「家の所有者が亡くなって、家の名義変更しなければいけないけれど、どうしたらいい?」
遺産相続で家を取得するために、名義変更をしたい方で、こんなことに悩まれている場合もあると思います。
家の所有者が死亡して、遺産相続で家を取得する場合、相続人が名義変更手続きを行う必要があります。
これを怠ると、将来的に売却や活用ができなくなったり、相続人がさらに増えて手続きが複雑になるリスクがあります。
この記事では、家の所有者が亡くなった場合の名義変更の手続きの流れと注意点や費用などについて、徹底的に解説していきます。
この記事を読んで、家の名義変更をミスなくスムーズに準備できるようになりましょう。



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家の所有者が死亡後に名義変更する場合の手続きの流れと注意点
【はじめに】相続登記は義務!
家の所有者が亡くなった後の名義変更は、2024年4月1日から法律上の義務となりました。原則として、相続の開始を知った日から3年以内に手続きをしないと、10万円以下の過料が科される可能性があります。この点を念頭に置き、以下の流れで手続きを進めましょう。
家の所有者が死亡した後に、名義を変更する手続きの流れは、以下の通りです。
- 家の登記事項証明書を確認する
- 遺言書があるか確認する
- 相続人を確定する
- 遺産分割協議をする
- 家の名義変更に必要な書類を集める
- 登記申請書を作成する
- 法務局に申請をする
- 登記識別情報通知を受け取る
これらの7つのステップについて、詳しく解説していきます。
家の登記事項証明書を確認する
まず、相続する家の「登記事項証明書」を取得して、家の所有権を確認しましょう。
被相続人が、家の所有権を持っていなければ、そもそも名義変更ができないからです。
家の権利関係と地番を正確に確認できる書類です。
【注意点】
登記事項証明書を確認する際は、以下の3点に特に注意してください。
①本当の所有者は誰か?
故人単独の名義だと思っていたら、実は配偶者との共有名義だった、あるいは何代も前から名義変更されておらず祖父母の名義のままだったというケースは少なくありません。
②不動産に漏れはないか?
家(建物)だけでなく、その土地、私道、ゴミ置き場の共有持分など、課税対象の不動産がすべて含まれているか確認します。市区町村から送られてくる「固定資産税の納税通知書」と照らし合わせると、所有不動産の漏れを防げます。
③不要な登記が残っていないか?
何十年も前に完済したはずの住宅ローンの「抵当権」が、登記上残ったままになっていることがあります。この場合、名義変更の前提として、抵当権の抹消手続きが必要です。
登記事項証明書は、全国の法務局・支所・出張所またはインターネットで申請できます。
また、以下の「登記情報提供サービス」で、不動産の登記事項を確認できます。
引用:登記情報提供サービスHP(2025年7月8日閲覧)
遺言書があるか確認する
遺言書の有無を確認しましょう。
遺言書の有無で、家の名義人の決め方や家の名義変更の手順が大きく変わるからです。
被相続人が生前に作成した被相続人の家を引き継ぐ割合などを示した書類のことです。
【注意点】
遺言書の種類によって扱いが全く異なります。
- 自筆証書遺言(自分で書いた遺言書):見つけた場合、絶対に勝手に開封してはいけません。家庭裁判所に提出し、「検認」という手続きを受ける必要があります。
(※自筆証書遺言であっても、法務局で預かる制度(自筆証書遺言保管制度)を利用した場合には検認は不要です。) - 公正証書遺言(公証役場で作成した遺言書):検認は不要で、そのまま相続手続きに使用できます。
遺言書が無い場合、または遺言書で家の相続について触れられていない場合は、次のステップである「法定相続人」全員で遺産分割協議をする必要があります。
被相続人の遺産をどのように相続してどのように分割するのかを法定相続人で話し合って決めることです。
法定相続人を確定する
遺言書に家の相続について記載がない場合、相続人を決めるために、法定相続人が誰かなのかを調べて、法定相続人を確定させる必要があります。
実際に被相続人の家を相続する人です。
民法で定められた被相続人の家を相続する権利を持つ人です。
【注意点】
相続人を正確に確定させるためには、被相続人の「出生から死亡まで」の連続した戸籍謄本(除籍謄本、改製原戸籍謄本)がすべて必要になります。
これにより、前の配偶者との間の子や、認知した子など、現在の家族が把握していない相続人の存在が判明することがあります。相続人が一人でも漏れていると、後の遺産分割協議は無効になってしまうため、非常に重要な作業です。
