住宅ローンを完済するためには、入念な支払いシミュレーションが必要です。借り入れが多くなると、完済できなくなるリスクが高まります。
しかし、あらかじめ住宅ローンを借りすぎないようにシミュレーションすれば、借りすぎる心配もなく、完済できます。
住宅ローンを払うためには、貯蓄、家計の見直し、その他のローンの把握、そして補助金制度について知っておく必要があります。
住宅ローンが払えない人はどのような特徴があるのかを知り、払えなくならないための対策を徹底的に行いましょう。
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住宅ローンが払えない人が急増している
住宅ローン返済は全員が完済できるわけではありません。
住宅支援機構が公表しているデータによると、住宅ローンを払えない人は全体の約4%です。
この数値は、25人に1人は住宅ローンを支払えずに破綻してしまう人が毎年いる計算です。
特に現在、注意すべき3つの大きな環境変化を紹介します。
物価高騰による家計圧迫
総務省のデータでは、物価上昇率が政府・日銀の目標である2%を超える水準で推移しています。(参考:総務省統計局「2020年基準 消費者物価指数 全国 2025年(令和7年)6月分(2025年7月18日公表)」)
一方で、厚生労働省の調査では賃金の上昇が物価高に追いつかず「実質賃金」のマイナス傾向が明らかになっており、これは給料が増えても生活が楽にならない状況を意味します。(参考:厚生労働省「毎月勤労統計調査(全国調査・地方調査)」)
この想定外の生活費の増加が、住宅ローンの返済をじわじわと圧迫しているのです。
金利上昇局面への突入
日本銀行が2024年に17年ぶりとなる利上げに踏み切り、金融政策を大きく転換したことを受けて、日本の金利は上昇局面にあります。(参考:日本経済新聞「日銀マイナス金利解除」)
実際に、住宅金融支援機構の「フラット35」をはじめ、各銀行の住宅ローン固定金利は上昇傾向にあります。(参考:住宅金融支援機構「金利情報」)
この流れは、特に変動金利でローンを組んでいる人にとって、将来の返済額が増える直接的なリスクとなっています。
雇用の不安定化と退職金の減少
近年、安定企業でも安心はできません。東京商工リサーチの調査では、早期退職を募った上場企業の半数以上が黒字であり、突然収入が途絶えるリスクは存在します。(参考:東京商工リサーチ「上半期(1‐6月)上場企業の「早期退職」5,364人で年間1万人ペース、黒字企業が約6割」)
さらに、経団連の調査によれば退職金制度も変化しており、かつてのように高額な退職金を前提とした返済計画は立てにくくなりました。(参考:経団連「2024年人事・労務に関するトップ・マネジメント調査結果」)
突然の収入減と、当てにしていた退職金が得られないという二重のリスクに備える必要があります。
住宅ローンが払えないとどうなる?
住宅ローンが払えないとどうなるのでしょうか。払えない場合、主に2つの方法があります。
1つ目の方法は「任意売却」です。
任意売却は自宅を売って、その利益で住宅ローン返済に充てることを指します。
しかし、任意売却の場合は、自宅が安く売れてしまうと、その分借入金が残ってしまいます。
任意売却では、家を売却したあとも、住宅ローン返済が続く可能性があります。
もう1つの方法は「競売」です。
競売は借金を回収するために住んでいた家を差し押さえられ、オークションで売却されます。
購入者の意志は全く反映されずに売却が進みます。
また、競売の場合は、住んでいた人の個人情報を知られるリスクもあり、売却額も低くなるケースが多くあります。
住宅ローンが払えなくなるのであれば、まずは任意売却を検討しましょう。
住宅ローンを払えない人の特徴とは?
