家の「買取」がどんなものなのかよく知らないという方も多くいるのではないでしょうか。
- 家の「買取」とは?
- 家を売る方法の1つで不動産会社が買主となる
- 短期間で確実に売れるが売却価格が安くなる
- 古い・立地が悪い家は買取がおすすめ
家を売りたいと考えた時、「買取」という言葉を聞くことがあると思います。
初めて家を売る人の中には、「家を売る=買取」だと思っている方もいるかもしれません。
この記事では、買取とはどんなものなのか、仲介との違いやデメリットについて解説します。
家を「買取」で売るべきか「仲介」で売るべきかを判断する時に役立ててください!
家の「買取」とは?
家の「買取」とは、家を売る方法の1つで、不動産会社に直接家を買い取ってもらう方法です。
不動産会社は、買い取った家にリフォームを施して、一般の買主に向けて再販売することで利益を得ます。
そのため、買取価格は市場価格の7~8割程度になることが一般的です。
価格は安くなってしまうものの、不動産会社が提示する買取価格との折り合いが付けば、短期間で家を売却・現金化できます。
この章では、以下の4つの特徴から、家の「買取」とはどんなものなのかさらに詳しく解説していきます。
- 「早く」「確実に」売却できる
- 手間や費用がかからない
- 周囲に知られず売却できる
- 契約不適合責任に問われない
家を早く売却したい時は、一括査定を利用して不動産会社に査定してもらいましょう。
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「早く」「確実に」売却できる
買取は、「早く」「確実に」売却できることが大きなメリットです。
不動産会社に買取を依頼して訪問査定を終えると、不動産会社が実際に買い取る価格を提示してくれます。
買取は資金力のある不動産会社によって行われているので、個人の買主のように契約解除される心配もありません。
そのため、提示された価格が納得できる価格であれば、査定から数日で契約が完了します。
たとえば、離婚や相続などで家をすぐに売却・現金化したい場合、売却が思うようにいかないと焦ったり不安が大きくなりますよね。
そんな時に買取を選択すれば、売却活動の不安が生活に与える影響を少なくできます。
また、不動産会社の中には、条件の悪い物件を専門に扱う会社も存在します。
つまり、仲介ではなかなか買主が見つからないような家であっても買い取ってもらえる可能性があります。
家の立地が悪い・古くなっていて売却できそうにないという場合でも、諦める前に不動産会社に相談してみましょう。
買取業者ランキングはこちらの記事で紹介しているので、買取を考えている方はぜひ参考にしてみてください。
手間や費用がかからない
買取では、買主を探すための売却活動を行う必要がなく、内覧対応の手間がありません。
内覧とは、仲介の際に物件の購入を希望する人に物件の中を見せることで、購入希望者が現れるたびに行います。
売主は内覧に向けて、家を魅力的に見せるために家の中を整理整頓したり、内覧の日程を買主と調整して対応する必要があります。
ですが、買取では不動産会社が買主となるため、内覧対応する必要がないのです。
さらに、家を買い取った後に不動産会社が物件の修繕をして再度売り出すことになるため、ご自身で家を修繕する必要もありません。
家に損傷部分があると買取価格はその分安くなることがありますが、壊れたままでも買い取ってもらえます。
また、買取で売る場合、不動産会社に仲介手数料を支払う必要はありません。
仲介を依頼した不動産会社に支払う報酬のこと。家の売買が成立した時にのみ支払う。
仲介の場合、買主が見つかって売買が成立すると、家の売却金額の3~5%を仲介手数料として不動産会社に支払うことになります。
仲介手数料は、家の売却にかかる費用の中で最も高額なものですが、買取では仲介手数料の支払いの必要はありません。
周囲に知られず売却できる
買取の場合、不動産会社が直接買い取るので、買主を探すためのネットなどを利用した広告・宣伝活動は行われません。
そのため、周囲に知られずに素早く家を売却できます。
契約不適合責任に問われない
買取では、売主は契約不適合責任を負いません。
売却した家が売買契約の内容と異なっていた場合、家の売主が買主に対して「契約を追完する責任を負う」というもの。
例えば、雨漏りやシロアリ、構造部分の腐食などがよく問題にされます。
仲介で売却をする場合、家を引き渡した後に事前に説明されなかった欠陥が見つかった場合、一定の期間売主が補修や賠償の責任を負うことになっています。
買取の場合、売却する家にどんなひどい損傷が見つかったとしても、修繕を不動産会社がすべて行うことになっているため、売主は契約不適合責任を負いません。
「買取」と「仲介」の違い
家を売る方法は、「買取」の他にも「仲介」があります。
「仲介」とは、不動産会社に依頼して買主を探してもらい、その買主に対して家を売る方法です。
