【専門家監修】不動産売却コラム|すまいステップ公式

住み替えでダブルローンを利用するには?他のローンとの違いは?

  • 更新日:2025年10月14日
山田 幸平

公認会計士

税理士

監修者山田 幸平

所属:LR会計 代表

住み替えでダブルローンを利用するには?他のローンとの違いは?

ダブルローンとは、2つのローンを同時に利用することを指します。

住宅ローンだけでなく、車のローンや教育ローンなども含まれますが、今回は「持ち家のローンを支払いながら、新居の住宅ローンを借りるケース」を指してダブルローンと呼びます。

住み替えの際にダブルローンを利用すれば、新居を購入しながら、売却前の家に住み続けることが可能になります。

しかし、2つのローンを並行して支払うため、家計の負担が増え、売却が長引くと資金計画に大きな影響を与えるリスクもあるため、慎重な判断が必要です。

本記事では、ダブルローンの仕組みやメリット・デメリット、利用すべきかの判断ポイントについて詳しく解説します。

無理のない住み替えを実現するために、ダブルローンが自分に適しているかをしっかり考えましょう!

住み替えの手順や基礎知識を知りたい方は、あわせてこちらもご覧ください。

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もくじ

ダブルローンで住み替えを行うには

今住んでいる家のローンを払いつつ、さらに住み替え先のローン融資を受ける。
ダブルローンは、月々の返済額が大きくなってしまう利用者の負担もありますが、金融機関側も確実に完済してもらえるか不安があります。

そのため住み替え時のダブルローンは通常よりも審査を厳しくしています。

下記は、通常の住宅ローンを組む際に基準となる項目の一例です。

  • 年齢制限
  • 勤務先
  • 勤続年数
  • 年収
  • 過去の返済状況
  • 現在の借入状況
  • 健康状態

車のローンやカードローンなど、調べられる限りの債務返済状況と、借入状況なども確認されます。

年収や完済時の年齢、2つのローンを支払ったときの返済比率などを考慮しながら審査が行われるため、最初の家の購入時より審査の条件は厳しくなることがほとんどです。

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通常の住み替えではく、『セカンドハウス』の購入が目的であれば、金融機関のセカンドハウスローンを使うことができるよ!
一般的な住宅ローンと条件があまり変わらず、フラット35も使えるんだ!

「ダブルローン」とは?他のローンとの違い

住み替えを考え始めたものの、「ダブルローン」「住み替えローン」「つなぎ融資」など、様々な言葉を目にして混乱してしまう方も多いのではないでしょうか。

特に「買い先行」で住み替えを進める場合、どのローンを選ぶかが計画の成否を分けます。まずは、それぞれのローンの仕組みと違いを正確に理解しましょう。

住み替えにおける「ダブルローン」の仕組み

ダブルローンとは、その名の通り「2本の住宅ローンを同時に契約・返済する」状態を指します。

ダブルローンの図

具体的には、現在のお住まいの住宅ローン(旧居ローン)の返済を続けながら、新たに購入する新居の住宅ローン(新居ローン)の返済もスタートする仕組みです。一定期間、2つのローン返済が重なるため「二重ローン」とも呼ばれます

この状態は、旧居が売却できるまでの間に発生します。旧居の売却が完了し、その売却代金で旧居ローンを完済すれば、新居のローン返済のみに切り替わります。

【比較】「住み替えローン」「つなぎ融資」との違い

ダブルローンは、住み替えで利用できるローンの選択肢の一つに過ぎません。資金計画によっては、「住み替えローン」や「つなぎ融資」が適している場合もあります。それぞれの特徴を比較してみましょう。

