空き家を所有しているだけで固定資産税や維持費がかかります。
活用方法のない空き家を所有している、もしくは相続する予定がある人は、早いうちに売却することをおすすめします。
とはいえ「空き家はどのようにして売却するの?」と売却方法が分からないという人も多いのではないでしょうか。以下は、空き家の状態に応じた適切な売却方法と相談先です。
【空き家の状態別売却方法】
空き家の状態 | 適切な売却方法 | 相談先 |
築20年未満の空き家 | 空き家をそのまま売却(中古住宅) | 不動産会社 |
築20年以上の空き家 | 空き家をそのまま売却(古家付き土地) | 不動産会社 |
空き家の状態が非常に悪い | 空き家を解体して売却 | 解体業者、不動産会社 |
空き家をすぐに手放したい | 空き家を買取で売却 | 買い取り専門の不動産会社 |
本記事では実際に空き家を売却する流れについて詳しく解説します。記事後半では、空き家売却でかかる費用についても説明します。
空き家をそのまま売却する方法
空き家をそのまま売却する場合、中古住宅、もしくは古家付き土地として売却します。
- 中古住宅
築20年未満の状態の良い空き家は、中古住宅としてそのままの状態で売却できます。
- 古家付き土地
築20年を超えている空き家は、古家付き土地として売却しましょう。
古家付き土地として売却する場合、土地として売却するため、売却額は土地のみの評価になります。
古家付き土地として売却するメリットは、土地として売り出すので、土地の購入を希望している買主に訴求すれば早めに売却ができる可能性があります。
また、売主が建物を解体する必要がないため、解体費用がかかりません。ただし、買主が建物を解体する費用と手間を負担する必要があるため、土地の価格の値下げ交渉をされる可能性があります。
空き家をそのまま売却する流れ
空き家を解体せず、そのまま売却する場合の流れは以下の通りです。
- 不動産会社に査定を依頼する
- 媒介契約を結ぶ
- 売却活動を行う
- 買主との交渉
- 売買契約・引き渡し
まずは、不動産会社に空き家の査定依頼を頼みます。
不動産会社によって、査定価格が異なるため、1社で決めるのではなく複数の不動産会社に査定を依頼したうえで、媒介契約を結ぶ不動産会社を決めるようにしましょう。
そこで便利なのがすまいステップの一括査定サービスです。すまいステップなら一度に複数の会社に査定依頼ができます。完全無料なサービスのため、お気軽にご相談ください。
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売却を依頼する不動産会社が決まったら、媒介契約を交わします。媒介契約には「一般媒介契約」「専属媒介契約」「専属専任媒介契約」があります。
売却活動というのは、主に不動産会社が行います。店頭やホームページに売却を依頼した物件の広告を出したり、顧客に営業メールを送るなどです。
売却価格の交渉は、不動産会社が売手と買手の間に入って行います。買主と無事に交渉が終えたら、次はローン審査を行い、売買契約の後、引き渡しを行います。
売買契約時には、手付金が支払われます。手付金の額は、一般的に売買代金の1割相当額となりますが、不動産会社が売主で手付金を受け取る場合には、上限が売買価格の20%となります。
空き家を解体して売却する方法
空き家の状態が非常に悪い場合、空き家を解体し更地にして売却することを検討しましょう。
雨漏りやシロアリ被害、外壁の破損などが目立つ建物は、買主にもマイナスの影響を与えてしまい、なかなか売却できない可能性があります。
建物を解体して更地にしてしまえば、そのリスクを防げます。また、更地にしてしまえば、建物の維持管理の手間が省けます。
ただし、空き家を解体するための費用として、木造建築の場合1坪あたり3万円以上かかります。売却したい空き家が30坪の場合、解体費用は、90万~150万円ほどかかります。直近は、空き家の解体費用の一部を補助する自治体も増えてきています。
空き家を解体して売却する流れ
空き家を解体して売却する場合の流れを説明します。
- 解体業者に見積もりを依頼する
- 現地調査を行う
- 工事の申請
- 解体作業
- 不動産会社への査定を依頼する
- 媒介契約を結ぶ
- 売却活動を行う
- 買主との交渉
- 売買契約・引き渡し
空き家を解体して売却する場合、まずは解体業者に費用の見積もりを依頼します。
正確な見積もり金額は、現地調査をおこなったうえで算出します。
土地の広さや周辺の道路環境によっては、重機が入れない場所もあります。そういった場合は、解体作業の日数が長引く場合があります。解体作業が長引けば、その分、人件費を要するため、解体費用に上乗せられます。
アスベストの有無を確認するための調査費用や、解体時にアスベストが出た場合、産業廃棄物処理する必要があり、当然解体費用は高くなります。
解体工事の前に、建築リサイクル法の届け出や、道路使用許可申請が必要となります。申請に関しては、解体業者が対応してくれるので、依頼する側は委任状を用意します。
解体工事期間の目安としては、延床面積が25坪程度の家屋を解体する場合は、10〜20日程度になります。 また、延床面積50〜100坪程度の建物の場合は、10〜30日ほどです。
