「空き家を相続したけど、売却しようかな..?」
「売却する場合はどうしたらいいんだろう?」
空き家を相続したばかりの場合、売却方法に迷われる方は多いと思います。また、劣化が激しい場合は、買い手がつくか不安に感じてしまうことも珍しくありません。
空き家は保有しているだけで毎年税金が発生します。管理を怠って放置すると税金が跳ね上がるリスクもあります。
この記事では、空き家の売却を検討している方に向けて、売却方法、売却にかかる費用の種類や費用を抑える方法、確実に売るためのコツを解説しています。この記事を読んでより好条件で空き家を売却できるようにしましょう!

- 監修畑中 学
- 不動産に関わる相続や債務問題のトラブルシューティングを得意とし、その真摯な取り組みがNHK、読売新聞、日本経済新聞などで紹介されている。武蔵野不動産相談室株式会社代表取締役。
- 【保有資格】宅地建物取引士、公認不動産コンサルティングマスター、マンション管理士、管理業務主任者
- 【URL】武蔵野不動相談室株式会社
空き家を売却する方法
まずは空き家をどのようにして売却するか見ていきましょう。
空き家を売却する際は、『建物がたったまま売却する方法』と『解体し更地にしてから売却する方法』があります。
空き家を売却する3つの方法
- 建物がたったまま売却する方法
- 解体し更地にしてから売却する方法
- 不動産会社に買取してもらう
どちらの方法にも、メリット・デメリットがあります。
それぞれ見ていきましょう。
建物がたったまま売却する方法
まずは、空き家を取り壊さずそのままの状態で売却する方法です。
近年では、古民家を自分好みにリフォームしたりDIYをしたいと考える人も増えてきているため、リフォームや解体しない方が買主にとって都合がいいケースが多いのです。
そのため、人が住めないといえるほど劣化が進んだ家でなければ、まず建物がたった状態で売却することをおすすめします。
メリット
- 取り壊しの費用がかからない
- 売れるまでの期間、更地を所有している場合に比べて固定資産税が安く済む
デメリット
- 購入希望者から解体費用分の値引きを打診される可能性がある
- 売却活動期間も物件の維持管理が必要
また、建物が建っている状態で売却する際は、築年数や劣化状況によって売り出し方を変えます。
築20年以下なら『中古住宅』として売り出す
家の売買シーンでは、一般的に築20年を超えると、建物の価値ゼロと査定されやすくなります。
言い換えせば、築20年までは建物に価値があるため、「中古の住宅」として売りに出します。
日本人は新築思考が強いため、基本的に築年数が浅いほど(状態がきれいなほど)需要が高い傾向にあります。
できる限り早い段階で売却できると安心ですが、前述した通り自分でリフォーム・DIYをするニーズがあるため築20年ちょうどの空き家でも十分な需要があると言えます。
下のグラフを見ても分かる通り、長い場合で築25年までは十分需要が高くあります。

築20年越えなら『古家付き土地』として売り出す
築20年を超えていて、劣化も激しい空き家は、「古家付きの土地」として売りに出します。
この場合、土地を主として販売するので、ほとんど土地の価値のみで取引されます。
定期的な修繕等の維持管理が行き届いている場合は、築20年を超えても価値が高い場合もあります。
同じ築年数帯の他の物件と見比べて、明らかに綺麗に維持されている場合は、築20年越えでも中古住宅として高く売却できる可能性があります。
解体し更地にしてから売却する方法
もう一つは空き家を更地にして、土地として売却する方法です。
建物として売却する場合、売却活動中も建物の維持管理が必要があります。また、建物に不具合があればその箇所を修繕したり、値引きなどをするケースも。
内覧を希望する人がいれば、掃除などの対応も必要です。
遠方に住んでいる場合は特に、更地にすることで維持管理や売却活動中の対応の手間が省けるメリットは大きいでしょう。
買主の立場から見ると、更地であれば購入後すぐに家を建てられるという魅力があります。
メリット
- 新築を立てたい買主にとって、解体の手間が省けて魅力的
- 内覧への対応が不要
デメリット
- 解体費用がかかる
- 建物が建っている場合に比べて、固定資産税が高くなる場合がある
不動産会社に買取してもらう
空き家でも不動産会社が買取をしてくれる場合があります。
買取は、一般的に上述した2つの方法で売却する場合の、3割減の価格で取引されます。
売却価格が安くなるデメリットがある一方で、最短1週間で売却できるというメリットもあります。
また買取の場合、不動産会社が買い上げた後、解体やリフォームを行い販売します。
「家を残して誰かに使ってほしい」と考えている方は注意しましょう。
