空き家になってしまった家は、所有しているだけで固定資産税などのコストや維持管理の手間がかかります。
そのため、思い入れが詰まった家でも最終的に売却の決断をする方は少なくありません。
しかし、築年数が古かったり田舎に建っていたりと「こんな条件の悪い空き家でも売却できるのか」と不安に思う方は多いです。
この記事では、高く・スムーズに売却する方法を分かりやすく解説します。
家を売るにはどうする?費用をかけずに売却する方法を分かりやすく解説
空き家を売却する4つの方法
空き家の状態によって、どんな方法で売却するかで売れやすさや売却にかかる費用が大きく変わってきます。
まずは、下のフローチャートで簡単に自分にあった方法を確認しましょう。
空き家を売却する4つの方法
中古住宅として売却する
築20年までの物件など状態の良い空き家は、「中古住宅」としてそのままの状態で売却できます。
一般的な木造の戸建て住宅は、築年数が経つごとに建物の価値が下がっていき、およそ築20年で建物の価値がなくなります。
逆に言えば築20年までは建物と土地両方の評価が価格として反映されるため、土地として売却するよりも高く売却できます。
建物の価値は築年数が経つにつれて減っていってしまうため、中古住宅として売却するなら早めに売ることをおすすめします。
- 築20年以内の空き家を売却したい
- なるべく高く空き家を売却したい
古家付き土地として売却する
築20年を超えている空き家は、「古家付き土地」として売り出します。
古家付き土地とは、築年数の古い建物が建っている物件を「土地」の分類として売り出しているものを指します。
古家付き土地として売却する場合は、土地の価値のみで売却価格を決めます。
建物を解体する必要がないため、解体費用がかからない点がメリットと言えます。
ただし買主の立場から見ると家を解体する費用と手間が必要であるため、値下げ交渉をされるケースもある点に留意しましょう。
- 空き家の傷みがやや目立つ
- 費用をかけずに空き家を売却したい
更地にして売却する
空き家の状態が非常に悪く、費用や期間に余裕があるなら更地にして売却することも検討しましょう。
雨漏りやシロアリ被害、外壁の破損などが目立つ物件は買主にもマイナスの影響を与えます。更地にしてしまえば維持管理の手間が省けるという利点も。
空き家を解体するには、1坪あたり3~6万円の費用がかかります。
しかし直近は空き家問題への対策のため、空き家の解体費用の一部を補助する自治体も増えてきています。
大規模にリフォームしなければいけないような場合は、更地にしたほうがむしろ持ち出しが少なく済むかもしれません。
- 雨漏り・シロアリ被害など建物の構造上の問題がある
- 大規模なリフォームなしでは売却が難しい
「買取」で売却する
空き家を急いで売却したいなら、「買取」で売却する方法もあります。
買取とは、不動産会社に直接空き家を購入してもらうことを指します。
不動産会社に買主を探してもらう「仲介」に比べて、買取は買主が現れるのを待つ必要がなく早く・確実に売却できるというメリットがあります。
ただし、買取でのは仲介での売却相場の7割に留まります。
買取の場合、不動産会社が買い上げた後、解体やリフォームを行い販売します。
「家をそのままの状態で誰かに使ってほしい」と考えている方は注意しましょう。
- 空き家を早期(2カ月以内)に売却したい
- 仲介でどうしても売却できない空き家を売りたい
空き家売却にかかる費用・税金
空き家を売却すると、様々な費用や税金がかかります。
費用・税金 | 目安の金額 |
---|---|
仲介手数料 | (売却金額×3%)+6万円+消費税 |
解体費用 | 建物構造と坪数よる(木造で4~5万円/坪など) |
登録免許税 | (土地評価額+建物評価額)×0.4% |
印紙税 | 売却価格による(400円~6万円) |
譲渡所得税(譲渡所得が出る場合のみ) | 譲渡所得×税率 |
空き家を売るまでに、売却代金のおよろ5~7%の費用と税金がかかると言われています。
売却代金がそのまま手元に残る訳ではないことに留意しておきましょう。
この章では、空き家売却にどんな費用が、いくらかかるのか見ていきましょう。
仲介手数料
空き家を売却する際に不動産会社を利用した場合、仲介手数料が発生します。
仲介手数料は空き家が売れた際に不動産会社に支払う報酬のことで、宅建業法46条により上限額が定められています。
売却価格 | 仲介手数料の上限 |
---|---|
200万円以下の部分 | 5% |
200万〜400万円以下の部分 | 4% |
