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マンション売却の税金でシミュレーションしておきたい「譲渡所得税」を徹底解説!

  • 更新日:2023年3月9日
監修畑中 学
不動産に関わる相続や債務問題のトラブルシューティングを得意とし、その真摯な取り組みがNHK、読売新聞、日本経済新聞などで紹介されている。武蔵野不動産相談室株式会社代表取締役。
【保有資格】宅地建物取引士、公認不動産コンサルティングマスター、マンション管理士、管理業務主任者
【URL】武蔵野不動相談室株式会社
マンション売却の税金でシミュレーションしておきたい「譲渡所得税」を徹底解説!

初めてマンションを売却する際に、どれくらいの税金がかかるのか、最終的に売却益はどれぐらい残るのか、予めシミュレーションしておきたい人は多いのではないでしょうか。

マンション含む不動産の売却では多くの税金がかかる上に、専門用語も多く、初めての売却であれば尚更覚えるのは大変です。

この記事では、マンション売却にかかる税金を手軽にシミュレーションしたい人のために、以下の3つのポイントで初心者にも分かりやすく解説しています。

  1. マンション売却にかかる税金一覧と最も重要な税金「譲渡所得税」
  2. 知っておきたい節税対策
  3. 手軽に自分で税金をシミュレーションしたいときのおすすめサイト

不動産売却における税金は、事前に知っているかどうかで売却益に大きく差が出る場合があります。この記事を最後まで読んでいただき、是非今後の売却活動に活かしてください。

リナビス
マンション売却は計画性が大事なんだ!税金について知識を蓄えておこう!

マンション売却の税金はいくら?計算方法と節税に役立つ控除を紹介

もくじ

マンション売却でかかる4種類の税金

まずはマンションの売却でかかる各税金についてざっくり把握しておきましょう。マンション売却では主に以下の表にあるような税金がかかってきます。

税金の種類税率内容
譲渡所得税・住民税・復興特別所得税マンションの所有期間5年以下の場合:39.63%

5年超えの場合:20.315%

※10年超えのマイホームの場合:(売却した得た利益のうち6000万円まで)14.21%

マンションを売却して得た利益(=譲渡所得)に課税される税金
印紙税契約金額に準ずる

例)500万円を超え1000万円以下:5000円

5000万円を超え1億円以下:3万円

売買契約時に必要な収入印紙にかかる税金
登録免許税(抵当権抹消登記)不動産の個数1つにつき1000円売主買主双方で連帯する税

売主:ローン残債がある際の抵当権抹消登記費用

消費税10%仲介手数料、司法書士報酬費用に課税される税金

マンション売却をしたい方はこちら

譲渡所得税と住民税

税金の中で特に注意しておきたいのが譲渡所得税住民税です。

譲渡所得税とは、マンションなどの不動産を売却した際に得た利益(譲渡所得)に対して課税される税金のことを指します。

当然、売却した際の利益が大きくなればなるほど課税される金額も大きくなりますし、利益が小さければ課税も小さくなります。譲渡所得税に関しては計算方法や税率が複雑なので、第2章でより詳細に解説しています。

印紙税

印紙税とはマンションの売買契約時に添付する印紙を貼って納税する形の税金です。

契約金額本則税率軽減税率
100万円を超え500万円以下2000円1000円
500万円を超え1000万円以下1万円5000円
1000万円を超え5000万円以下2万円1万円
5000万円を超え1億円以下6万円3万円
1億円を超え5億円以下10万円6万円

登録免許税

売主には抵当権(=融資やローンの担保となっている不動産にかかっている権利)を抹消する税金を納税する必要があります。

登録免許税は不動産の個数1つにつき1000円です。

抵当権は、マンションでも土地と建物そのものに設定されています。ですので、マンションを売却する際には登録免許税は土地と建物の二つの不動産がありますから2000円ということになります。

消費税

売主が不動産会社で売却した場合は、建物に消費税がかかります。一方、売主が個人の場合は事業目的でないので消費税はかかりません

マンション売却時の消費税についてはこちら

ではどのような場合に消費税が課税されるのでしょうか?

それは司法書士に支払う報酬や仲介手数料に消費税が課税されます。

仲介手数料は「売却価格の3%+6万円」という上限が設定されています。ここに消費税が課税されますので、当然売却価格が上がれば上がるほど仲介手数料は増え、消費税も増えます。

税金のシミュレーションで最も重要な「譲渡所得税」

マンション売却では様々な税金が存在しますが、最も売却額に影響を与える税金が譲渡所得税と住民税です。

その他の印紙税や登録免除税、消費税などの税金は多く見積もっても数万円で済む程度ですが、譲渡所得税は100万円を超える場合もあります。

つまり、売却益をざっくりシミュレーションしたければ、譲渡所得税がいくらかかるか把握することが重要なポイントとなります。

※このシミュレーションでは減価償却を加味していません

リナビス
マンション売却における税金のシミュレーションは譲渡所得税を計算するのが重要なポイントなんだね!