空き家の解体が済んだら、不動産会社へ土地の査定依頼をします。ここからは、空き家を解体せずにそのまま売却する流れと同じです。
空き家を買取で売却する方法
空き家を急いで売却したいなら、買取で売却する方法もあります。買取とは、空き家を不動産会社に直接購入してもらう売却方法です。
不動産会社に空き家の買主を探してもらう「仲介」に比べて、買取は不動産会社が直接買い取るので、買主が現れるのを待つ必要がありません。
買取は、仲介よりも早く・確実に売却できるというメリットがあります。
ただし、買取で売却した場合の売却額は仲介で売却した場合の約7割~8割程度になってしまいます。
築年数:47年
相談内容:空き家を相続したが、建物が古くなかなか売れず困っている
この方の空き家は、建物がかなり老朽化していて居住するにはリフォームまたは建て替えが必要な状況でした。
リフォームまたは建て替えするにしても、費用や手間がかかってしまいます。
また、建物の状態を考えると通常の仲介で売却するのは難しいため、買取を選択することにしました。
買取を不動産会社に依頼した結果、解体費用などを負担した上で家の買取を希望する不動産会社を発見できました。
空き家が老朽化していてなかなか売り手がつかないが、リフォームや建て替えの費用を負担することが難しい場合、買取を検討すると空き家を手放せるかもしれません。
参考:東京都「東京空き家ガイドブック(2023)」
空き家を買取で売却する流れ
空き家を買い取り専門の不動産会社によって売却をする場合、以下の流れで行います。
- 買い取り専門の不動産会社に査定を依頼する
- 買い取り金額の交渉
- 売買契約・引き渡し
買取で売却する場合、仲介ではなく、不動産の買取を専門とする不動産会社に空き家を含む土地の査定を依頼します。
買い取り金額については、売主である土地のオーナーと不動産会社が直接行います。不動産会社は交渉を見越して、最初は低い価格での買い取り希望価格を提示するでしょう。
そのため交渉は必須になります。仲介とは違って、売主であるオーナー自らが業者と交渉することになります。
買い取り金額の交渉の末、両者が納得いく売却価格でまとまれば、不動産会社と売買契約を結び、引き渡しを行います。買取の場合、査定を依頼してから2週間~1ヶ月程度で売却が可能です。
空き家売却にかかる費用・税金
空き家を売却すると、以下のような費用や税金がかかります。
費用・税金 | 目安の金額 |
---|---|
仲介手数料 | (売却価格×3%)+6万円+消費税 |
解体費用 | 建物構造と坪数よる(木造で4~5万円/坪など) |
登録免許税 | (土地評価額+建物評価額)×0.4% |
印紙税 | 売却価格による(400円~6万円) |
譲渡所得税(譲渡所得が出る場合のみ) | 譲渡所得×税率 |
空き家を売却すると、売却価格のおよそ5~7%の費用と税金がかかると言われています。
不動産会社に仲介を依頼して空き家を売却する場合、仲介手数料が発生します。
空き家売却を不動産会社に依頼し、買主が見つかって売却が成功した場合に不動産会社に支払う報酬です。
また、空き家を解体して更地にしてから売却する場合は、解体費用が必要です。
解体費用は、家の構造や坪数によって変わりますが、平均してから100万円~200万円かかります。(参考:ヌリカエ「家・住宅解体工事の平均費用・価格相場」)
地方の場合は、解体費用が安くなる傾向にあります。
登録免許税は、相続登記(名義変更)手続きの際にかかる税金です。相続後、相続登記をされていない方は、売却前に必ず相続登記(名義変更)手続きが必要です。
相続した空き家の名義を相続人に変更する手続きです。
登録免許税は、「固定資産税評価額×0.4%」です。
土地や建物を取得する場合にかかる税金を決める基準となる価格です。
印紙税は、不動産売買契約書の作成にかかる税金です。不動産売買契約書に収入印紙を貼ることで納税します。
印紙税は、売買契約書に記載されている売却金額によって税額が変わります。
令和6年3月31日までは軽減税率が適用されるため、印紙税200円から6万円程度となります。(詳しくは、国税庁『No.7140 印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで』をご覧ください。)
更に、空き家を売却して利益(譲渡所得という)が出た場合は、その利益に対し譲渡所得税(所得税と住民税)がかかります。
税金が発生する譲渡所得は、以下の計算式で求められます。
=家の売却額-(取得費+譲渡費用)-控除額取得費
被相続人からの相続で取得した場合、家の取得費がわからないケースが多いです。
その場合、取得費を「売却額×5%」として、譲渡所得を計算します。
譲渡所得税は、譲渡所得に上記の表にある税率をかけあわせて、算出します。
譲渡所得税の税率は、所有期間によって以下のように変わります。
なお、相続で取得した家の場合は、前所有者の所有期間も含めます。
所有期間 | 所得税 | 住民税 | 合計 |
---|---|---|---|
長期譲渡所得(5年超) | 15.315% | 5% | 20.315% |
短期譲渡所得(5年以内) | 30.63% | 9% | 39.63% |
⇒費用・税金などを含めた、空き家として残す問題点についてはこちら
空き家売却で費用・税金を節約するコツ
少しでも費用を抑えることはできないかな?