「早く売却してしまいたい」「解体費用が捻出できない」「手間を省きたい」とお考えの方にはおすすです。
メリット
- 最短1週間で売却できる
- 費用(解体費用や仲介手数料)がかからない
デメリット
- 通常の売却方法より3割程度安くなる
- どの物件でも買取してくれるとは限らない
空き家を売却する流れ
まず最初は、空き家を売却する方法を見ていきましょう。
空き家を売却するステップは以下6ステップです。
Step1.査定を受ける
空き家を売却するにあたって、まずは査定を受けましょう。
空き家をどの方法で売却するのが一番高く売却できるかは、様々な要因によって決まります。
例えば、以下のようなものです。
- 建物の状態
- 土地の状態
- 周辺の都市計画
- 敷地の接道状況(道路に接している長さや正面の道路の幅)
そのため、いきなり解体したりリフォームしたりする前に不動産売買に十分な知識のあるプロに現状を見てもらう必要があります。
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Step2.媒介契約を結ぶ
空き家の売却方法を決めたら、不動産会社と媒介契約を結びます。
媒介契約とは不動産会社に空き家の売却をサポートしてもらう代わりに、空き家が売却できたら仲介手数料を支払う契約です。
媒介契約には、下記の3つの種類があります。
- 一般媒介契約
複数の不動産会社と媒介契約を結ぶことができ、契約の自由が高い。 - 専任媒介契約
媒介契約を結べるのは1社だが、自分で買主を見つけられる(自己発見取引が可能)。2週間に1度、不動産会社か状況報告が受けられる。 - 専属専任媒介契約
媒介契約を結べるのは1社だけで、自分で買主を見つけることもできない(自己発見取引が不可)。1週間に1度、不動産会社か状況報告が受けられる。
それぞれ特徴が異なるので、自分の状況にあった媒介契約を結びましょう。
Step3.売り出しを開始する
不動産会社と媒介契約を結んだら、売買活動が始まります。
空き家を取り壊さずに売却する場合は、購入希望者の見学を受け付ける「内覧」への対応が必要です。
内覧時の印象は空き家の売却成功を左右するため、この時期までにある程度の片付けができていると理想的です。
遠方にある実家を売却する場合など、内覧の度に立会いをすることが難しい場合にはあらかじめ不動産会社に鍵を預けておくことがおすすめです。
Step4.内覧対応をする(任意)
購入希望者から問い合わせがあると、次に内覧へと進みます。
空き家とはいえ、残置物が散らかっていたり、水回りが汚かったりすると購入意欲を阻害してしまうので、内覧に念入りに清掃するようにしましょう。
内覧時の案内は不動産会社に一任できますので、売り物件から離れた場所に住んでいる方は、無理に内覧に立ち会う必要はありません。
購入を迷っている購入希望者に対して、実際に住んでいた人が感じた魅力を話してもらえるのは貴重なことだよ!
Step5.売買契約を結ぶ
空き家の購入を希望する人が見つかれば、売買契約を結びます。
売買契約契約を結ぶ前に、引き渡し日や値下げの交渉を受けるケースもあります。
どのラインまでなら許容できるか、絶対に譲れない条件は何か、家族などと話しあっておくと良いでしょう。
Step6.決済と引き渡しを行う
売買契約時に取り決めた日に引き渡しを行います。
引き渡し日までにには、空き家にある荷物などを撤去する必要があります。また、引き渡しに必要な書類もいくつかあるので、不動産会社に相談した上で早めに取り揃えるようにしましょう。
ここまで、空き家売却の流れを見てきました。
それぞれの物件で状況や押し出すべきポイントは異なるので、空き家の売却は信頼できる不動産会社に相談しながら進めることが重要です。
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空き家売却にかかる費用・税金
大きなお金がうごく場面ではほぼ必ず税金と売却の費用が発生します。空き家の売却でも同です。売却で得た利益や、売却に向けた手続きには税金が発生します。
費用・税金 | 目安の金額 |
---|---|
仲介手数料 | (売却金額×3%)+6万円+消費税 |
解体費用 | 建物構造と坪数よる(木造で4~5万円/坪など) |
登録免許税 | (土地評価額+建物評価額)×0.4% |
印紙税 | 売却価格による(400円~6万円) |
譲渡所得税(譲渡所得が出る場合のみ) | 譲渡所得×税率 |
仲介手数料
空き家を売却する際に不動産会社を利用した場合、仲介手数料が発生します。
仲介手数料は空き家が売れた際に不動産会社に支払う報酬のことで、宅建業法46条により上限額が定められています。
不動産会社は、この上限額以下の手数料しか請求できません。