400万円超の部分 | 3% |
例えば、相続した家を1,000万円で売却した場合、「200万円以下の部分に5%」「200~400万円の部分に4%」「400万円を超える部分には3%」で分けて計算します。
加えて、消費税がかかるため、上限額は『396,000円』となります。
解体費用(更地にする場合)
老朽化が進み人が住めない状態の空き家は、場合によって解体が必要です。
解体費用は、家の構造や大きさ、地域や立地によって変わります。
一般的に東京、神奈川の解体費用相場は木造住宅で『4~5万円/坪』です
地方の場合は、上記の価格よりも安くなる傾向にあります。
登録免許税(相続登記前の場合)
登録免許税は、相続登記(名義変更)手続きの際にかかる税金です。
『固定資産税評価額の0.4%』が税額です。
相続後、相続登記をされていない方は、売却前に必ず手続きが必要です。
印紙税
印紙税は、売買契約書の作成にかかる税金で、売買契約書に収入印紙を貼ることで納税します。
売買契約書に記載されている金額(正確な売却金額)によって税額が変わります。
令和6年3月31日までは軽減税率が適用されるため、200円から6万円程度となります。
詳しくは、国税庁『No.7140 印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで』をご覧ください。
譲渡所得税(所得税と住民税)
空き家を売却して利益(譲渡所得という)が出た場合は、その利益に対し譲渡所得税がかかります。
譲渡所得税は、所有期間によって税率が『20.315%』か『39.63%』に変わります。
なお、相続で取得した家の場合は、前所有者の所有期間も含めます。
所有期間 | 所得税 | 住民税 | 合計 |
---|---|---|---|
長期譲渡所得(5年超) | 15.315% | 5% | 20.315% |
短期譲渡所得(5年以内) | 30.63% | 9% | 39.63% |
⇒費用・税金などを含めた、空き家として残す問題点についてはこちら
空き家売却で費用・税金を節約するコツ
少しでも費用を抑えることはできないかな?
一般的に住宅の売却には売却価格の5~7%の費用がかかると言われています。
しかし、下記に挙げるような工夫をすることで出費が抑えられます。
- 特例・控除を利用して節税する
- 補助金を活用して解体費用を賄う
- 片付けをし、不用品を処分しておく
- リフォームせずに売却する
節約方法を知って賢く空き家を売却しましょう。
控除・特定を利用して節税する
空き家売却で利益がでるとかかる譲渡所得税は、特例や控除を利用することで節税できます。
空き家売却時に使える特例・控除は、以下のようなものです。
特例・控除 | 内容 | 適用要件 |
---|---|---|
居住用財産の3,000万円特別控除 | 譲渡所得から3,000万円までを控除できる
|
|
相続した空き家を売った時の3,000万円特別控除 | 譲渡所得から3,000万円までを控除できる |
|
取得費加算の特例 | 相続時に支払った相続税分を取得費として譲渡所得から差し引ける |
|
なお控除や特例を利用するには、確定申告が必要となります。
空き家を売却した翌年2月16日~3月15日の間に忘れずに確定申告を行いましょう。
補助金を活用して解体費用を賄う
空き家を解体して売却する場合、自治体が設けている補助金や助成金を活用できることがあります。
一例として、いくつかの都道府県の補助金・助成金の制度を紹介します。
自治体 | 制度の内容 |
---|---|
札幌市 | 上限50万円として解体費用の3分の1を助成する |
仙台市 | 上限60万円として解体費用の半額を助成する |
名古屋市 | 上限60万円として解体費用の半額を助成する |
神戸市 | 上限100万円として工事費用または補助対象金額の低い方の3分の1を助成する |
福岡市 | 一律20万円を助成する |
自治体によって助成金額や適用要件は異なるため、詳しく知りたい方は自治体のホームページを見たり役場の窓口で問い合わせてみましょう。
片付けをし、不用品を処分しておく
相続時のバタバタや離れて住んでいることが理由で、「どうせ解体するのだから」と空き家の片付けに手を付けられていない方も少なくないかと思います。
しかし、解体時の費用は瓦礫が多いほど高くなります。
エアコンなどの家電や、ソファやカーペットなどの家具は自分で処分しておくことで解体費用を抑えられます。