【住み替えローンとは?】

旧居のローン残債と、新居の購入資金をひとつにまとめて借り換えるローンです

住み替えローンの図

旧居の売却価格がローン残債を下回ってしまう「売却損」が出た場合に、その赤字分も新しい住宅ローンに上乗せして借り入れできるのが特徴です。

【つなぎ融資とは?】

新居の購入代金を支払うタイミングで、旧居の売却代金がまだ手元にない場合に、その購入資金を一時的に立て替えてくれる短期のローンです。

つなぎ融資の図

旧居の売却代金が入金されたら、そのお金でつなぎ融資を一括返済します。あくまで「つなぎ」のため、住宅ローン本体とは別に契約します。

これら3つのローンの違いを、以下の表にまとめました。

ダブルローン住み替えローンつなぎ融資
目的2つのローンを並行返済2つの資金を一本化
新居購入資金の一時的な立替え
主な利用シーン買い先行で、資金に余裕がある場合買い先行/売り先行問わず、売却損が出る場合
買い先行で、旧居の売却益が見込める場合
金利通常の住宅ローン金利比較的高め比較的高め
審査のポイント二重返済に耐える高い返済能力新ローン総額に見合う返済能力
確実な売却見込み
メリット理想の家をじっくり探せる売却損をカバーできる
売却を焦らずに進められる
デメリット二重返済の負担が大きい、審査が最も厳しい借入額が膨らみやすい
取扱金融機関が少ない、手数料がかかる

ダブルローンの審査は厳しい!金融機関が見る3つの条件

前述の通り、ダブルローンは金融機関にとって貸し倒れリスクが高い商品と見なされるため、審査は他のローンに比べて格段に厳しくなります。

金融機関が特に重視するのは、以下の3つのポイントです。

条件1:二重返済に耐えられる返済能力(返済負担率)

最も重要なのが、2本のローン合計額を無理なく返済し続けられるかという点です。金融機関は、年収に占めるすべてのローン返済額の割合を示す「返済負担率」を基準に審査します。

ダブルローンの場合、この返済負担率は「旧居ローン」と「新居ローン」の月々の返済額を合算して計算されます。

例えば、年収800万円の人が、月々10万円の旧居ローンに加え、月々15万円の新居ローンを組むとします。

  • 年間の合計返済額: (10万円 + 15万円) × 12ヶ月 = 300万円
  • 返済負担率: 300万円 ÷ 800万円 = 37.5%

一般的に、金融機関が審査で許容する返済負担率は30%~35%が上限とされるため、このケースでは審査を通過するのは非常に難しいでしょう。高い年収があることはもちろん、他の借り入れがないことも重要な条件となります。

条件2:旧居の確実な売却見込み

金融機関は「二重返済の期間がいつまで続くのか」を非常に気にします。そのため、旧居が「いつ」「いくらで」売れる見込みなのかを厳しくチェックします。

審査の際には、不動産会社が作成した売却査定書の提出を求められるのが一般的です。査定価格の信頼性を担保するため、複数の会社から査定書を取得しておくのが望ましいでしょう。

特に、「査定価格で旧居のローン残債を全額返済できるか」は重要なポイントです。ローン残債を大幅に上回る価格での売却が見込めるなど、売却計画の確実性が高いほど、審査では有利に働きます。

条件3:十分な自己資金・資産

万が一、旧居の売却が想定より長引いたり、査定価格より低い金額でしか売れなかったりした場合のリスクに備え、申込人に十分な自己資金があるかも審査されます。

具体的には、以下の点をカバーできるだけの預貯金や資産が求められます。

  • 二重返済期間中のローン返済額と生活費
  • 新居の購入にかかる諸費用(登記費用、仲介手数料など)
  • 旧居の売却にかかる諸費用(仲介手数料、印紙代など)