売却価格 | 仲介手数料の上限 |
---|---|
200万円以下の部分 | 5% |
200万〜400万円以下の部分 | 4% |
400万円超の部分 | 3% |
例えば、相続した家を1,000万円で売却した場合、「200万円以下の部分に5%」「200~400万円の部分に4%」「400万円を超える部分には3%」で分けて計算します。
加えて、消費税がかかるため、上限額は『396,000円』となります。
解体費用(更地にする場合)
老朽化が進み人が住めない状態の空き家は、場合によって解体が必要です。
解体費用は、家の構造や大きさ、地域や立地によって変わります。
一般的に東京、神奈川の解体費用相場は木造住宅で『4~5万円/坪』です
東京、神奈川よりも地方の場合は、上記の価格よりも安くなる傾向にあります。
登録免許税(相続登記前の場合)
登録免許税は、相続登記(名義変更)手続きの際にかかる税金です。
『固定資産税評価額の0.4%』が税額です。
相続後、相続登記をされていない方は、売却前に必ず手続きが必要です。
市区町村の役場で見れる課税台帳からも確認できるよ。
印紙税
印紙税は、売買契約書の作成にかかる税金で、売買契約書に収入印紙を貼ることで納税します。
売買契約書に記載されている金額(正確な売却金額)によって税額が変わります。
令和6年3月31日までは軽減税率が適用されるため、200円から6万円程度となります。
詳しくは、国税庁『No.7140 印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで』をご覧ください。
譲渡所得税(所得税と住民税)
空き家を売却して利益(譲渡所得という)が出た場合は、その利益に対し譲渡所得税がかかります。
譲渡所得税は、所有期間によって税率が『20.315%』か『39.63%』に変わります。
なお、相続で取得した家の場合は、前所有者の所有期間も含めます。
所有期間 | 所得税 | 住民税 | 合計 |
---|---|---|---|
長期譲渡所得(5年超) | 15.315% | 5% | 20.315% |
短期譲渡所得(5年以内) | 30.63% | 9% | 39.63% |
⇒費用・税金などを含めた、空き家として残す問題点についてはこちら
空き家売却時に節税できる特例
空き家売却時にかかる譲渡所得税は、譲渡所得(売却益)に対して課税されるため、譲渡所得の額を小さくすることで節税が可能です。
現地や不動産会社に行くための交通費などを細かく計上して、譲渡費用(売却にかかったお金)を高めて譲渡所得を減らすことも可能ですが、ここでは国の制度として用意されている各種特例をご紹介します。
空き家売却時の特例
- 相続した空き家を売った時の3,000万円特別控除の特例
- マイホームを売った時の3,000万円特別控除の特例
- 相続から3年以内の空き家なら取得費加算の特例
なお、特例を適用させる際は、確定申告が必要となります。
売却成立の翌年2月16日~3月15日の間に管轄の税務署にて確定申告を行いましょう。
相続した空き家を売った時の3,000万円特別控除の特例
被相続人が生前一人で暮らしており、相続後に空き家となってしまう家を売却する際に利用できる特例です。
譲渡所得を最大3,000万円まで控除できます。
要介護認定等を受けて老人ホームなどに入所していた場合などは例外的に対象となります。
特例の対象となる物件(すべてを満たすもの)
- 平成28年4月1日から令和5年12月31日までの間に売る物件
- 昭和56年5月31日以前に建築されている物件
- 区分所有登記されていない物件
- 相続開始前に被相続人以外に居住者がいなかった物件
マイホームを売った時の3,000万円特別控除の特例
被相続人と相続人が同居していた場合、相続人にとってのマイホームと言えます。
マイホームを売却する場合も、譲渡所得を最大3,000万円まで控除できます。
前提はマイホームであること。家屋を取り壊す場合は、取り壊した日から1年以内に譲渡契約を済ませる必要があります。
特例の対象となる物件(すべてを満たすもの)
- 自分がマイホームとして利用している物件
- 現在空き家の場合、住まくなってから3年後の12月31日までに売る物件
相続から3年以内の空き家なら取得費加算の特例
取得費加算の特例は、相続した空き家を売却する場合に、相続税の一部を取得費として加算できます。
取得費が増えると、譲渡所得(利益)が減るため税金は安くなります。
適用条件は以下の通りです。
適用要件
- 相続や遺贈によって財産を取得した人
- 財産を取得した人に相続税が課税されている
- 財産を相続した日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに譲渡している
