50代になり老後が近づいてくると
- 子供も家を出たしなんだか家が広く感じるな
- 理想の老後生活のためにバリアフリーが進んだ家に住み替えをしようかな
- でも住み替えってどんなトラブルがあるんだろう・・・
というようなことを考え始めるかと思います。
しかし、正しい知識を持たずにただなんとなく住み替えをすると多額の二重ローンに追われてかえって自分の首を絞めることになってしまいます。この記事では理想の老後生活のために住み替えのタイミングから夫婦におすすめの間取りまで余すことなく情報を網羅してますので安心して読み進めてください。
老後の住み替えベストタイミングを知ろう
老後は長いので、どのタイミングで住み替えを行うかを決めておくと、今後スムーズに事を運ぶことができるでしょう。
ここでは、他の方がどのようなタイミングで住み替えを行っているかを参考にベストタイミングを探っていきましょう。
子供が独立したタイミング
子供が独立し夫婦2人となった場合に住み替えを決意する方は多いようです。
SUUMOの実施した調査(住み替えを行った103名を対象。平均年齢は63.4歳)では、住み替えのきっかけで最も多い答えとなったのは『子供が独立して夫婦2人となったから』でした。
子供が独立すると、どうしても部屋を持て余してしまいます。
こういったタイミングでは、スケールダウンした分譲マンションなどの購入が考えられますね。
定年退職のタイミング
老後の住み替えとなると、誰もがまず検討するのが定年退職後のタイミングです。
仕事との兼ね合いを考慮する必要がなくなるので、より理想の地域へ引っ越しをすることができますね。
定年退職後に住み替えを行う利点としては、退職金を住み替え時の住宅ローンに充てることができるからです。
というのも、ほとんどの金融機関で「ローンの申し込みは70歳まで、返済は80歳まで」という期限が設定されているからです。
退職金を住宅ローンに充てない場合は、親子2代となって払っていく必要もありますので、理想の地域への引っ越しが現実的でなくなります。
仕事場に近くて済めればいいけど、すまない家のローンは厳しいよね。
家の老朽化したタイミング
家の老朽化をきっかけに住み替えを行う方は『子どもの独立』きっかけに次いで2位となりました。(SUUMO調査より)
日本では新築思考が強いため、築年が20年を超えてくると住み替えの需要もぐっと高まります。
持ち家に備わっている設備(洗面台やキッチン、給湯器や冷暖房設備など)も20年を超えると耐用年数をオーバーしてくることが考えられます。
- お風呂 20~30年
- キッチン 10~20年
- 給湯器 10年~15年
- エアコン 10年
老後の住み替え先はマンションと一戸建てどっちがいい?
今の家からマンションに住み替えるか、それとも戸建てに住み替えるかという選択は今後の人生を大きく左右します。双方のメリットデメリットを比較してどちらに住み替えるのがいいのか考えましょう。
マンションに住み替えるメリット・デメリット
ではまずはじめにマンションに住み替えるメリット・デメリットを見ていきましょう。
内容 | 詳細 |
---|---|
セキュリティー面 | 管理人や守衛がいるため、安全である。また戸締りも簡単である。 |
バリアフリー面 | 専有部や共有部ともに段差が少なかったり、階段の上り下りの必要がない |
費用面 | 管理費や修繕積立金、駐車場などの固定費用がかかる。 |
ルール面 | マンション独自のルールやペットが飼えないといった制約がある |
マンションに住み替える最大のメリットとしてはセキュリティー面で安心であるという点とバリアフリー化がなされているマンションが多いということです。老後は1階から2階への階段の移動だけでも非常に大変になったり、段差が多いとつまずいて怪我につながるということがありますがマンションであれば問題ありません。しかし、上述したランニングコストはかかってしまったり、マンション独自のルールがあるといったデメリットも挙げられます。
一戸建てに住み替えるメリット・デメリット
次に戸建てに住み替えるメリット・デメリットを見ていきましょう。
内容 | 詳細 |
---|---|
セキュリティー面 | 開口が多く、自分で防犯をしなければならない。 |
バリアフリー面 | 2階建ての場合、階段の上り下りが大変。庭がある場合手入れをしなければならない。 |
費用面 | ランニングコストがかからない。また建物が老朽化してもそのまま土地という資産として残せる。 |
ルール面 | 自分の好きなように建て替えや増改築ができたり、家庭菜園などができる。 |
戸建てに住み替える最大のメリットはルールなどの縛りがなく、プライバシーがより保てるうえ上下の階を気にする必要がないといった点です。また、建物が老朽化しても土地という資産として残せるという大きなメリットがあります。しかし、防犯面であったりバリアフリーの観点からすると戸建てはデメリットが多いです。
マンションと一戸建てどっちがいい?