この戸籍収集は、法務局の「法定相続情報証明制度」を利用すると、後の手続きで戸籍一式の提出が不要になる「法定相続情報一覧図」の交付を受けられるため便利です。(法務局「法定相続情報証明制度の具体的な手続について」)
法定相続人には、被相続人の家を相続する優先順位があります。
基本的に、被相続人の血族が法定相続人になりますが、「被相続人に近い人」の優先順位が高いです。
優先順位は、配偶者、第一順位、第二順位、第三順位となります。
家の相続開始時に法律婚をしている配偶者が存在していれば、配偶者が相続人になります。
遺産分割協議をして名義人を決める
遺言書に家の相続について記載がない場合、法定相続人全員で遺産分割協議を行い、家の相続人を決めましょう。
名義人は、相続人の中から決めます。
【注意点】
協議は法定相続人全員の参加が絶対条件です。一人でも欠席したり、後から相続人が見つかったりした場合、その協議は無効となります。
話し合いで決まった内容は、必ず「遺産分割協議書」という書面にまとめ、相続人全員が署名し、実印を押印してください。口約束は後のトラブルの原因になります。
遺産の分割方法には、主に以下の4つがあります。
- 現物分割
- 換価分割
- 代償分割
- 共有分割
遺産分割協議で、被相続人の家を誰がどのように相続してどのように分割するのかを決めた後、遺産分割協議書を作成しましょう。
家の所有者が死亡した後に家の名義変更を行う際、法定相続人全員の同意と署名捺印がされた遺産分割協議書を準備する必要があるからです。
死亡した方の財産について、法定相続人全員で分割方法や相続の内容を話し合った結果を書面にまとめたものです。
現物分割にした場合
被相続人の家をそのままの状態で、相続人の誰か1人が相続する分割方法です。
現物分割の場合、相続人が1人のため、単独名義になります。遺産分割協議で確定した家の相続人を家の名義人にしてください。
【注意点】
最もシンプルですが、家を相続した人とそうでない人の間で不公平感が生まれやすいです。預貯金など他の財産でバランスを取る配慮が大切です。
換価分割にした場合
被相続人の家を売却して現金化し、得られた売却額を相続人の間で分割する方法です。
被相続人の家の相続人のうち1人を名義人として名義変更する方法です。
被相続人の家の相続人全員を名義人として名義変更する方法です。
代償分割にした場合
被相続人の家を法定相続人の誰かが相続する代わりに他の相続人に代償金を支払う分割方法です。
代償分割の場合、通常、相続人が1人のため、単独名義になります。遺産分割協議で確定した家の相続人を家の名義人にしてください。
【注意点】
家を相続する人に、代償金を支払うだけの資力が必要です。
共有分割にした場合
被相続人の家の全てまたは一部をそのままの状態で、複数の相続人で共有する分割方法です。
家の名義変更に必要な書類を集める
家の名義変更に必要な書類を市区町役場などで集めましょう。
家の所有者が死亡した場合の名義変更に必要な書類は、遺言書の有無、遺産分割をするか、二次相続するかなどケースによって異なります。
【注意点】
登録免許税の計算に使う「固定資産評価証明書」は、申請する年度の最新のものが必要です。証明書の年度は毎年4月1日に切り替わるため、3月以前に取得したものは4月以降の申請では使えなくなるので注意しましょう。
被相続人の戸籍一式を集めるのには、本籍地の変更が多いと数週間かかることもあります。早めに着手するのがポイントです。
登記申請書を作成する
相続人が決まったら、法務局のホームページで書式をダウンロードして、「登記申請書」を作成しましょう。
【注意点】
申請書の「不動産の表示」欄は、登記事項証明書に書かれている通り、一字一句間違えずに記載してください。「一丁目1番1号」と「一丁目1-1」は法務局では別物として扱われ、少しでも違うと訂正(補正)を求められます。
申請書の作成に不安がある場合や、平日に時間が取れない、相続関係が複雑な場合は、司法書士への依頼がおすすめです。必要書類の収集から申請まで一任できます。
以下の場合、司法書士に依頼することをおすすめします。
- 平日に法務局や市区町村役場に行く時間が無い
- 法定相続人の数が多い
- 数次相続が発生して権利関係が複雑になっている
法務局に申請をする
登記申請書と添付書類を相続する家の所在地を管轄する法務局・支局・出張所のいずれかに提出して、申請をしましょう。
