にかかった費用のことです。
被相続人が測量費や工事費を支払っていた場合は取得費に含められます。
領収書を保管している場合が多いので確認しておきましょう。
印紙税
印紙税とは、契約書や領収書などの印紙税法で定められた文書を作成する際に収める税金です。
代金で支払うのではなく、「収入印紙」を文書に貼り付けて納めます。
被相続人が不動産購入時に収入印紙を購入して支払った金額を取得費に含められます。
不動産取得税
不動産取得税とは、不動産を取得した際に課せられる税金のことです。
被相続人が不動産購入時に支払った不動産取得税も取得費に含まれます。
立ち退き費用
立ち退き費用とは、賃借人に対して退去を求める場合に賃借人の損害を補填する意味で支払う費用のことです。
相続不動産の場合、被相続人が不動産取得時に当時の賃借人に対して賃貸借契約の解約と立ち退きをしてもらっていた場合の費用が対象となり、取得費に含められます。
取壊し費用
不動産を購入するにあたり、建物を取り壊した場合は取得費に含められます。
ただし、基本的に、購入してから1年以内に取り壊した場合のみ対象です。
契約解除違約金
被相続人が不動産取得時に「ほかの不動産も同時に購入する予定だった」ということもあり得ます。
しかし、不動産の取得にあたって、別の不動産の購入がなくなり、締結していた契約を解除する場合があります。
その際に支払った契約解除違約金は取得費に含められます。
ただし、取得費に含めるためには当時の相手方の領収書が必要ですので注意しましょう。
非事業用資産の場合には、保有期間中の大規模リフォーム費用も、建物に計上できる場合があります。
この場合、リフォームした金額を、リフォーム支出時から売却時までの減価償却費を計算して取得費を計算することになります。
なお、賃貸していた不動産(事業用資産)などは、登記費用、不動産取得税、リフォーム費用は経費計上しているので、売却時の取得費には計上できないので注意してください。

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相続不動産売却時に利用できる特例
相続不動産売却時に利用できる特例を解説します。
上手に利用すれば節税につながるため確認しておきましょう。
取得費加算の特例
取得費加算の特例とは、不動産を相続してから3年10ヶ月以内に売却した場合に、相続税の一部を取得費に含められる特例です。
以下のすべての条件を満たしている場合のみ適用できます。
- 相続または遺贈により財産を取得した人であること
- 相続税が課税されていること
- 相続開始の日から3年10ヶ月以内に売却していること
- 確定申告すること
以上の条件を満たしていることを確認しておきましょう。
相続空き家の3,000万円特別控除
一人暮らしだった被相続人から空き家を相続された相続人がその空き家を売却して得た利益から3,000万円控除できる特例です。
以下のすべての条件を満たしている場合のみ適用できます。
- 被相続人が一人暮らしであること
- 昭和56年5月31日以前に建築された家屋(旧耐震基準)があり、売却後の翌年2月15日までに現行の耐震基準を満たすか、家屋を取り壊した敷地のみであること
- 相続してから売却まで空き家状態であること
- 相続開始日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに譲渡すること
- 譲渡価額が1億円以下であること
空き家を無くす目的で作られた特例のため、被相続人に同居人がおらず、一人暮らしであることが条件です。
また、昭和56年5月31日以前に建築された家屋(区分所有建物でないこと)が、売却時には原則として建物を取り壊すか現行の耐震基準を満たす改修が必要です。ただし、買主が譲渡後の翌年2月15日までにこれらの対応を行う場合も、一定の要件下で特例の対象となります。
なお、 この特例は時限措置であり、令和5年度税制改正により、適用期限が令和9年12月31日まで延長されています。
相続税の取得費加算と、空き家の3,000万円特別控除は選択適用です。どちらも要件を満たす場合には、有利な方を選択する必要があります。
なお、空き家の3,000万円控除は、複数の相続人が取得して売却すると、1人あたり3,000万円控除が適用できます。
ただし、相続人が3人以上の場合は、1人あたり2,000万円までの控除になります。
参考:『国税庁 No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例』2025年12月
費用総額シミュレーターで売却にかかる費用を算出してみよう
以下の費用シミュレーターを使って、あなたの不動産を売ったときにかかる費用を算出してみましょう!
「売却価格」「購入価格」「物件の所有期間」「現在住宅として住んでいるか」をそれぞれ入力し、「費用を算出する」ボタンを押すと、売却時にかかる費用が自動で算出されます。
※購入価格が分からない場合は空欄で大丈夫です。
費用の内訳も表示されますので、まずはどんな費用がいくらかかるのかを把握しておきましょう。
まとめ
相続不動産売却の取得費について解説しました。
取得費をしっかりと理解することで譲渡所得を抑えられ、節税につながります。
取得費に含まれる費用はいくつかあるため、見落とす可能性が高く注意が必要です。
また、相続不動産を売却する際の特例もあるため、上手く利用して節税しましょう。
不動産の売却は非常に高額な取引のため、しっかりと手続きの流れを把握して損をしない売却をしましょう。
相続した不動産を売却する場合には、税金が大きくなる可能性があります。
譲渡税を抑えるためには取得費を正確に把握し、特例を適切に活用することです。
特例は要件が厳格で、税務手続きも複雑なため、早めに税理士などの専門家に相談し、損をしない売却をすることをおすすめします。

- 監修渡邊 浩滋
- 大学在学中に司法書士、卒業後に税理士の資格を取得。総合商社法務部、資産税専門の税理士法人勤務を経て、2011年に独立。実家のアパート経営を立て直した経験を基に、税理士と大家の複眼的な視点で賃貸経営をサポートする。2018年より、大家さん専門税理士の全国ネットワーク「Knees bee」代表。執筆・講演実績も多数。
- 【保有資格】税理士・宅建士・司法書士・FP
- 【URL】Knees bee 税理士法人








