こんにちは。すまいステップステップ編集部です。
マンション価格の上昇が続く今、マンションの売却を考えている人も多いのではないでしょうか。
しかし、そう何度もあることではない上に大きなお金が動くマンション売却に対して、不安を感じることもあるはず。
そこで、よくある失敗パターンとその対策を、大手不動産会社などで今まで2,000件以上の不動産売却に関わってきた(株)ツクルバの長谷川さんにインタビューしてきました。
これを読めばマンション売却で失敗しないためにやるべきことが分かります。

長谷川さん
株式会社ツクルバ、カウカモエージェントサービス事業部ソリューション部部長。不動産仲介業として15年。
三井不動産リアリティ・ソニー不動産(現SREホールディングス)など、大手不動産会社で売買仲介を経験し、ツクルバ入社。
売却の担当が長く、これまでの相談件数は2000件を超える。ツクルバでも、売却専門チームの部長を務める。
中古マンション市場を取り巻く状況
―長谷川さん、本日はよろしくお願いします。首都圏を中心に都心では新築マンション価格が高騰していますが、中古マンションの売れ行きはいかがでしょうか?
長谷川さん:現場での肌感覚としては、以前より中古マンションは売れやすくなっており、「新築至上主義」だった市場の価値観が変わってきている印象です。
ここ最近の3~4年で、中古マンションの人気は高まり、新築マンションの取引量を上回りました。
※野村不動産Webサイトより
長谷川さん:これには、首都圏を中心に新築マンション価格が高騰している背景があります。
都心では立地の良い場所には既にマンションなどが建てられ、新築でマンションを建設できる土地が物理的に少ない。当然、立地の良いマンションは高額になる傾向があります。
また郊外においても駅前は開発が済んでおり、状況は同じです。
立地の良い新築マンションは価格が高騰し、それに伴って中古マンションの人気は高まりを見せていると言えます。
新築に比べて、中古マンションはエリアや間取りの選択肢が多いのです。
さらに立地のよい中古マンションは価値も下がりにくく、資産価値の維持を考えて中古マンションを選ぶ方が増えているのではないでしょうか。
中古マンションは数年前に比べて売れやすい傾向にある
マンション売却で後悔しないための4つのポイント
―中古マンションの人気が高まっている現在はマンションの売却を考えている人に追い風と言えそうですね。マンション売却で後悔しないために気をつけたほうが良いポイントはありますか?
長谷川さん:マンション売却を成功させるために心がけて欲しいポイントは下記の4つです。
- 不動産会社頼みにせずに、自分でもしっかり調べよう
- 査定額の根拠を確認しよう
- 広告用の「写真」にはこだわろう
- リフォームするかは不動産会社に相談してから決めよう
ポイント①:不動産会社頼みにせずに、自分でもしっかり調べよう
長谷川さん:まず、不動産会社の話を信用しすぎてしまい、自分では何も調べないこと。
例えば、不動産会社にマンション売却の相談を持ち掛けると、「ちょうど良かった!○○マンションの購入を希望している方がいるんですよ」と言われ媒介契約の締結を迫られることがあります。
しかし、本当に購入希望者がいるのか、売主は確認できないことが多いです。
本当は実在しないのに、「不動産会社が言っているのだから本当だろう」と契約してしまうことも。
これは、不動産会社と売主の間の「情報の非対称性」によって引き起こされていると考えます。
―不動産業界では、一部の会社の間で「囲い込み」※が行われているという話も聞きます。
長谷川さん:そうですね。仲介業者が「両手仲介(※)」を狙いすぎるあまり「囲い込み」が起きてしまい、売主様が不利益を受けてしまうケースもあります。
補足:囲い込みとは
売主側と媒介契約を結んだ物件を、他の不動産会社に紹介しないこと。売主にとっては物件が売れるチャンスを逃したり、不本意な値下げを迫られるデメリットがある。
補足:両手仲介とは
自社で売主も買主も見つけることで、売主・買主双方から仲介手数料を貰うこと。両手仲介を狙いすぎるがあまり、売主の物件を囲い込む不動産会社もいるという。
長谷川さん:「両手仲介」そのものが悪い訳ではありませんが、「両手仲介」を狙いすぎるあまり「囲い込み」が行われると、売主はマンションが高く売れるチャンスを逃してしまうかもしれません。
―不動産会社選びは慎重に行うのが良さそうですね。どんなポイントに注意して選べばいいでしょうか?
長谷川さん:現在は、インターネットなどでかなりの情報を調べられます。
不動産会社の担当者の話が本当に正しいか自分でも調べてみるとよいのではないでしょうか。
複数の不動産会社の話を聞いてみるのもオススメです。
売主様が考えるための情報をきちんと提示してくれる不動産会社を見極められると理想的です。
過去の取引の実績などデータを根拠に説明してくれる担当者を選ぶ方がいいと私は思います。
対策
- 不動産会社はデータや過去の実績など「根拠」を説明してくれる担当者を選ぶ
- 複数の不動産会社に相談する
ポイント②:査定額の根拠を確認しよう
―不動産会社を選ぶ際にチェックしたほうがよいことは他にもありますか?