老後どのような人生を送りたいか、何に重きを置いているかによってどちらが良いか変わってくるので一概にはマンションと戸建てどっちがいいとは言い切れません。しかし、老後は体が今のようには自由が利かなくなったり、防犯をしっかりしてほしいという観点からするとマンションのほうがおすすめといえます。また、以下の表をご覧ください。
こちらは高齢になったときに安心して暮らせるには何が必要だと思うかをアンケート調査した結果です。こちらからもわかるように、バリアフリー化が進んだ住居のほうが安心して暮らせると考えられていることからも住み替えはバリアフリー化が進んだマンションがおすすめです。
マンションから一戸建てに住み替えるメリット 住み替えで後悔しないためのポイント
なお、不動産ポータルサイトSUUMO「シニアの住み替えポイント10」によると、住み替え前後で一戸建ての割合が減少し反対にマンションの割合が増加しているため、一戸建てからマンションに住み替えた人が多いと想像できます。
バリアフリー化が進んだシニア向けマンションについてはこちらの記事が参考になります
「間取り」で選ぶ住み替え先
マンションに住んでも戸建てに住んでも間取りがめちゃくちゃであっては意味がありません。ここでは老後、足腰が弱くなっても過ごしやすい家の間取りを紹介します。引用:takekari
ポイント➀広い廊下
通常の家は部屋を広くするために廊下は狭い作りになっています。しかし、この間取りでは廊下を90cmと大幅に広くすることにより車いす(幅約70cm)でもスムーズに移動を行うことができます。
ポイント➁広いトイレ
年を取るとトイレひとつでも非常に負担のかかる行為になります。ですから、広めに設計することで車いすでの乗り入れもでき将来介護ヘルパーの方にきてもらっても狭くない広さとなっています。水回りはリフォームの際に非常に費用が掛かる場所ですから、設計の際からきちんと考えて設計する必要があります。
ポイント➂すべて引き戸の設計
スペースを有効活用するためにこの家はすべて引き戸になっています。車いすでもドアの開け閉めが容易となっています。
また、総務省が「平成25年住宅・土地統計調査」で発表している「65歳以上の世帯員がいる世帯における高齢者のための設備等のある住宅の割合(住宅の建築時期)」を参考に上位にある設備に関しても検討してみるとよいでしょう。(表は平成23年~25年9月時点)
設備 | 割合 |
---|---|
手すりがある | 80.1% |
段差のない屋内 | 63.7% |
またぎやすい高さの浴槽 | 55.9% |
道路から玄関まで車いすで通行可能 | 45.8% |
「立地」で選ぶ住み替え先
マンションにせよ一戸建てにせよ、老後を見越して生活面に影響を及ぼす立地を重視する必要があります。
以下は、実際に住み替えを完了させたシニアが住居購入の際にどこを重視したかのアンケートです。これを見ると、1位の価格はもちろんですが、2位の日当たり・3位の最寄駅からの時間の二つは特に注目すべき点です。定年後は日中家にいる時間が自然と多くなるため、日当たりが良いのかどうかは、内見時に確かめておきたいポイントです。
また、若いころとくらべて身体面の負荷が大きくなり徒歩での移動が難しくなるため、交通の便は意識しておきましょう。
(引用:不動産ポータルサイトSUUMO「シニアの住み替えポイント10」)
また、老後に何かと頼ることになる、子世帯との住宅の距離も住み替えの際は意識しておくといいでしょう。
以下は、「高齢期における子との住まい方の意向」に関する統計です。これを見ると、年々子世帯と同居する高齢者は減ってきた一方で、子世帯と近い距離に住む「近居」を選ぶ人が増えました。
ここでいう近居とは、「片道1時間未満の場所に住む」程度の距離感です。
(参考:国土交通省「住生活総合調査」(平成25年、平成20年)、「住宅需要実態調査」(平成15年以前))
無理ない住み替え予算計画を立てよう
50代~60代での住み替えは無理のない予算計画を立てることが重要です。この章ではどのような手順で予算を組めばいいかをご紹介します。
予算の立て方STEP➀今後の人生をイメージする
予算を立てる前にはまずすべきことがこの「今後の人生をイメージする」ということです。
具体的には「どこに誰と住みたいのか?」「それは都心なのか?郊外なのか?自然の中なのか?子供の近くなのか?」といった具合です。
仮にあなたが現在の家を子供の通学の都合で選んだとするのならば、そのことはもう考えなくてもいいのです。また、50代、60代で住み替えですと、通勤については優先順位を下げて考えてみてもいいかもしれません。
それより、定年後やリタイヤ後のことを念頭に置いて住み替えをすると良いでしょう。
実際に住み替えを行いたい場所が決まったら、実際にその場所に足を運んでみて、住宅の価格や物価をチェックするのもいいでしょう。
予算の立て方STEP➁今の家を売って手元に残る資金を計算する
住み替えを行いたい場所がイメージできたら、次は手元に残る資金を計算しましょう。今の家が「いくらで売れる」のかだけではなく「いくら手元に残るか」を計算しましょう。
- 家を手放して残る金額
- 無理なく拠出できる自己資本金
- 余裕をもって返済できる住宅ローン借入額
この三つを把握しておきましょう。
以下の費用シミュレーターを使って、あなたの不動産を売ったときにかかる費用を算出してみましょう!