譲渡所得税の計算方法

譲渡所得税の基本的な計算方法は以下になります。

譲渡所得税=譲渡価格(売却額)ー取得費(購入額)ー譲渡費用(譲渡にかかった経費)

取得費とは、売却するマンションを購入したときにかかった金額で、譲渡費用は譲渡するにあたって必要なった経費(仲介手数料など)になります。

マンションの所有期間で税率が変わる

譲渡所得はマンションの所有期間によって税率が変わります。

  • 所有期間が5年以下の場合(※短期譲渡所得)39.63%の税率
  • 所有期間が5年超えの場合(※長期譲渡所得):20.315%の税率
  • 所有期間が10年超えする場合:14.21%の税率(※利益の内6000万円まで)

例えば2000万円で購入したマンションを2500万円で売却した際、減価償却を考慮しない場合は差額の500万円が譲渡所得となり、この500万円に税金が課税されます。

この場合、マンションの所有期間が5年以下の場合は短期譲渡所得に該当し、

500万円×39.63%=約198万円

マンションの所有期間が5年を超えている場合は長期譲渡所得に該当し、

500万円×20.315%=約101万円

となります。

マンション売却の税金はいくら?計算方法と節税に役立つ控除を紹介

所有期間の算定方法に注意!

所有期間とは、マンションを取得した日(取得日)から売却した日(売却日)までの期間です。ただし、取得日と売却日の判定にはルールがあるため注意が必要です。

売却した日は、原則として売主が買主に不動産を引き渡した日ですが、税務上ではその年の1月1日で所有期間を判定されます。たとえば、売却したのが3月12日で所有期間がちょうど5年を超えていたとしても、1月1日で判定しますので、5年を超えていないことになります。

リナビス
所有した年数によって税率が大きく変わるんだね!

翌年に確定申告が必要

譲渡所得に対する税率は所有期間ごとに異なり、これに復興特別所得税が上乗せされる形になります。復興特別所得税とは、東日本大震災からの復興に必要な財源を確保するために創設された新しい税金です。 この税額を売却した翌年の確定申告によって納めます。
⇒確定申告の必要性について

譲渡所得税がかからないケースとは?

譲渡所得税の税率や計算方法について解説してきましたが、中には譲渡所得税が特例控除によりかからなくなる場合があります。どのようなケースなのか以下で解説していきます。

① 3000万円の特例控除が適用される場合

近年、マイホームを売却した際に売却益から3000万円が控除される「3000万円の特例控除」という特例があります。

【3000万円の特例控除の特例が適用される条件】
➀自分が住んでいた家(=マイホーム)であること、つまり投資用マンションや別荘は特例を受けることができません。
➁住まなくなった日から3年以内の12月31日までに売却していること
➂売却の前年、前前年にこの特例を受けていないこと
➃売却する相手が親子や夫婦など特別な間柄でないこと

上記の条件に該当する居住者に限り、売却益から3000万円を差し引くことができるという嬉しい制度です。つまり先の例で言うと、譲渡所得は500万円ですので、条件に適用する場合は税金がからないということになります。

② 購入時の価格よりも安く売却する場合

前述でもお伝えした通り、譲渡所得税は以下の計算式で求められます。
※減価償却をを考慮しない場合

譲渡所得税=譲渡価格(売却額)ー取得費(購入額)ー譲渡費用(譲渡にかかった経費)

この場合、3000万円のマンションを2800万円で売却することになれば、

2800万円(売却額)ー3000万円(取得費)

になり、譲渡所得税がマイナスになりますよね。譲渡所得税は売却益に課税される税金なので、購入した時よりも安くマンションを売却することになった場合、譲渡所得税はかからないということです。

譲渡所得税のシュミレーション例

それでは実際にケース別にマンションを売却した際にかかる税金をシュミレーションしてみます。

例➀ 通常のマンション(購入金額が分かり、特例を受けない場合)

3000万円で購入したマンションを3500万円で売却、所有期間は7年で、諸費用は250万円

上述の式に当てはめて計算すると、

(3500万円ー3000万円ー250万円)×20.315%=約51万円

となり、この51万円が譲渡所得税となります。

例➁ 購入金額が分からないマンションの譲渡所得税

購入金額が分からないマンションを3000万円で売却、所有期間は4年、諸費用は150万円

購入金額が分からない場合は3000万円×5%=150万円で購入したものとして計算されます。

上述の式に当てはめて計算すると

(3000万円ー150万円ー150万円)×39.63%=1070万円となります。

ちなみに特例を受ける場合は・・・

(3000万円ー150万円ー150万円ー3000万円)×39.63%はマイナスとなり、この場合の譲渡所得は0円となります。

【注意】購入金額が分かる書類を用意しておこう

購入金額が不明な場合、売却金額の5%として計算されてしまいます。

この場合、課税額が大幅に増えてしまいます。ですから、できる限り購入金額が分かる書類を見つけ出しましょう。

書類が見つからなくても、通帳の記録などが認められる場合もあるので、税務署に相談してみてください。

例➂ 相続したマンションの譲渡所得税

相続したマンションを売却する場合にも基本的には上述した計算式で求めることができます

ここで注意したいのが

  1. 相続の場合、所有期間は相続してからではなく、被相続人が購入した時から売却した時までの期間となります
  2. 一定の条件を満たせば、相続した時にかかった費用を取得費として、諸費用に加算することができる