管轄の法務局は、法務局のホームページまたは最寄りの登記所に電話で確認できます。
【注意点】
申請先は、「不動産の所在地を管轄する法務局」です。どの法務局でも良いわけではありません。
書類に不備があった場合に備え、申請書には日中に必ず連絡が取れる電話番号を記載しておきましょう。
登記申請書の提出方法は、以下の3つから選択しましょう。
- 法務局の窓口で直接提出する
- 申請書を郵送する
- オンラインで申請する
登記識別情報通知を受け取る
法務局で手続きが完了すると、「登記識別情報通知」が発行されます。
家の権利証で、家の売却時に必要な書類です。
【注意点】
この通知書は、従来の「権利証」に代わる非常に重要な書類で、再発行は絶対にされません。通知書の下部にはパスワード(登記識別情報)が記載され、目隠しシールが貼られています。将来、家を売却する際などに必要になるので、このシールは剥がさずに大切に保管してください。
相続対象となる不動産に漏れはないかの確認は必ずしてください。
私道や墓地は、固定資産税が非課税となることがあるため、課税明細書に記載されないことがあります。
また、土地の課税標準額が30万円未満のものは免税点(課税されない基準)となり、課税明細書に記載されないことがあります。
これらの不動産は名寄帳を見ることで確認できます。遺産分割協議の対象から漏れやすいので気を付けてください。
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家の所有者が死亡後に名義変更する場合必要な書類
家の所有者が死亡して名義変更をする際に、必要な書類があります。
本章では、以下の4つに分けて解説していきます。
- 被相続人に関する書類
- 被相続人の書類が揃えられない場合用意すべき書類
- 相続人に関する書類
- 遺言書がない場合に作成すべき書類
被相続人に関する書類
被相続人に関する書類は、以下の3つを準備しましょう。
- 被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本(除籍謄本・改製原戸籍)
- 遺言書
戸籍謄本や除籍謄本・改製原戸籍などは、本籍地のある市区町村役場の窓口または郵送で取得できます。
被相続人の書類が揃えられない場合用意すべき書類
役所の保管期間が経過して戸籍が廃棄されているなど、どうしても書類を揃えられない場合、以下の4つの書類を準備すれば、申請できます。
- 不在籍証明書
- 不在住証明書
- 登記済権利証
- 上申書
上記の書類で、戸籍や住所のつながりが書類で確認できなくても、名義変更ができます。
相続人に関する書類
相続人に関する書類は、以下の5つを準備しましょう。
- 登記事項証明書
- 相続人の住民票
- 相続人全員の戸籍謄本
- 固定資産税納税通知書
- 相続登記申請書
戸籍謄本の原本の返却を希望する場合、相続関係説明図も準備する必要があります。
また、遺言書がある場合、死亡した家の所有者の住所を管轄する家庭裁判所から、検認調書または検認済証明書を取得してください。
遺言書の内容を明確にし、偽装を防ぐためです。
ただし、公正証書遺言や自筆証書遺言のうち法務局で預かる制度(自筆証書遺言保管制度)を利用したものは、検認は不要です。
遺言書が無い場合に作成すべき書類
相続する際、家の所有者の遺言書が無い場合に作成すべき書類は、以下の2つになります。
- 遺産分割協議書
- 相続人全員の印鑑証明
遺言書が無い場合で、法定相続分ではない分け方で相続する際に「遺産分割協議書」が必要なので、早めに作成しましょう。
※森司法書士事務所HPより、遺産分割協議書のサンプルを引用
遺産分割協議書は、正式な書式の指定はありません。自分で作成するのが難しい場合、税理士などの専門家に相談してください。
また、遺産分割協議書に署名押印する各相続人の印鑑証明書も必要です。印鑑証明書は、各市区町村役場で取得できます。
被相続人の戸籍は生まれたときのものから死亡までが繋がっていることが必要です。本籍が移転されると、繋がっているかの確認が大事になります。
とくにコンピュータ化される前の戸籍は手書きになっていて、素人ではなかなか読み解けないことがあります。
不安であれば司法書士などの専門家に戸籍の収集から確認をお願いするとよいでしょう。
家の所有者が死亡後に名義変更する場合にかかる費用
家の所有者が死亡して、名義変更をする際にかかる費用があります。
本章では、以下の4つに分けて、解説していきます。
- 必要な書類の取得費用
- 相続登記の登録免許税
- 相続税
- 司法書士への依頼費用
必要な書類の取得費用