ただし、木製の大型家具などは処分を解体業者に依頼したほうが安くなるケースもあるため、事前に解体業者に相談するとよいでしょう。
リフォームせずに売却する
築年数の古い空き家を売却する方の中にはリフォームをしてから空き家を売りたいと考える方もいるかもしれません。
しかし、費用や手取り額を考えるとリフォームはおすすめできません。
空き家のリフォームには、少なくない金額の費用がかかります。
▼参考:水回りのリフォームにかかる費用
リフォーム箇所 | 相場 |
---|---|
キッチン | 50~150万円 |
トイレ | 10~50万円 |
洗面所 | 20〜50万円 |
浴室 | 50〜100万円 |
しかし、リフォームすることで空き家の売却価格にかかった費用以上を上乗せできることは滅多にありません。
空き家の購入希望者は、築年数や立地から購入物件を絞り込むことが多く、これらの条件はリフォームをしても変えられないためです。
近年は「築古の物件を自分の好みに合わせてリフォームしたい」と考える買主も多いため、基本的にはリフォームせずに空き家を売り出すことがおすすめです。
空き家売却の4つの注意点
空き家は安く売却されがちですが、どうせ売却するなら高く売りたいですよね。
空き家売却の時に、工夫をすれば高く売却できる可能性があります。この章では空き家を高く売るための注意点を紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
空き家売却の4つの注意点
- 名義変更をしておく
- 売り出しまでの期間には余裕を持つ
- 売り出し価格は少し高めに設定する
- 空き家売却の実績がある不動産会社を選ぶ
注意点①:名義変更をしておく
空き家の名義人でなければ空き家を売却できません。相続したばかりで名義が変更されていない場合は、相続登記で名義変更をしましょう。
法務局にて相続登記ができますが、手続きが複雑なため司法書士に依頼する方もいます。(相場は7~10万円)
もちろん自分で行うこともできるので、そういった作業や理解が苦痛でない方はやってみましょう。
注意点②:空き家を売却するまでの期間に余裕を持つ
空き家を売却するまでの期間には余裕を持ちましょう。売り急ぐと足元を見られて買い叩かれてしまうリスクがあります。
下の図は、株式会社Speeeが戸建て売却を行った1500人に売却までにかかった期間を尋ねた結果です。
戸建てを売却した人のうち、半数以上が売却までに半年以上かかったと回答しています。
空き家の売却までにかかる期間は、半年以上かかると想定して売却活動をすると良いでしょう。
注意点③:売り出し価格は少し高めに設定する
空き家を売却する際、査定額よりも少し高めに売り出し価格を設定しましょう。
空き家を売却する場合、まずは不動産会社から査定を受けますが、必ず査定額通りに売却しなければならないわけではありません。
空き家をいくらで売り出すかは、査定額を参考に売主が自由に決められます。値下げ交渉などを得て、売主と買主が合意した売却価格で空き家は売却されます。
買主に値下げ交渉をされるケースも考慮して、売り出し価格は査定額よりも1割ほど高く設定しておきましょう。
注意点④:空き家の売却実績がある不動産会社を選ぶ
まずは、空き家の売却実績がある不動産会社を選びましょう。不動産会社によって強い分野があり、空き家売却の場合であれば、直近で空き家の売買件数を教えてもらいましょう。
売買実績のある会社は、それだけ買い手を見つける力に長けているので、大手か中小で不動産会社を選ぶのではなく、実績をしっかり見ておく必要があります。
売却活動を始める上で、信頼できる不動産会社を見つけることは大切です。よって、どの不動産会社に依頼するかは、複数社に査定依頼して比較しながら決めましょう。
おすすめのサービスが「不動産一括査定」です。不動産一括査定は、1度の入力で複数社に査定依頼ができます。
一括査定サイトのすまいステップでは、「宅地建物取引士の資格保有者」「売買仲介の営業経験が5年以上」「累計100件以上の売買仲介の実績を保持」など高い売却スキルをもつ担当者が査定を担当します。
以下のフォームで依頼できますので、ぜひ活用してみてください。



一括査定であなたの家の適正価格が分かる
オンライン対応





空き家を売却する流れ
空き家売却の全体感がおおよそ理解できたのではないでしょうか。
この章では実際に空き家を売る方に向けて、空き家売却の流れ・手順を詳しく解説します。
Step1.査定を受ける
空き家を売却するにあたって、まずは査定を受けましょう。