例➃ 10年超のマイホームのマンションの譲渡所得税

購入金額が3000万円のマンションを4000万円で売却、所有期間は11年、諸費用は200万円

ここで10年超のマイホームの場合は税率が14.21%となるのでご注意ください。

上述の式に当てはめて計算すると

(4000万円ー3000万円-200万円)×14.21%=約114万円となります。

マンション売却の税金はいくら?計算方法と節税に役立つ控除を紹介

厳密にシミュレーションしたいのであれば「減価償却費」も加味する

厳密に税金を計算したいのであれば、マンションの取得費(購入費用)から「減価償却費」を差し引く必要があります。

減価償却とは、マンションを所有し利用した分価値が下がるので、購入した価格から所有期間分、価値を引きましょう、という考え方です。

減価償却費は以下の計算式で求めることができます。

減価償却費=マンションの購入価格×0.9×0.015×所有期間

ですから、仮にシュミレーション➀の条件で減価償却を行うと、

減価償却費=3000万円×0.9×0.015×7=283万円

となり、かかる税金(譲渡所得税・住民税)は

(3500万円ー(3000万円ー283万円)-250万円)×20.315%=約108万円

となります。また、減価償却は購入金額が分からず、取得価格が売却金額の5%で計算された場合には引かれないので注意しましょう。

マンション売却における減価償却費について更に詳しく知りたい人は以下の記事をご覧ください。

マンション売却時の《減価償却費》とは?意味と計算方法をどこよりもわかりやすく解説!

【節税対策】税金シミュレーションで知っておきたい特例制度

この章では知っておきたい節税の特例をご紹介します。せっかく特例があっても、知らなければ特例を受けないで売却してしまい、損をしてしまう場合があります。

ご自身に使える特例があるかどうかしっかりと確認しましょう。売却益が出た場合だけでなく、損失が出た場合に使える制度もありますので、以下で詳しく解説していきます。

売却益が出た場合の特例制度

売却益が出た場合に使える特例制度は以下になります。

① 3000万円の特例控除の特例

一定の条件を満たした場合、売却益から3000万円まで控除できる制度です。

「マイホームを売ったときの特例」

② マイホームを売却した際の軽減税率の特例

10年以上保有しているマイホームを売却した際に軽減税率が適用される制度です。

「マイホームを売ったときの軽減税率の特例」

③ 特定のマイホームを買い換えたときの特例

10年以上保有しているマイホームを買い替えた際に課税を繰り延べることができる制度です。

「特定のマイホームを買い換えたときの特例」

④ 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例

相続税を取得費用として諸費用に加算できる制度です。

「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」

損失が出た場合の特例制度

損失が出た場合に使える特例制度は以下になります。

① マイホームを買換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例

マイホームを買換えた場合に譲渡損失が生じたとき、課税を翌年以降3年内に繰り延べることが出来る制度です。

「No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」

② 特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例

住宅ローンが残っているマイホームを売却して譲渡損失が生じたとき、課税を翌年以後3年内に繰り延べることができる制度です。

「マイホームを買換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」

手軽に税金をシミュレーションしたい人は「smlt.jp」がおすすめ!

自分のマンションを売却したらどの程度の税金がかかってくるか手軽に知りたい人のために、以下では税金を手軽にシミュレーションできるサイトを紹介します。おすすめは「smlt.jp」というサイトで、簡単に使い方を紹介します。

① TOPページから「譲渡所得税」へアクセス

smltjpの使.い方①

まずはsmlt.jpのTOPページへアクセスし、「譲渡所得税」の項目をクリックしてください。

② 譲渡所得税の計算に必要な項目を入力

smltjpの使.い方②

譲渡所得税の計算に必要な以下の項目を入力します。

  1. 譲渡価格(売却額)
  2. 譲渡時にかかった諸経費は?
  3. 取得価格(購入時の価格)
  4. 取得時にかかった諸経費
  5. 譲渡した年の1月1日においての所有期間(5年以下or5年超or10年以上※居住用のみ)
  6. 3000万円特例控除の要件を満たしているか

売却活動前のシミュレーションの場合、自分の近隣のマンションの相場価格を調べておくとよいでしょう。自分で出来るマンション売却相場の調べ方は以下の記事で詳しく解説しています。

まとめ

いかがでしたでしょうか?ご自身でマンション売却にかかる税金のシュミレーションができたら次は一括査定サイトを使って実際にどれくらいの金額で売却できるか調べてみませんか?

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