土地を売却すると、譲渡所得税は分離課税として計算され、他の所得とは別に税率が適用されます。税率は所有期間5年以下で39.63%、5年超で20.315%となり、取得費や譲渡費用を差し引いて計算されます。
課税の方式は「分離課税」「総合課税」の2つであり、所得では総合課税が適用されることがほとんどです。
分離課税は特例的な計算方法とも言えるため、なぜ譲渡所得に適用されるのか、その理由と適用されるメリットを知り、理解を深めましょう。



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分離課税と総合課税の違いについて
所得の計算方式は「分離課税」と「総合課税」の2つに分けられ、これらは性質が大きく異なります。土地売却では分離課税が適用されますが、その理由を知るには、まずはこれらの違いを正しく把握しておかなければなりません。所得に対して課税される点は共通していますが、課税の方式は全く異なり、対象の所得の区分も異なります。
分離課税は特定の所得単体で計算
分離課税は特定の所得単体で計算するのが特徴であり、該当するのは「譲渡所得」「退職所得」「山林所得」の3つのみです。その他10の所得は総合課税で計算されるため、これらの所得のみ別の区分で計算すると考えましょう。
また、譲渡所得は分離課税に該当するのは、「譲渡所得のうち土地・建物等及び株式等の譲渡所得」に限られます。
総合課税は複数の所得を合算
総合課税は、複数の所得を合算したものが課税対象です。主なものでは「給与所得」「事業所得」「利子所得」などが該当し、これらは単体ではなく総額で計算しなければなりません。例えば給与所得が300万円、事業所得が50万円、利子所得が10万円の場合、合計した360万円が課税の対象です。
ひとつひとつの所得が少なくても、合算して金額が大きくなると、その分税負担も重くなるため、注意しなければなりません。
・分離課税は単体で計算
・総合課税は合算
・譲渡所得は分離課税
土地を売却して利益が出た場合は課税される
土地を売却した場合は譲渡所得が分離課税に該当しますが、これは必ずしも発生するとは限りません。課税対象となるのは、売却して利益が出た場合に限られ、課税額に応じて税額は変化します。
少しでも利益が出た場合は課税の対象となり、場合によっては税負担でほとんど利益がなくなることもあるため、注意が必要です。
また、いかに分離課税で単独で計算されるといっても、利益そのものが大きいと課税額も大きくなります。
税負担は利益が大きいほど重くなるため、莫大な利益が出た場合には、後から重い納税義務が課せられることは覚悟しなければなりません。
課税は所得税と住民税
譲渡所得で利益が出ると、所得税だけではなく住民税も課税されます。2つの税金が課税され、それらを差し引いた金額が土地売却から得られる、実際の利益と言えるでしょう。譲渡所得という言葉から、所得税ばかりが連想され、住民税は忘れがちです。
また、平成23年12月2日からは、復興特別所得税も支払う必要があるため、これも忘れないようにしましょう。住民税や復興特別所得税を忘れて売却計画を立てていると、後から費用がかかって想定していた利益が得られない可能性もあるため、注意しなければなりません。
利益なしなら非課税
譲渡所得は所得税と住民税の2つがかけられるため、重課税とイメージされがちですが、課税対象はあくまで利益が出た場合です。売
却しても利益が出ない場合は課税の対象にはならず、当然税金の支払いも必要ありません。
土地の売却で得られる利益とは、売却価格そのものではなく、そこから諸費用を引いた額が実際の利益です。
土地を売っても利益が出ないケースは意外と多く、利益が出ないばかりか損失が出るケースもあるため、所得税と住民税は、必ずしも課税されるとは限りません。
・所得税と住民税が課税
・利益なしだと非課税
・利益が出ないことも多い
土地売却の流れと注意点をわかりやすく解説!税金や費用もまとめて紹介
土地売却に分離課税が適用される理由とは
譲渡所得に分離課税が適用されていることには理由があり、これは土地売却という所得が関係しています。分離課税は他にも退職所得や山林所得がありますが、これらを分離課税とするのも同じ理由です。土地売却に分離課税が適用される理由を知り、分離課税の方式への理解をさらに深めましょう。
税額が高額になりすぎる
土地売却で得た譲渡所得に分離課税が適用されるのは、総合課税にして合算すると税負担が大きくなり過ぎる可能性があるからです。土地売却で得られる利益は人によって、対象の不動産によって異なりますが、数百万円単位になることが多く、場合によっては1,000万円を超える場合もあります。
仮に1,000万円の譲渡所得が発生し、総合課税で計算するなら、この時点で税額は高額になり、さらに給与所得や事業所得と合わせると、税負担が急激に増えます。総合課税で計算する際の累進税率以下の通りで、一律10%の住民税と合わせると、税負担はかなり高額になるでしょう。
