相続によって空き家を取得することがあり、処分に困ってしまう場合も多いです。不要な空き家は扱いに困るため、最初から相続しないという方法もあります。
相続放棄を選ぶなら、どのような状態になるのかを知っておく必要があります。相続放棄後に残る管理義務についての理解を深め、空き家の相続や放棄で後悔をしないようにしましょう。
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空き家相続放棄後も管理義務が残る!
相続放棄は、もともと相続人ではなかったことにすることなので、相続放棄すればすべてが終わりだと思えてきます。
しかし、相続放棄後も空き家の管理をする必要があります。これを管理義務といいます。
それでは管理義務について、以下の2つの項目を見ていきましょう。
①管理義務はいつまで続くのか
管理義務は、次の相続人が管理を始めるまで続く、と民法により定められており、
次の相続人がいる場合は、次の相続人が管理を始めるまでと管理する必要があります。
もし全員が相続放棄をした場合は、管理義務は最後に相続放棄した人にあるため、相続財産管理人を選任する必要があります。
②どの程度まで管理すればいいのか
どの程度まで空き家を管理すればいいかについては、自分の物を管理するときと同程度の注意をもって管理すれば良い、と民法に定められています。
つまり、他人の物を預かる場合よりは注意の程度が軽いのですが、放置してはいけないということになります。
管理義務を果たさなかった場合のリスク
もし管理義務を果たさず、空き家を放置している場合には、以下のようなリスクが生じます。
- 損害賠償請求される可能性がある
- 過料が課せられる可能性がある
- 事件に巻き込まれる可能性がある
損害賠償請求される可能性がある
空き家を放置していた場合、壁や屋根が傷み、倒壊してしまったり、火災などが起こる可能性があります。
もし管理不行き届きで他人に損害が及んだ場合には、損害賠償請求される可能性があります。
過料が課せられる可能性がある
2015年に施行された「空家等対策特別措置法」では、「そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある」空き家を「特定空家」と指定し、
各自治体から管理者に改善の勧告がされます。その勧告に応じなかった場合に、最大50万円の過料が課せられてしまいます。
事件に巻き込まれる可能性がある
空き家を放置していた場合、犯罪集団のアジトや、違法薬物の栽培場所になる可能性があり、治安悪化の原因になる可能性があります。
また、治安悪化の一因になるだけでなく、共犯者として容疑をかけられてしまう可能性があります。
管理義務を免れる方法
家を管理するためには、管理費や労力などの管理コストがかかるため、管理義務を免れたい人は多いと考えられます。
管理義務を免れる方法は以下の2つです。
- 次順位の相続人に引き継ぐ
- 相続財産管理人を選出する
次順位の相続人に引き継ぐ
管理義務は、次の相続人が管理を始めるまで続くとされているので、管理義務を免れるためには、相続破棄をし次の相続人に引き継ぐことが方法の1つです。
相続財産管理人を選出する
相続人が全員相続放棄をしてしまった場合は、次順位の相続人に引き継ぐことができません。
その場合に管理義務を免れるためには、家庭裁判所で相続財産管理人を選ぶ必要があります。
相続財産管理人とは、遺産を管理し、借金などがあれば遺産で支払った後に、残りを国に帰属させる作業をしてくれる人です。
相続財産管理人が選ばれることで、相続財産の管理を相続財産管理人に引き継ぐことができたので、管理義務がなくなります。
空き家の相続放棄は専門家に依頼が可能
空き家の相続放棄は自身で行うだけではなく、専門家に依頼することも可能です。専門家に依頼することで、スムーズに相続放棄の手続きを完了させられます。
また、方法次第では費用を安く抑えることもできるため、手続きが難しいと感じるなら、専門家に依頼しましょう。
依頼先は弁護士か司法書士
空き家の相続放棄の依頼先は、弁護士か司法書士です。相続人同士で相続に関するもめごとがある場合は、弁護士に依頼するとよいでしょう。
弁護士なら相続人間の係争にも対応してもらえるため、トラブルを解決しながら相続放棄を行いやすいです。ただし、弁護士に依頼すると費用は高くなりやすく、この点はデメリットでしょう。
相続におけるトラブルがない場合は、司法書士に依頼して手続きを代行してもらうことがおすすめです。司法書士に依頼する場合は、書類の提出や裁判所からの連絡を自身でやり取りしなければならない点がデメリットですが、書類の作成を代行してもらえる点はメリットといえます。
依頼の費用を節約する方法
弁護士や司法書士に相続放棄を依頼すると、高額な費用がかかることもあります。専門家への報酬の支払いを節約するには、法テラスの活用がおすすめです。
法テラスは国によって設置された団体であり、弁護士や司法書士に無料で相談できる場合があります。また、報酬費用の立て替えをしてもらえることもあり、すぐに現金で支払えない人でも利用可能です。
法テラスを利用することで、依頼にかかる費用を大幅に引き下げられるため、資金的な余裕が少ない人は利用してみるとよいでしょう。
記事のおさらい
管理義務とは?
空き家の相続放棄後にも、空き家の管理をする必要があります。
これを管理義務といい、次の相続人が管理を始めるまで続きます。
詳しく知りたい方は空き家相続放棄後も管理義務が残る!をご覧ください。
管理義務を果たさなかった場合のリスクは?
もし管理義務を果たさなかった場合は、以下のようなリスクがあります。
- 損害賠償請求される可能性がある
- 過料が課せられる可能性がある
- 事件に巻き込まれる可能性がある
詳しく知りたい方は管理義務を果たさなかった場合のリスクをご覧ください。
管理義務を免れる方法は?
管理義務を免れる方法は、以下の2つです。
- 次順位の相続人に引き継ぐ
- 相続財産管理人を選出する
詳しく知りたい方は管理義務を免れる方法をご覧ください。