住宅ローンを支払えない人は一定数いますが、自分は大丈夫だと思っている人もいます。
しかし、住宅ローンを借りる際は、借りた人全員が支払いは完了すると思い、住宅ローンを借りています。
住宅ローンを払えない人にはどのような特徴があるのでしょうか。
返済比率が25%を超える人
返済比率は年収に占める年間返済額の割合です。
返済比率が25%を超える人は住宅ローンを払えないリスクが上がります。
これは返済比率が高すぎて、家計が回らなくなるためです。一般的には返済比率の目安は20%といわれています。
日本人の平均年収である400万円で返済比率が25%の場合、月々の返済は約83,000円です。
この月々の返済額を年収400万円の人の手取りの約26万円から差し引くと、残りが177,000円です。
一見、ゆとりがありそうですが、急な病気やケガの入院などによる出費や、固定資産税といった税金の支払いなどの急な出費がある場合があります。
返済比率25%を超えると急な出費に対応できなくなり、生活資金が圧迫され、返済が難しくなります。
連帯保証人をつけないとローンが借りられない
住宅ローンを組む際には、基本的には連帯保証人を立てる必要はありません。
連帯保証人を立てることを求められる場合、収入に見合った住宅ローンの金額ではない可能性が高いです。
住宅ローンに連帯保証人を立てた場合、払えなくなった際に、親などの周囲に迷惑をかける可能性があります。
また、夫婦の一方が連帯保証人になった場合、離婚の際に連帯保証人を外すことができない可能性があります。
連帯保証人を立てないといけない場合は、住宅ローンの金額を下げるか、もしくは時期を見直しましょう。
完済の年齢が65歳を超える
住宅ローンを払えない人の特徴として3つ目に挙げられるのが、完済年齢が65歳を超えるパターンです。
65歳を過ぎると、年金生活となるため収入が減ります。
年金収入だけの生活では毎月の住宅ローンの支払いは厳しくなり、支払えなくなるケースが多くあります。
退職年齢までに住宅ローンの支払いが完了するようにローンを組むことで、余裕を持って返済ができます。
住宅ローンの返済期間が長くなれば毎月支払う返済額も小さくなり、家計への負担率は低くなりますが、退職年齢までに完済ができないと、収入が減り、家計への負担が大幅に増えます。
住宅ローンを完済するためにも退職金、退職後の収入の減少をしっかりと考慮したうえで住宅ローンの返済期間を設定しましょう。
収入が下がる可能性がある
転職等で収入が下がる可能性がある人は住宅ローンが払えなくなる場合があります。
住宅ローンを契約するときは、今の職場の年収から想定して審査がおこなわれ、借り入れをします。
そのため、転職を考えている、または転職をする可能性がある場合は、注意が必要です。
転職をして収入が下がってしまっても、毎月の返済額は変わりません。
そのため、生活費が圧迫され、住宅ローンを支払えなくなってしまいます。
住宅ローンを借りるときには、自身のキャリアプランの中で転職をする可能性があるのかをしっかりと考えて借りるようにしましょう。
払える頭金が1割以下
住宅ローンの頭金が1割以下の場合、毎月の支払い金額が多くなるため、住宅ローンを払えなくなるリスクが高くなります。
住宅ローンの頭金を1〜2割程度入れている人の場合、住宅ローン金利が優遇されたり、また万が一のときに、住宅を売りやすくなるなどのメリットがあります。
また、頭金を払っていることで金利が優遇されれば、毎月の負担も軽減されます。
住宅ローンの支払いが難しくなり、家を売却しなければいけない状況に陥ったときに、頭金を払っていると、住宅ローンの残高より家を売却した際の金額が大きくなり、売却して得たお金で住宅ローンを支払える可能性が高くなります。
変動金利のリスクを軽視している
変動金利は当初の金利が低いのが魅力ですが、将来、金利が上昇して返済額が増えるリスクがあります。特に現在の金利上昇局面では、このリスクを軽視すると返済困難に陥る可能性が非常に高いです。
「返済額は5年間変わらない」といったルールを過信するのは危険です。これは支払いを先送りにする仕組みに過ぎず、金利が上がれば支払う利息の総額が増え、元金が全く減らない状況にもなり得ます。
借りる際には、金利が2〜3%上昇しても無理なく返済できるか必ずシミュレーションし、繰り上げ返済のための資金を準備しておくなどの備えが不可欠です。
団体信用保険に加入できない
団体信用保険は住宅ローン契約者が病気や事故など万一のことがあった時でも、家族に住宅ローンの負担がかからないように備えるための保険です。
団信は住宅ローン契約者の健康状態によって審査が通過できるかが決まります。
持病や病歴があり、この審査に通過できないと、配偶者に住宅ローンの支払いが引き継がれてしまいます。
死亡や病気によって働けなくなり、世帯収入が減少したり、治療費がかかってしまうケースも想定したうえで住宅ローンを組むようにしましょう。
団信の審査基準は保険会社によって違いますが、告知書に具体的な記載があるので事前に確認しておきましょう。
住宅ローンを借りすぎないための方法
住宅ローンを借りすぎると、毎月の支払い金額は負担となり、生活が苦しくなってきます。
最悪の場合、家を手放さなければならないリスクも高くなります。