家の名義変更に必要な書類を取得するため際に、手数料がかかります。
各市区町村役場によって金額が、多少異なりますが、1通数百円程度です。
以下が、一般的な必要な書類の取得費用になります。
必要な書類 | 費用 |
---|---|
住民票 | 1通300円 |
固定資産税評価証明書 | 1通300円 |
登記事項証明書 | 1通600円 |
印鑑証明書 | 1通300円 |
登録免許税
家の名義を変更する際、「所有権移転登記(相続登記)」という手続きを行います。その際に、「登録免許税」が課せられます。
相続登記における登録免許税は、以下の計算式で算出されます。
=固定資産税評価額 ×0.4%
2027年3月31日までの間は、一定の場合の相続登記の免税措置があります。
例えば、以下の条件を満たす場合には、登録免許税が免税となります。
<現在の免税措置の主な条件>
- 相続によって土地を取得したこと(建物のみの相続は対象外)。
- その土地の不動産価額(固定資産税評価額)が100万円以下であること。
この特例措置の適用期限は、現在のところ2027年3月31日までです。(参考:法務局「相続登記の登録免許税の免税措置について(2024年4月1日)」)
ご自身のケースが対象になるか詳しくは、法務局または司法書士にご確認ください。
相続税
相続税とは、相続する家の総額が基礎控除額を超えた場合にかかる税金です。
相続税は、「相続税評価額」をもとに算出します。
場合によっては、相続税がかからないことがあります。
相続財産が基礎控除以下によって相続税がかからない場合、相続税の申告が不要です。
(※配偶者の税額軽減や小規模宅地の減額の特例を適用することで相続税がかからない場合には、相続税の申告が必要になります。)
司法書士への依頼費用
司法書士に名義変更(相続登記)の手続きを依頼した場合、実費に加えて報酬を払う必要があります。
報酬に関しては、司法書士がそれぞれ決定しています。
日本司法書士会連合会が2024年に実施した「報酬アンケート結果」 によると、5万円~8万円が相場になるそうです。(参考:報酬アンケート結果(2024年(令和6年)3月実施))
配偶者に相続させる場合に、配偶者の税額軽減という特例によって、1億6,000万円まで(法定相続分が1億6,000万円以上であれば、法定相続分まで)は相続税がかかりません。
しかし、配偶者に相続があった場合(二次相続といいます)の相続税を考えなければなりません。二次相続で大きく相続税がかかることが非常に多いのです。
目先だけではなく、次の相続も視野に入れて遺産分割をするようにしましょう。
家の所有者が死亡後に名義変更する場合にかかる期間
家の所有者が死亡した後、家の名義変更にかかる期間は、1か月程度です。
法務局に家の名義変更を申請後、審査に通常1~2週間程度かかります。
提出書類に不備があった場合、修正や再提出が必要となり、追加で時間がかかってしまいます。
例えば、家の名義変更後に売却を検討している方は、名義変更にかかる期間を考慮して売却準備を進める必要があります。
なぜなら、家を売却する際、被相続人から相続人に名義変更されていない場合、家を売却できないからです。
家の名義変更後に売却を検討している方は、不動産会社に査定を依頼して、家を売却したらいくらで売れるのか調べてみましょう。
手軽に家の査定額を知りたい方は、不動産一括査定サイトを利用してみてください。
不動産一括査定サイトは、パソコンやスマートフォンで家の物件情報を入力するだけで、複数の不動産会社にまとめて査定を依頼できます。
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名義変更の登記申請を提出しても、完了までに時間がかかることがあります。
不備がある場合もありますが、登記所の混み具合によっても変わります。
名義変更の登記が完了しないと不動産売却手続きができないことに注意してください。
売買が決まっているのであれば、確実に名義変更するためにも司法書士に登記を依頼をするとスムーズです。

- 監修渡邊 浩滋
- 大学在学中に司法書士、卒業後に税理士の資格を取得。総合商社法務部、資産税専門の税理士法人勤務を経て、2011年に独立。実家のアパート経営を立て直した経験を基に、税理士と大家の複眼的な視点で賃貸経営をサポートする。2018年より、大家さん専門税理士の全国ネットワーク「Knees bee」代表。執筆・講演実績も多数。
- 【保有資格】税理士・宅建士・司法書士・FP
- 【URL】Knees bee 税理士法人