空き家を確実に売る5つの注意点
空き家は安く売却されがちですが、どうせ売却するなら高く売りたいですよね。空き家売却の時に、工夫をすれば高く売却できる可能性があります。この章では空き家を高く売るための注意点を紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
空き家を高く売る5つの注意点
- 名義変更をしておく
- 売り出しまでの期間には余裕を持つ
- 売り出し価格は少し高めに設定する
- 空き家の片付け・掃除・換気をする
- 空き家売却の実績がある不動産会社を選ぶ
注意点①:名義変更をしておく
空き家の名義人でなければ空き家を売却できません。相続したばかりで名義が変更されていない場合は、相続登記で名義変更を行いましょう。
法務局にて相続登記を行うことができますが、手続きが複雑なため司法書士に依頼する方もいます。(相場は7~10万円)
もちろん自分で行うこともできるので、そういった作業や理解が苦痛でない方はやってみましょう。
注意点②:空き家を売却するまでの期間に余裕を持つ
空き家を売却するまでの期間には余裕を持ちましょう。売り急ぐと足元を見られて買い叩かれてしまうリスクがあります。
下の図は、株式会社Speeeが戸建て売却を行った1500人に売却までにかかった期間を尋ねた結果です。
戸建てを売却した人のうち、半数以上が売却までに半年以上かかったと回答しています。
空き家の売却までにかかる期間は、半年以上かかると想定して売却活動を行うと良いでしょう。
注意点③:売り出し価格は少し高めに設定する
空き家を売却する際、査定額よりも少し高めに売り出し価格を設定しましょう。
空き家を売却する場合、まずは不動産会社から査定を受けますが、必ず査定額通りに売却しなければならないわけではありません。
空き家をいくらで売り出すかは、査定額を参考に売主が自由に決めることができます。値下げ交渉などを得て、売主と買主が合意した売却価格で空き家は売却されます。
買主に値下げ交渉をされるケースも考慮して、売り出し価格は査定額よりも1割ほど高く設定しておきましょう。
注意点④:空き家の片付け・掃除・換気をする
空き家の不用品を片付けないと、査定時にマイナスの評価をもらう可能性があります。また、自分で片づければ費用が少額で済みますが、業者に依頼するだけで数十万円かかるので、査定前にしっかり片づけを行っておきましょう。
また掃除は必ず行いましょう。特に水回りは重点的に掃除をしておく必要があります。空き家の場合は空気がこもりやすいので、定期的に換気するなど、臭い・湿気の対策も忘れないようにしましょう。
注意点⑤:空き家の売却実績がある不動産会社を選ぶ
まずは、空き家の売却実績がある不動産会社を選びましょう。不動産会社によって強い分野があり、空き家売却の場合であれば、直近で空き家の売買件数を教えてもらいましょう。
売買実績のある会社は、それだけ買い手を見つける力に長けているので、大手か中小で不動産会社を選ぶのではなく、実績をしっかり見ておく必要があります。
売却活動を始める上で、信頼できる不動産会社を見つけることは大切です。よって、どの不動産会社に依頼するかは、複数社に査定依頼して比較しながら決めましょう。
おすすめのサービスが「不動産一括査定」です。不動産一括査定は、複数の不動産会社にまとめて査定依頼が可能なサービスのことで、1回で簡単に複数社に依頼をかけることができます。
一括査定サイトのすまいステップでは、「宅地建物取引士の資格保有者」「売買仲介の営業経験が5年以上」「累計100件以上の売買仲介の実績を保持」など高い売却スキルをもつ不動産会社にまとめて査定依頼することができます。
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記事のおさらい
空き家を売却する3つの方法は?
空き家を売却する3つの方法は以下の通りです。
- 空き家付き土地として販売する
- 空き家を解体し更地にして販売する
- 不動産による買い取りを利用する
詳しくは空き家を売却する3つの方法をご覧ください。
空き家を売却すると発生する税金・費用は?
空き家を売却すると発生する税金・費用は以下の通りです
- 譲渡所得税(利益が出る場合)
- 印紙税
- 不動産会社への仲介手数料
- 空き家の解体費用
- 不用品処分費用
詳しく知りたい方は空き家を売却すると発生する税金・費用をご覧下さい。
税金を抑える特例や控除は?
税金を抑える特例や控除は以下の通りです
- 相続した空き家につかえる3,000万円特別控除の特例
- マイホームを売却する際の3,000万円特別控除
- 相続した空き家の取得費加算の特例
詳しくは税金を抑える特例や控除をご覧ください。