空き家をどの方法で売却するのが一番高く売却できるかは、様々な要因によって決まります。
例えば、以下のようなものです。
- 建物の状態
- 土地の状態
- 周辺の都市計画
- 敷地の接道状況(道路に接している長さや正面の道路の幅)
そのため、いきなり解体したりリフォームしたりする前に不動産売買に十分な知識のあるプロに現状を見てもらう必要があります。
空き家の査定は下記のバナーから申し込めます。



一括査定であなたの家の適正価格が分かる
オンライン対応





Step2.媒介契約を結ぶ
空き家の売却方法を決めたら、不動産会社と媒介契約を結びます。
媒介契約とは不動産会社に空き家の売却をサポートしてもらう代わりに、空き家が売却できたら仲介手数料を支払う契約です。
媒介契約には、下記の3つの種類があります。
- 一般媒介契約
複数の不動産会社と媒介契約を結ぶことができ、契約の自由が高い。 - 専任媒介契約
媒介契約を結べるのは1社だが、自分で買主を見つけられる(自己発見取引が可能)。2週間に1度、不動産会社か状況報告が受けられる。 - 専属専任媒介契約
媒介契約を結べるのは1社だけで、自分で買主を見つけることもできない(自己発見取引が不可)。1週間に1度、不動産会社か状況報告が受けられる。
それぞれ特徴が異なるので、自分の状況にあった媒介契約を結びましょう。
Step3.売り出しを開始する
不動産会社と媒介契約を結んだら、売買活動が始まります。
空き家を取り壊さずに売却する場合は、購入希望者の見学を受け付ける「内覧」への対応が必要です。
内覧時の印象は空き家の売却成功を左右するため、この時期までにある程度の片付けができていると理想的です。
遠方にある実家を売却する場合など、内覧の度に立会いをすることが難しい場合にはあらかじめ不動産会社に鍵を預けておくことがおすすめです。
【空き家処分】空き家の処分ってどうするの?気になる空き家の処分方法を解説!
Step4.内覧対応をする
購入希望者から問い合わせがあると、次に内覧へと進みます。
空き家とはいえ、残置物が散らかっていたり、水回りが汚かったりすると購入意欲を阻害してしまうので、内覧に念入りに清掃するようにしましょう。
内覧時の案内は不動産会社に一任できますので、売り物件から離れた場所に住んでいる方は、無理に内覧に立ち会う必要はありません。
購入を迷っている購入希望者に対して、実際に住んでいた人が感じた魅力を話してもらえるのは貴重なことだよ!
Step5.売買契約を結ぶ
空き家の購入を希望する人が見つかれば、売買契約を結びます。
売買契約を結ぶ前に、引き渡し日や値下げの交渉を受けるケースもあります。
どのラインまでなら許容できるか、絶対に譲れない条件は何か、家族などと話しあっておくと良いでしょう。
Step6.決済と引き渡しをする
売買契約時に取り決めた日に引き渡しを行います。
引き渡し日までにには、空き家にある荷物などを撤去する必要があります。また、引き渡しに必要な書類もいくつかあるので、不動産会社に相談した上で早めに取り揃えるようにしましょう。
ここまで、空き家売却の流れを見てきました。
それぞれの物件で状況や押し出すべきポイントは異なるので、空き家の売却は信頼できる不動産会社に相談しながら進めることが重要です。
空き家を売ると決めたら、まずは不動産へ査定依頼をしましょう。
不動産一括査定サイトすまいステップは、地方大手の不動産会社をはじめ、あなたの物件のエリアで実績のある不動産会社を厳選して紹介します。まずは、下記のバナーから査定をご依頼ください。



一括査定であなたの家の適正価格が分かる
オンライン対応





記事のおさらい
空き家を売却する3つの方法は?
空き家を売却する3つの方法は以下の通りです。
- 空き家付き土地として販売する
- 空き家を解体し更地にして販売する
- 不動産による買い取りを利用する
詳しくは空き家を売却する3つの方法をご覧ください。
空き家を売却すると発生する税金・費用は?
空き家を売却すると発生する税金・費用は以下の通りです
- 譲渡所得税(利益が出る場合)
- 印紙税
- 不動産会社への仲介手数料
- 空き家の解体費用
- 不用品処分費用
詳しく知りたい方は空き家を売却すると発生する税金・費用をご覧下さい。
税金を抑える特例や控除は?
税金を抑える特例や控除は以下の通りです
- 相続した空き家につかえる3,000万円特別控除の特例
- マイホームを売却する際の3,000万円特別控除
- 相続した空き家の取得費加算の特例
詳しくは税金を抑える特例や控除をご覧ください。