長谷川さん:「査定額が一番高かった」という理由だけで不動産会社を選ぶことはあまりオススメできません。
媒介契約を得るために、高すぎる査定額を出す不動産会社があります。(※編集部補足:これを「高預かり」と言います。)
補足:高預かりとは
不動産会社が相場よりも高い査定額を出して顧客を集客し、媒介契約を結んだ後に売主に値下げを迫ること。
長谷川さん:不動産会社が出した高すぎる査定額を信じて相場より高い価格をつけてしまう売主様も中にはいるかもしれません。
しかし、マンションを買いたい人は無限にいるわけではありません。
購入を検討している人は、高すぎる売り出し価格を見て検討候補からそのマンションを外してしまいます。
購入希望者が見つからなければ、より低い価格に値下げしてマンションを売却する他ありません。
特に、不動産会社が一括査定サイトなどで他社と競合すると、実際の金額と乖離した「演出的な」金額を提示されることがあります。
―実際に売却できる金額なのか、演出的な金額なのか。どうやって見極めたらいいですか?
長谷川さん:マンションの査定額は「取引事例比較法」で算出されます。
補足:取引事例比較法とは
過去にあった不動産取引の成約価格を元に、査定したい不動産の立地・階数・向きなどの条件や、査定時点の相場で補正をかけて取引額を算出する査定方法。
長谷川さん:取引事例比較法では、査定したい物件と似た物件を比較対象にして査定額を算出します。
査定書を見るときは、比較対象となるマンションがどのぐらい自分のマンションに似ているかを確認しましょう。
例えば、駅からの徒歩距離が違いすぎたり、広さや間取りが異なったりしないか。
よく見ると条件が全く違うマンションを元に、売却価格が算出されていることがあります。
その物件がどんな点で比較事例にふさわしいか、きちんと説明してくれる不動産会社を選ぶと良いでしょう。
対策
- 査定額だけで不動産会社を選ばない
- 査定時に比較している物件の比較根拠を確認する
ポイント③:広告用の「写真」にこだわろう
―売れやすいマンションに共通しているポイントはありますか?
長谷川さん:「写真映え」するお部屋であることでしょうか。
今、弊社では購入希望のお問い合わせ全体の95%以上をインターネットからのお問い合わせが占めています。
インターネットに掲載する写真をどうよく見せるかは、購入希望のお客様を集客する上でやはり重要です。
物件写真にこだわったおかげで、他社ではなかなか売れなかった物件が販売直後に売れる事例も多くあります。

―写真を撮る際にこだわっているポイントはありますか?
長谷川さん:弊社にいらっしゃるお客様のうち、マンションに住みながら売却する方が7~8割です。
普段生活されている空間なので、写真を撮る前には片付けをします。
写真の撮り方と片付けには結構こだわりがあって、時にはスタッフが片付けを手伝いながら2時間かけて撮影することもあります。
対策
物件写真を撮影する前に、写真映えするよう部屋を片付ける
ポイント④:リフォームするかは不動産会社に相談してから決めよう
―お部屋の見た目が重要ということは、売却前にリフォームも行ったほうがいいのでしょうか?
長谷川さん:いいえ、むしろ不動産会社に相談する前にリフォームをするのはおすすめしません。
なぜなら、「リフォーム前の物件」にも需要があるからです。
近年は「お手頃な価格で中古マンションを購入して、自分好みにリフォームを行いたい」というお客様が増えています。
しかし、築年数の古い物件は売り出し前にリフォームされてしまっていることが多く、リフォーム前の物件は市場に出回りにくいのです。
築古のマンションを売却したい方は、リフォームやクリーニングなど何もせずそのまま不動産会社に相談すると良いのではないでしょうか。
対策!
- リフォーム前のマンションにも需要があることを知っておく
- リフォームはせずにそのままの状態で不動産会社に相談する
ツクルバで「マンションの個性」を大切にした売却を!
長谷川さん:弊社では、売主様のこだわりや大事に使っていた様子が伝わるような「個性的な物件」がよく売れる印象です。
―少し意外です。個性的な物件は売れにくいのかと思っていました。
長谷川さん:そうですね。
「駅徒歩」や「売却価格」など定量的に測れない指標に重きを置いた集客は、不動産会社にとって経済的な合理性が高いとは言い切れません。
しかし弊社に問い合わせを頂く買主様の多くが、物件の個性に魅力を感じてくださる方です。
それは、弊社が「リノベーション前の物件を探して自分でリフォームしたい」、もしくは「リノベーションされたマンションを買いたい」という購入希望者の集客に力を入れているからです。
リノベマンションの購入希望者向けメディア「カウカモ」を運営
長谷川さん:ツクルバでは、リノベーションされたマンションの購入を検討している人に向けたWebメディア「カウカモ」を運営しています。
長谷川さん:メディアを運営しているため「今、どのエリアのお客様が、いくらの価格対のマンションを購入したいと思っているか」というデータを全て自社で保有しているので、現在の状況やデータに基づく売却戦略を提案できます。
―購入希望者が今何を求めているかを踏まえた戦略を立てられる訳ですね。
「エージェント制」で自分だけの担当者が付く
長谷川さん:また、売主様に対して行っている取り組みとしては、「エージェント制」が挙げられます。
エージェント制では、売主と買主の担当者を完全に分けています。
長谷川さん:担当者を分けることで、売主側の担当者は売主の利益を100%考えて売却活動をサポートできます。
―誠実な売却活動を行うためのしくみが整っていると言えますね。本日は貴重なお話を聞かせて頂きありがとうございました!
今回のインタビューを通して、中古マンションの人気が高まっている今だからこそ、信頼できる不動産会社をしっかり見極めることが重要だと実感できました。
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