売主は、不動産会社と媒介契約を結ぶことで、買主探しや家を売却するためのサポートをしてもらいます。
多くの人は仲介で家を売却するので、一般的な売却方法と言えるでしょう。l
以下の表に、買取と仲介の違いを簡単にまとめました
買取 | 仲介 | |
---|---|---|
売却する相手 | 不動産会社 | 不動産会社が見つけた一般の買主 |
売却価格 | 市場価値の7~8割程度 | 市場価値で売れやすい |
売却期間 | 早くて数週間~1か月 | 早くて3~6か月、遅いと1年以上 |
仲介手数料 | なし | あり(売却価格によって変動) |
買取と仲介の大きな違いは、売却期間です。
買取では早くて数週間であるのに対して、仲介では早くても3~6か月かかります。
買取と仲介では、以下のように売却するまでの流れが異なります。
以下は買取と仲介の流れです。
このように買取では、買主を探すための売却活動が一切ないので、早期売却・現金化が可能なのです。
仲介についてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてみてください。
家買取は2種類
家の買取には即時買取と買取保証の2種類あります。
- 即時買取:不動産会社に物件をすぐに買い取ってもらう方法
- 買取保証:まずは仲介で物件を売り出し、購入希望者が現れなかったら不動産会社に買い取ってもらう方法
即時買取と買取保証にはどのような違いがあるのか、これから詳しく解説していきます。
即時買取
即時買取とは、その名の通り不動産をすぐに買い取ってもらう方法です。
不動産会社が価格査定のために家を訪問し、市場価値のおよそ2~3割安の価格で買い取りされます。
不動産会社にもよりますが、最短3日から1週間で売却し、素早く現金化できます。
仲介により発生する手間や時間、コストなどが発生しないため、時間をかけずに素早く不動産を現金化したいかたには即時買取がおすすめです。
こちらの記事では即時買取の手順について解説しています。即時買取での売却を考えている方は以下の記事を参考にしてみてください。
買取保証
買取保証は、仲介と買取の両方を組み合わせた仕組みです。
買取保証では、まず仲介によって不動産会社と契約を結び、一定期間買主が現れなかった場合、あらかじめ合意した価格によって不動産会社が買取をします。
仲介での売買が成立すれば市場価格で売ることができ、買取になると価格は安くなりますが確実に不動産を売却できます。
保証期間は不動産会社にもよりますが、平均して3カ月から半年が目安です。
ある程度時間がある中で、できれば高く売りたいけど、だらだら売却活動を続けたくない、という方には買取保証がおすすめです。
こちらの記事では買取保証の利用条件や流れについて解説しています。買取保証を考えている方はぜひ参考にしてみてください。
家買取の流れ
不動産買取は以下のような流れで行います。
不動産会社による価格査定
不動産会社と売買契約を結ぶ
決済・引き渡し
流れ①不動産会社の査定を受ける
家を買取すると決まったら、まずは不動産会社に査定依頼します。
不動産会社に査定を依頼すると、実際に家の状態や周辺状況を調査して、どのくらいの価格で買取するかを提示してくれます。
流れ②不動産会社と売買契約を結ぶ
提示された査定額に納得できる不動産会社があれば、その不動産会社に買い取ってもらうために売買契約を結びます。
売買契約では、どの価格で買取するか、いつ・どのように支払いするか、いつ引き渡しを行うかを決めます。
流れ③決済・家を引き渡す
売買契約で決めた通りに決済と引き渡しを行います。
基本的に、引き渡しは決済日と同日に行われることが多いです。
決済は司法書士が立ち会い、登記手続きや不動産権利の移転を行います。
査定を依頼してから引き渡しが完了するまで、早いと1週間~1か月で終了します。
家買取のデメリット
買取はメリットが多い一方で、デメリットも存在します。
ここからは買取のデメリットについて説明します。
- 買取価格が安くなる
- 買取価格に対する納得感が生まれにくい
- 高く買ってくれる買取業者を探すのが難しい
- 売却価格を自由に設定できない
- 買取不可の場合がある
買取のデメリット①買取価格が安くなる
買取の最大のデメリットは買取価格が安くなることです。
買取価格は、仲介と比較して2~3割程度安くなってしまいます。
損傷が多い家はそこからさらに価格が下がります。
家の買取相場は以下の記事で解説しているので、おおよその買取価格を把握しておきたい方はぜひ参考にしてみてください。
買取のデメリット②買取価格に対する納得感が生まれにくい
買取価格は、不動産会社の「いい値」で決まります。
そのため、適正な相場が分かりにくく、買取価格に納得感を得られにくいことがデメリットです。
提示された買取価格に対して適切に判断できないため、気付かぬうちに損してしまう可能性もあります。
買取のデメリット③高く買ってくれる買取業者を見つけるのが難しい