「売却価格」「購入価格」「物件の所有期間」「現在住宅として住んでいるか」をそれぞれ入力し、「費用を算出する」ボタンを押すと、売却時にかかる費用が自動で算出されます。
※購入価格が分からない場合は空欄で大丈夫です。
費用の内訳も表示されますので、まずはどんな費用がいくらかかるのかを把握しておきましょう。
予算の立て方STEP➂新しい家の予算を立てる
上記の➀~➂の金額を算出できたら

老後に住み替えをする注意点
ここまで住み替えに関する基礎的なことを説明してきましたが、次に50代で住み替えをするにあたっての注意点を2点ご紹介いたします。
ローンを増やしすぎないようにしよう
一般的に金融機関の返済年齢制限は70歳から75歳となっています。つまり、50代でも1000万程度の年収がある方であれば6000万~7000万の住宅ローンを借り入れることができます。しかし、借入過ぎには注意が必要です。多すぎる住宅ローンは老後の生活を必ずと言っていいほど圧迫してきます。また、退職金を当てにして多額なローンを借り入れる方もいますが退職金は老後の生活資金として残しておくことをお勧めします。定年前までに返済を終えられるように余裕をもってローンを借り入れましょう。
実際に、50代の世帯主が住み替えを希望していても実現困難な理由上位にあげた、理由のうち最も多かったのが資金の不足によるものです。
特に、「預貯金や返済能力の不足、またはその可能性がある」、「勤務年数などの理由で融資が受けられない、または額が少ない」、「現在の住宅・宅地の売却がうまくいかない」などの
返済が難しいという理由で住み替えをやめてしまう方もいます。
ましてや、60代になってしまうとさらに住宅ローンの返済が課題となって住み替えが出来なくなってしまうため、定年までの勤務年数が5年以上ある50代の段階で住み替えを行うことをおすすめします。
資金の不足 | 33.00% |
物件の不足 | 27.60% |
情報等の不足 | 25.40% |
※複数理由から選択(参考:国土交通省「平成25年住生活総合調査」)
しっかりと老後を見据えて住み替えをしよう
理想の老後のために住み替えを検討するのはもちろん必要なことですが、上述したようなローンで苦しめられては元も子もありません。ですので、住み替えはある種のリスクをはらんでいるということを念頭に置いてどんな老後の生活を送りたいのか、どのような家に住みたいのかをしっかりと考え直したうえで住み替えをしましょう。
実際に住み替えを完了させたシニアの約半数は、頭金は貯金から調達しており、ここからもローンの返済額を減らしたり、返済期間を短くするなどの工夫をしていることが分かります。
(参考:不動産ポータルサイトSUUMO「シニアの住み替えポイント10」)
よくある質問
では最後によくある質問を2点ほど紹介いたします。ぜひ参考にしてみてください。

こちらは何を基準に街を選ぶかというアンケートであり、多くの方はアクセスの良さと治安の良さを非常に重視していることが分かります。
また以下のランキングは50代に聞いた住みたいまちランキングです。上記のアンケートと以下のランキングを照らし合わせ、ご自身の最も住みやすい街を見つけてみてください。
ランク | 駅名 |
---|---|
1位 | 横浜(神奈川県) |
2位 | 吉祥寺(東京都) |
3位 | 鎌倉(神奈川県) |
4位 | 恵比寿(東京都) |
5位 | 大宮(埼玉県) |
6位 | 自由が丘(東京都) |
7位 | 品川(東京都) |
8位 | 浦和(埼玉県) |
9位 | 二子玉川(東京都) |
引用:ライフルホームズ
まとめ
いかがでしたでしょうか。初めての住み替えをする方はまずは「売り先行」でご自身の物件がいくらくらいで売れるか知ることから始めましょう。
おすすめは不動産一括査定サイトを用いて査定額を知ることです。そのなかでも不動産一括査定サイトの「すまいステップ」なら無料かつ匿名、さらに簡単に査定額を知ることができます。
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