空き家を売却する際、下記に挙げるような工夫をすることで出費が抑えられます。
- 特例・控除を利用して節税する
- 補助金を活用して解体費用を賄う
- 片付けをし、不用品を処分しておく
- リフォームせずに売却する
空き家売却で利益(譲渡所得)が出るとかかる譲渡所得税は、特例や控除を利用することで節税できます。
空き家売却時に使える特例・控除は、以下のようなものです。
特例・控除 | 内容 | 適用要件 |
---|---|---|
相続した空き家を売った時の3,000万円特別控除 | 譲渡所得から3,000万円までを控除できる |
|
取得費加算の特例 | 相続時に支払った相続税分を取得費として譲渡所得から差し引ける |
|
上記の控除や特例を利用した場合、確定申告が必要となります。
また、空き家を解体して売却する場合、自治体が設けている補助金や助成金を活用できるケースがあります。
一例として、いくつかの都道府県の補助金・助成金の制度を紹介します。
自治体 | 制度の内容 |
---|---|
札幌市 | 上限50万円として解体費用の3分の1を助成する |
仙台市 | 上限60万円として解体費用の半額を助成する |
名古屋市 | 上限60万円として解体費用の半額を助成する |
神戸市 | 上限100万円として工事費用または補助対象金額の低い方の3分の1を助成する |
福岡市 | 一律20万円を助成する |
自治体によって助成金額や適用要件は異なるため、詳しく知りたい方は自治体のホームページを見たり役場の窓口で問い合わせてみましょう。
エアコンなどの家電や、ソファやカーペットなどの家具は自分で処分して空き家の解体費用を抑える方法もあります。
相続時のバタバタや離れて住んでいることが理由で、「どうせ解体するのだから」と空き家の片付けに手を付けられていない方も少なくないかと思います。
木製の大型家具などは処分を解体業者に依頼したほうが安くなるケースもあるため、事前に解体業者に相談するとよいでしょう。
リフォームせず売却して、空き家の売却にかかる費用を抑える方法もあります。
リフォームをしてから空き家を売りたいという方もいると思いますが、費用や最終的な手取り額を考えるとリフォームはおすすめできません。
空き家のリフォームには、少なくない金額の費用がかかります。
▼参考:水回りのリフォームにかかる費用
リフォーム箇所 | 相場 |
---|---|
キッチン | 50~150万円 |
トイレ | 10~50万円 |
洗面所 | 20〜50万円 |
浴室 | 50〜100万円 |
しかし、リフォームにかかった費用以上を売却額に上乗せできることは滅多にありません。
また、近年は、「築古の物件を自分の好みに合わせてリフォームしたい」と考える買主も多いため、基本的にはリフォームせずに空き家を売り出すことがおすすめです。
実際に空き家を売却した事例
ここでは実際に空き家を売却した事例を紹介します。
築21年~25年一戸建て
- 査定価格 :1,030万円
- 売却価格 :1,100万円
- 売却期間: 1ヶ月
空き家売却へのきっかけや不安
空き家に空き巣が入り、空き家のままにしておくことの危険性を感じ、売却しようと考えた。長年、放置していた、遺産分割協議調停を行い、3年掛かって、調停を終え、すぐに、業者買取してもらった。(静岡県静岡市清水区 / 90代) |
これから空き家を売却する人へのアドバイス
空き家であっても、しっかり手入れをしておけば、そこそこの金額で売却することができます。私は、山林も売却することができました。長年放置しておくと危ない為、思い切って、売却することが大切です。(静岡県静岡市清水区 / 90代) |
引用:すまいステップ 【経験者が語る】不動産売却の体験談一覧
築41年~45年一戸建て
- 査定価格 :630万円
- 売却価格 :580万円
- 売却期間 :4ヶ月
空き家売却へのきっか家や不安
売ろうとしている家が空き家になってから長く、また築年数もかなりの年数になっていることから、まともに売却出来るのか、手残りがちゃんと出るのか不安だった。(愛知県弥富市 / 30代) |
これから空き家を売却する人へのアドバイス
どのような事をやればいいかわからないことが多かったですが、地元の信頼できる不動産屋さんに当たり、ほとんど困らずに売却出来ました。迷ったらとりあえず動いてみるのが良いと思います。(愛知県弥富市 / 30代) |