潤沢な自己資金があることは、不測の事態にも対応できる返済能力の証明となり、金融機関からの信頼を得るための重要な要素です。

ダブルローンで住み替えするメリット

ダブルローンと聞くと支払いが大変だと感じる人がほとんどではないでしょうか。ここでは、住み替えダブルローンにはどのようなメリットがあるかを見てみましょう。

1.住宅の売りと買いのタイミング合わせが要らない

売却が決まってから新居の購入を行えば、複数のローンを同時に支払うこともなく、心理的負担も少なくなるでしょう。

しかし、必ずしも家がスムーズに売却できるとは限りません。新居が見つかっても、家が売れないというケースもあります。

二重でのローンの支払いが負担にならないなら、家の売却の時期に関係なく、見つけた家をすぐに購入できます

それぞれのタイミングを調整する必要がないので、スムーズに手続きが進められるというメリットがあります。

また、見つけた家を旧居が売れないために諦めるということも避けられます。

2.仮住まいしなくていい

家の売却と購入を同時に進める場合、すぐに買主が現れる場合があります。

この場合、買い手が決まると、引き渡しの期限には、家を出なくてはなりません。そのため、仮住まいを用意して引っ越しする必要があります。

仮住まいには家賃がかかりますし、旧居から仮住まい、仮住まいから新居へと2度の引っ越し費用がかかります。

ダブルローンなら先に新居が決まっているので、引っ越しも新居が決まり次第できます。そのため、仮住まいや余計な引っ越し費用が発生しないというメリットがあります。

3.空き家になってから売却できる

家の購入者は、購入を決める前に内覧を行います。

居住中に内覧を行う場合、日程の調整を行ったり、部屋を掃除したりと内覧前に準備が必要です。

また、あまり人に見られたくない収納庫の中や寝室などもすみずみまで見られるのでストレスを感じる人も少なくありません。

それに対して、引っ越しが済んでからであれば空き家の状態で内覧が行えます。空き家になっていると、日程の調整も必要ありません。

また、内覧を行う人も住んでいる人に遠慮しながら見学しなくてすむので、気が済むまでゆっくりと内覧が行えます。

4.新居へ速やかに住み替えができる

旧居の売却と新居の購入を同時に行っている場合、売却と購入のタイミングを合わせるため、引っ越しのスケジュールがタイトになり慌ただしくなる場合があります。

しかし、すでに新居が購入できていると、好きな時期に引っ越しが可能です。先に新居を確保できるので、引っ越しの準備や手続きも余裕を持って行えます。

5.内覧に手間がかからない

一般的に、売却を目的に引っ越しを行うときには退去の際に部屋をきれいに清掃します。この清掃は業者にも依頼できます。

そして、引っ越し後は清掃されて人が住んでいない状態なので、きれいに保たれており内覧前に掃除の必要がありません

居住中に内覧を行う場合には、内覧が予定されるたびに掃除が必要ですが、退去後だとこれがないので手間がかからず売却活動が進められます。

ダブルローンで住み替えするデメリット

新旧の借入額を合わせると返済金額が大きくなり、審査に通りにくいというデメリットがあります。ダブルローンを利用するときには、このようなデメリットをしっかりと理解した上で利用を検討しましょう。

1.ローン審査が通りにくい

ローンを二重で支払う場合には、その支払いが可能かどうかの審査が行われます。

すでに支払い中のローンの残額も考慮して審査が行われるため、支払い中の住宅ローンと新たな住宅ローンを払い続けられるだけの年収があるかを見ています。

2度目の住宅の購入の際には、年齢が上がっているぶん、返済期間が短くなり、月々の返済額が大きくなる可能性があります。そして、その額を制限された年齢までに完済できるかも見ています。

このように、融資を受ける条件は1回目の住宅ローンを組んだときよりも厳しくなり、審査に通りにくくなります

2.ローンの負担が大きい

住宅ローンが2つに増えると、支払いも2つに増えます。これは、旧居が売れない限り2つのローンの支払いが続きます。このように支払いが大きな負担になるというデメリットがあります。

短期間の支払いであれば、たとえ2倍の支払いになっても事前にある程度準備していれば対応できるでしょう。

しかし、家はいつ売却できるかはわかりません。条件によっては、半年以上売却できない場合もあります。長期間売却ができないと、支払いが難しくなり家計にも影響を与えかねません。

二重にローンを組む場合には、売却の予定が立っている場合や、資金的に余裕がある場合など、二重に支払いを行っても余裕を持って生活できるかの確認が必要です。

ダブルローンの利用シーンと危険なケース

ダブルローンを使用するのは、どのようなときなのでしょうか。ここでは、ダブルローンが使用されるケースを見てみましょう。

ダブルローンの利用シーン

1.買い先行で進めている場合

家はとても高額でじっくりと気に入ったものを選びたいと考える人がほとんどでしょう。

住み替えローンの場合、売却と購入の決済を同時に行う必要があり、時間をかけて物件を探せないというデメリットがあります。

また、早く新居に早く引っ越しがしたい人の場合には、新居を先に探します。

そのため、早く新しい家に引っ越したい人や、気に入った家を確実に手に入れたい場合には、先に購入して後から売却という形になります。

このように買い先行になる場合には、売却は後になるためダブルローンを利用することになります

2.セカンドハウスを購入する場合

自身が居住する住居とは別にセカンドハウスを購入したり、親族が居住するための家を購入する際にもダブルローンが利用されます。

この場合、自身が居住するための家は必要なので、引き続き住宅ローンの支払いが続きます。そして、新たに購入した家の住宅ローンの支払いも必要です。

このように2つの住宅ローンを組む必要があるときにもダブルローンが利用できます

すまリス
セカンドハウスは、保養・休養のために利用する別荘とは違い、あくまでも生活の拠点となる2つ目の家のこと!
「毎月1日以上居住する」など、セカンドハウスと認められるには条件も…