住宅ローンを借りすぎて毎日の生活が苦しくなる前に、貯蓄や家計の見直し、他のローンの支払い、補助金などの制度活用など事前にできることがあります。
住宅ローンを借りすぎてしまう前にどんな方法があるのか、1つずつ解説していきます。
貯蓄をしておく
住宅ローンを借りすぎないためには、普段から貯蓄をしておくことが重要です。
貯蓄があれば、急な出費の際にも貯蓄から返済することもできます。
住宅ローンを払っている最中も残った手残り分から、10分の1の貯蓄を目指していきましょう。
年収400万円で手取りが26万円、住宅ローンの返済が83,000円だとすれば残った177,000円のうち、18,000円程度は毎月貯金していきましょう。
毎月10分の1の貯蓄率を達成していけば確実に貯蓄は増え、急な出費の際にも対応ができ、住宅ローンを支払い完済することができます。
家計の見直しをする
住宅ローンを借りすぎないためには家計の見直しも重要です。
毎月、自分の家庭の支出がどれくらいなのか見直し、把握することで、住宅ローン返済額を余裕のある金額で設定することができます。
家計の見直しをする際には、固定費の見直しから始めましょう。
携帯通信費、電気代などは毎月発生する費用であるため、優先的に見直しましょう。
通信費や電気代は小さな金額ですが、一度見直しをおこなえば、毎月恩恵を受けられます。
また、不要な保険に加入していないか、使っていないサブスクリプションサービスはないかなど、住宅ローンを組む前に家計の見直しをおこない、不要な出費を減らしておきましょう。
他のローンを返済しておく
住宅ローンを借りすぎないために、借り入れをしている他のローンがないかを確認しておきましょう。
ローンを返済する際は、金利の高いものから優先的に返済していくことが大切です。
金利の高いローンを優先的に返済することで、総返済額を抑えることができます。
マイカーローンやカードローンなどは、毎月の返済額が小さいので後回しにしがちですが、金利が高いローンの1つです。
先に金利の高いローンを支払っておくことで、住宅ローンの借り入れをした際の家計の圧迫を防げます。
まず住宅ローンを借りる前に他のローンを見直し、返済しておきましょう。
補助金や税制優遇制度を活用する
住宅購入時には、国や自治体が用意する補助金や税制優遇制度が充実しています。これらを賢く活用することで、総支払額を大きく抑えることが可能です。
住宅ローンの借り入れをおこなう際に使える代表的な優遇制度は、例えば下記があります。
- 住宅ローン控除(減税)
- 子育てグリーン住宅支援事業(2025年度)
- ZEH(ゼッチ)補助金
「住宅ローン控除」は、年末のローン残高の0.7%が所得税や住民税の一部から最大で13年間控除される制度です。ただし、2024年以降に新築住宅へ入居する場合、原則として国が定める省エネ基準を満たさないと、この控除は利用できなくなりました。物件選びの際には省エネ性能の確認が必須です。
また、「こどもエコすまい支援事業」は2023年に終了し、2025年現在は後継制度である「子育てグリーン住宅支援事業」が実施されています。この制度は、高い省エネ性能を持つ住宅を新築する子育て世帯などを対象に、最大で100万円の補助金を受け取ることができるものです。
これらの制度をうまく活用することで、合計で100万円以上お得になるケースも珍しくありません。住宅ローンを組む前には、どのような制度が利用できるのか、必ず事前に確認しておきましょう。
住宅ローンの借り換えを検討する
住宅ローンを賢く返済していくためには、住宅ローンの借り換えを検討するのも1つの方法です。
住宅ローンの借り換えをおこなうことで、総支払額を減らし、毎月の支払い負担が小さくなるメリットがあります。
ただし、借り換えはメリットばかりではなく、デメリットもあります。
住宅ローンの借り換えをする際は、手数料がかかります。
住宅ローンの借り換えをする際は、ローンの支払額の差と借り換えにかかる諸経費を計算したうえで検討するようにしましょう。
また、金利は常に変動しているため、借り換えをおこなう際は慎重におこないましょう。
金融機関に相談する
住宅ローンを借りすぎないためにも、まずは住宅ローンについて専門である金融機関に相談しましょう。
民間金融機関では無料の住宅ローン相談会を実施しています。
相談会では、住宅ローンを払うためのシミュレーションをおこなってくれるので、住宅ローンを借りる際の参考になります。
また、いくつかの金融機関で住宅ローンについて相談することで比較ができ、安い金利の住宅ローンや自身にとって適切なプランを選ぶこともできます。
住宅ローン説明会の中には、ファイナンシャルプランナーが家計の相談を受けてくれる場合もあります。
どこで住宅ローンを借りるべきか、どのようなプランを選ぶべきかをしっかりと見極めましょう。
住宅ローンは入念な支払いシミュレーションのもと借りよう
住宅ローンを借りる場合は、借りすぎないように貯蓄や補助金などを活用して賢く住宅ローンを借りましょう。
返済比率が25%を超えるような住宅ローンを組んでしまうと、生活を圧迫し、完済できない可能性が高くなります。借りる前から複数の金融機関に相談し、入念な返済シミュレーションを行うことが重要です。
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