引用:すまいステップ 【経験者が語る】不動産売却の体験談一覧
築51年以上一戸建て
- 査定価格 :70万円
- 売却価格 :70万円
- 売却期間 :0ヶ月
空き家売却へのきっか家や不安
実家のこちらの家は、過疎化が進み、学校も廃校、合併が進んでいて、山間部でイノシシや猿が出てくる地域でした。あと、家の真裏の裏山が一部、土砂災害地区にもなっており、近くに学校もない。野生の動物も出没、周りに同じような子供も居ない。 なかなかこの環境で暮らしていく自信もなく、また宅地と農地もあり、広範囲な草刈りや、手入れ、維持管理費、会社までの通勤時間、交通費、毎年の固定資産税などの税金等、利便性の全てを考えた結果、売却に踏切ました。(香川県さぬき市/ 40代) |
これから空き家を売却する人へのアドバイス
やはり空家も今後、将来的に使用、住む予定がない場合、早め早めに売却するのが一番だと思いました。 家も手入れしなくては、朽ちていくのも早いですし、売りにくくなると思いますよ。(香川県さぬき市/ 40代) |
引用:すまいステップ 【経験者が語る】不動産売却の体験談一覧
空き家売却の4つの注意点
空き家は安く売却されがちですが、どうせ売却するなら高く売りたいですよね。
空き家売却の時に、工夫をすれば高く売却できる可能性があります。この章では空き家を高く売るための注意点を紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
空き家売却の4つの注意点
- 名義変更をしておく
- 売り出しまでの期間には余裕を持つ
- 売り出し価格は少し高めに設定する
- 空き家売却の実績がある不動産会社を選ぶ
注意点①:名義変更をしておく
空き家の名義人でなければ空き家を売却できません。相続したばかりで名義が変更されていない場合は、相続登記で名義変更をしましょう。
法務局にて相続登記ができますが、手続きが複雑なため司法書士に依頼する方もいます。(相場は7~10万円)
もちろん自分で行うこともできるので、そういった作業や理解が苦痛でない方はやってみましょう。
注意点②:空き家を売却するまでの期間に余裕を持つ
空き家を売却するまでの期間には余裕を持ちましょう。売り急ぐと足元を見られて買い叩かれてしまうリスクがあります。
空き家を売り出してから買主との売買契約を締結して買主に物件を引き渡すまで、通常3か月~6か月かかります。
以下のグラフは、2022年1月28日から2022年5月22日にかけてすまいステップがサービス利用者を対象に調査したアンケートの結果をまとめたグラフです。
グラフからわかる通り、家を売却した約65%の方が家の売却に約6か月間かかっています。
空き家の売却までにかかる期間は、約6か月かかると想定して売却活動をすると良いでしょう。
注意点③:売り出し価格は少し高めに設定する
空き家を売却する際、査定額よりも少し高めに売り出し価格を設定しましょう。
空き家を売却する場合、まずは不動産会社から査定を受けますが、必ず査定額通りに売却しなければならないわけではありません。
空き家をいくらで売り出すかは、査定額を参考に売主が自由に決められます。値下げ交渉などを得て、売主と買主が合意した売却価格で空き家は売却されます。
買主に値下げ交渉をされるケースも考慮して、売り出し価格は査定額よりも1割ほど高く設定しておきましょう。
注意点④:空き家の売却実績がある不動産会社を選ぶ
まずは、空き家の売却実績がある不動産会社を選びましょう。不動産会社によって強い分野があり、空き家売却の場合であれば、直近で空き家の売買件数を教えてもらいましょう。
売買実績のある会社は、それだけ買い手を見つける力に長けているので、大手か中小で不動産会社を選ぶのではなく、実績をしっかり見ておく必要があります。
売却活動を始める上で、信頼できる不動産会社を見つけることは大切です。よって、どの不動産会社に依頼するかは、複数社に査定依頼して比較しながら決めましょう。
おすすめのサービスが「不動産一括査定」です。不動産一括査定は、1度の入力で複数社に査定依頼ができます。
一括査定サイトのすまいステップでは、「宅地建物取引士の資格保有者」「売買仲介の営業経験が5年以上」「累計100件以上の売買仲介の実績を保持」など高い売却スキルをもつ担当者が査定を担当します。
以下のフォームで依頼できますので、ぜひ活用してみてください。
一括査定であなたの家の適正価格が分かる
オンライン対応