ダブルローンの利用が危険なケース

1.十分な貯蓄・資産がない/売却価格でローンが賄えない

ダブルローンでの住み替えは、今のマイホームを売却する前に行動できる点が大きな利点です。
逆を言えば、今のマイホームがいくらで売却できるかわからない状態でローンを組むことになります。

思ったより安い価格で売れてしまうと、先のローンを完済することができず今後の生活を圧迫することとなります。

貯蓄や資産がある場合はそちらで賄うことができますが、そうでない場合は家を売り、ローンを完済してから新たに新居を購入する方が安全です。

2.今後大きく収入が上がる見込みがない

今の家を売却することを前提としていたとしても、家がすぐに売却できる確証はありません。
又、家を売らずに残しておくことを考えている方もいらっしゃるでしょう。

いずれの場合も、一時的に月々の返済額が膨らむためその期間の家計を圧迫します。
貯蓄もなく、生活を圧迫することになった場合、そこから回復を図るのはなかなか難しいことです。

中にはカードローンなどで急場をしのぐ人も現れるでしょう。

例えば、出世や副業での収入増が見込める場合は希望が持てますが、そうでないとリスクは高まります。

3.他のローンを隠してダブルローンを借りる

審査の際には、他のローン状況も見られます。

金融機関側が調査するので早々起こりえないですが、万が一他にローン(借入)があることを伏せたままダブルローンをしてしまうととても危険です。

万が一融資後に発覚した場合は、一括返済を迫られる場合もあるのです。

ダブルローンで住み替える注意点

ダブルローンの利用時には、注意すべき点がいつくかあります。ここでは、ダブルローンを組んだ後に困らないように事前に注意点を確認しましょう。

新居の住宅ローン控除と旧居の売却

住宅ローンを利用してマイホームを取得した多くの方が活用する住宅ローン控除は、年末のローン残高の原則0.7%が税金から控除される制度です。この控除の基本条件は、新しく取得した家に自ら居住していることです。

そのため、「旧居の売却が終わっていないと、新居で住宅ローン控除は受けられない」と一概には言えません

原則として旧居の売却状況自体は新居の控除適用を直接妨げませんが、旧居売却時に特定の税制特例(例:買換え特例や、3,000万円控除と新居居住開始時期が重なる場合など)を利用すると、新居の住宅ローン控除が制限されることがあるため注意が必要です。

余裕がない場合は『住み替えローン』の方が安全

住み替えを行うときには2章で紹介した「住み替えローン」を利用してみてはいかがでしょうか。

住み替えローンは、売るタイミングと買うタイミングが同じなので、売却時に住宅ローンが完済できなくても残額を新居の住宅ローンに上乗せして支払いできる方法です

この方法だと、二重にローンを支払うよりも負担が少なくできる可能性があります。

購入と売却のタイミングを合わせなければならないというデメリットはありますが、支払いの負担を軽減できるメリットがあります。

ダブルローンで住み替えをする前に査定をしよう

住み替えを検討するときには、まず、居住中の物件がどれくらいで売却できるかの確認が必要です。

どれくらいの金額かを確認することで、住み替え先の物件を探すときの参考にもできますし、事前に資金計画が立てられます。

ダブルローンの場合には、返済金額に無理があると家計にも影響し、生活しづらくなる可能性があります。

家の価格を調べるときには、一括査定が便利です。無料で利用できるサイトがたくさんあるので利用してみるとよいでしょう。

「すまいステップ」なら無料で査定が依頼できます。一括で最大4社まで同時に依頼できるので、査定結果を比較して、自身の家の売却に合った不動産会社が選べます

査定結果を比較することで、おおよその価格がわかるのでダブルローンを検討する際に利用できます。

無料で気軽に利用できる「すまいステップ」を利用して、住み替えを成功させましょう。

山田 幸平
監修山田 幸平
慶應義塾大学経済学部在学中に公認会計士第二次試験に合格。大手監査法人の金融部や会計コンサル会社にて会計監査・IPO・M&Aなどを担当。現在はLR会計の代表を務める。
【保有資格】公認会計士、税理士
【URL】LR会計
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