課税対象の所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円超え330万円以下 | 10% | 9,7500円 |
330万円超え695万円以下 | 20% | 427,500円 |
695万円超え900万円以下 | 23% | 636,000円 |
900万円超え1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
1,800万円超え4,000万円以下 | 40% | 2,796,000円 |
4,000万円超え | 45% | 4,796,000円 |
もともとの給与・事業所得が高い人は、譲渡所得と合わせると税負担は大きくなりやすく、急激な負担を回避するため、高額になりやすい所得は分離課税で計算されます。所得が増えるほど控除額も大きくなりますが、当然課税額の上昇も大きいため、分離課税は税負担を抑えるための救済措置と言えるでしょう。
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対象は一生に何度も獲得がないもの
分離課税が適用されるのは譲渡所得以外では、退職所得と山林所得が挙げられますが、これらは一生に何度も獲得することがないため、分離課税が適用されています。その他の所得の場合、年間を通して所得を獲得することが多く、金額が大きくなることも少ないです。
対して譲渡・退職・山林の3つの所得は一度で多額の金額を得ることが多く、かつ全ての人が経験するとも限りません。所得の中でもある種イレギュラーな存在のため、対応もイレギュラーになり、特別に分離課税が適用されているとも言えるでしょう。
・税負担を抑える分離課税
・総合課税は税率が高い
・得る数が少ない所得が該当
分離課税のメリットについて
分離課税は一部の所得にだけ限定された特別な課税方式ですが、これらを適用しているからこそのメリットは大きいです。分離課税が適用されることでどのようなメリットがあるのかを知り、土地売却時にいかにプラスに働くか考えてみましょう。
税負担を減らしやすい
分離課税のメリットは、税負担を減らしやすい点にあります。分離課税は特定の所得のみを単独で計算して課税額を決定するため、総合課税の対象所得がいくらであろうと、課税額は変わりません。総合課税の対象所得が小さいなら、分離課税が大きい場合でも全体の税負担は小さくなります。
反対の場合も同じで、総合課税が多くても、分離課税が小さいならトータルでの負担はそれほど大きくありません。税負担を二分して考えられるため、負担が少なく、土地売却時も税金を気にせず利益を追求しやすいでしょう。
損益通算が可能
分離課税は分離課税内でも別々で計算(譲渡所得と退職所得がある場合も、金額は合算しない)しますが、損失が出た場合は合算して損益通算が可能です。通常は合算しないのが分離課税の基本ですが、損失が出た場合に限り、損益通算をして税額を抑えられることは、大きなメリットでしょう。
例えば退職所得の課税対象が100万円で、譲渡所得で−30万円が出た場合、合算して70万円分のみ課税対象にできます。損失が出ても無駄にせず、他の分離課税にあてて税金を減額できるのは優れたメリットです。
損益通算の注意点
損益通算が可能なのは分離課税の大きなメリットですが、これは居住用財産を売却し、損失が出た場合に限られます。居住用ではない、投資用の不動産では損失が出ても損益通算ができません。損益通算は、条件を満たした場合のみ適用できることは理解しておきましょう。
確定申告で返金される
土地の売却によって損失が出た場合は、確定申告で払いすぎた源泉徴収が返金されます。分離課税には確定申告が必要な「申告分離課税」、天引きされている「源泉分離課税」の2つに分けられます。損失が出た場合は確定申告で源泉徴収分の返金が受けられるため、マイナスを減らすことも可能です。確定申告をしないと源泉徴収分は戻ってこないため、損失が出た場合は必ず申告しましょう。
・税負担が減る
・損益通算ができる
・確定申告で返金される
土地売却後の確定申告の必要書類まとめ!【チェックリスト付き】
土地売却には分離課税が適用され高い税率がかからないように配慮されている
土地売却で得た譲渡所得に分離課税が適用されているのは、急激な税負担の増加を抑えるためです。一生のうちで回数が少なく、一度に高額の所得が発生しやすいものは、分離課税でその他の所得とは別の区分で計算し、課税額を算出します。
土地売却で高い利益を獲得しても、譲渡所得単体で計算し、課税額が決まるため、税負担の増加を心配する必要はありません。利益が出るなら課税は避けられませんが、分離課税で負担は少ないため、少しでも高値で売ることを考え、上手に土地を売却して利益の最大化を目指しましょう。
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