不動産会社が買取する目的は、買い取った家をリフォームし、転売することで利益を上げることです。
不動産会社は、できるだけ安く買い取って利益を上げたいと考えているため、高く買ってくれる不動産会社を見つけるのは難しいと言えます。
以下の記事では、おすすめの不動産買取業者を紹介しています。
できるだけ良い条件で買取ってくれる会社を見つけるために役立ててください。
買取のデメリット④買取価格を自由に設定できない
買取では、不動産会社の「言い値」で価格が決まります。
不動産会社は買い取った家を、他の買主に売るために転売し利益を出さなければなりません。
そのため、修繕や改装にいくら掛かるのか、転売をした際に利益が出る価格であるかを考慮して買取価格を提示します。
そのため、ご自身の希望する価格で物件が売れる可能性は非常に低くなります。
買取のデメリット⑤買取不可の場合がある
物件の状態や条件によっては、買取を断られてしまうこともあります。
特に築年数の古い家で、現在の建築法の規定では違法建築となってしまう家は、転売するのに家を建て直さなければならないので買取不可になる可能性があります。
買取を断られてしまう可能性がある家の特徴は以下の通りです。
- 紛争物件
- 再建築不可物件
- 事故物件
日照権が確保されていなかったり、悪臭や浸水の問題がある紛争物件や、建物の敷地が全く道路と接していない再建築不可物件は買取不可の場合があります。
また過去に火災や事故、事件があり、心理的な面で住み心地に問題があるとされる事故物件も買取不可になることがあります。
不動産買取業者の中では、以上の問題があるような特殊な物件でも買い取ってくれる会社があるので、上記に当てはまる場合はそのような会社に依頼するのが良いでしょう。
以下の記事ではおすすめの不動産買取業者を紹介していますので参考にしてみてください。
家を売るなら買取と仲介どちらを選べばいい?
それでは、実際に家を売るとなったら、買取と仲介のどちらを選べばよいのでしょうか?
買取が向いている条件・仲介が向いている条件をそれぞれ紹介するので、ご自身の判断の参考にしてみてください。
買取が向いている条件
以下は買取が向いている条件です。
- できるだけ短期間で売りたい
- 築年数が古い・立地の悪い家を売りたい
- 事故物件・訳アリ物件を売りたい
- 周囲に知られないように売りたい
買取は、何といっても短期間で確実に売却できることが最大のメリットです。
そのため、「築年数が古い」「立地が悪い」など、条件が良くない家を売りたい人におすすめです。
家の売却では、築浅・好立地の家に需要が集まるので、築年数が古ければ古いほど需要が少なくなる傾向です。
駅やスーパー、学校や病院などの生活に必要な施設が周りにないなど、立地や環境があまり良くない家も買主を探すのが難しくなります。
もし近隣に利便施設がない、築年数が経った古い家を売りたいなら買取がおすすめと言えます。
また、「事故物件・訳アリ物件」も、やはり仲介での売却は難しいことが多いので、買取の選択をおすすめします。
事故物件とは、過去に自殺・殺人現場となってしまったり、火災・事故等で心理的な観点から住み心地の良さを欠いた物件のことです。
訳アリ物件は、近隣に廃棄物処理施設やパチンコ店があり、環境的な観点から住み心地の良さを欠く物件を指します。
また、現代の建築基準法や都市計画法に準していない物件(規格外の高さがある建物や耐震強度が不足しているなど)も訳アリ物件にあたります。
しかし、ここで紹介している条件に当てはまる家でも、絶対に仲介で売れないということはありません。
以下の記事も読んで、ぜひ参考にしてみてください。
仲介が向いている物件
以下のような条件に当てはまる人は、仲介が向いていると言えます。
- 築年数が浅い家を売りたい
- 立地がよい家を売りたい
- 売却を急いでいない
- 住宅ローンが残っている
築年数が浅い・好立地の家を売りたい人には、仲介での売却がおすすめです。
なるべく新しい家に住みたい・便利な場所に住みたいといった希望が多いので、好条件の家は中古でも需要が高いです。
また、住宅ローンが残っている場合も仲介での売却がおすすめです。
なぜなら、住宅ローンの残高が売却価格を上回ると(オーバーローン)、残高を完済するために何らかの対処が必要になってくるからです。
もし住宅ローンの残高を下回る金額で売却するのであれば、不足分をご自身で用意する必要があります。
そのため、住宅ローンが残っている場合は、より高値での売却を期待できる仲介での売却がよいでしょう。
まとめ
ここまで家の買取について解説してきましたがいかがでしょうか。
買取は仲介と比べて、あくまで臨時的な手段であることを説明してきました。
しかし、条件があまり良くない家をお持ちの方、できるだけ早く家を現金化したい方は、仲介で買主を探すよりも買取のほうが手っ取り早く確実な方法だと言えます。
買取と仲介どちらを選ぶべきかは、ご自身の状況や不動産の状態を見て判断してみてくださいね。