自治体が「管理が不十分で周囲に悪影響を及ぼす」と判断した空き家は、「特定空き家」 に指定されることがあります。
特定空き家に指定されると、固定資産税の住宅用地特例が適用されなくなるため、税額が 最大で6倍 に増えることになります。
「特定空き家」に指定される基準(例)
- 倒壊の危険がある
- 衛生上の問題がある(ゴミの放置、不法投棄など)
- 周囲の景観を著しく損なっている
- 適切な管理が行われていない
自治体から「空き家対策特別措置法」に基づき指導や勧告を受けた場合、改善しないと税額が上がるだけでなく、最終的に行政代執行(強制撤去)されることもあります。
この記事をよんで、固定資産税がいくら課税されるか知り、支払額を増やさないよう対処できるようにしましょう!



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空き家の固定資産税はいくらになる?
この章では、空き家の固定資産税の計算方法と、通常の空き家と特定空き家の計算例を紹介します。
例えば次の空き家を例にすると、固定資産税は以下のようになります。
- 家の評価額:500万円
- 土地の評価額:3,000万円
- 土地面積:350㎡
↓固定資産税の金額
通常の空き家 | 特定空き家 |
17.8万 | 49.8万 |
固定資産税の計算方法
空き家の固定資産税は「土地」と「家」における固定資産税の合算によって求められます。
固定資産税の計算式は以下のようになります。
固定資産税
=①土地の固定資産税+②家の固定資産税
①土地の固定資産税=固定資産評価額×1.4%×軽減税率
②家の固定資産税=固定資産評価額×1.4%
1.[固定資産税評価額]… 固定資産税の基準となる土地の評価額、自治体から送付される固定資産税納税通知書に掲載
2.[1.4%]…固定資産税の税率、土地も家も一律となっている
3.[軽減税率]…住宅が建っている土地に対してのみ適用(住宅用地の特例)
更地にする場合、住宅が建っている土地がなくなるため、住宅用地の特例は適用対象外となります。住宅用地の特例による軽減税率は最大1/6であるため、更地にすると固定資産税が最大6倍まで増えてしまいます。
固定資産税に適用される軽減税率
前章でお伝えしたとおり、空き家が住居とみなされる場合は「住宅用地の特例」が適用され土地の固定資産税に対してのみ軽減税率が適用されます。住宅が建っている土地についてのみ、土地面積が200㎡以下の部分には1/6、200㎡超えの部分には1/3の軽減税率が適用されます。
▼固定資産税における軽減税率
土地の敷地面積(住宅が建っている場合のみ) | 軽減税率 |
---|---|
200㎡以下の部分 | 1/6 |
200㎡を超える部分 | 1/3 |
固定資産税の計算例
本章の冒頭で紹介した空き家の例(以下)を参考に、計算方法を確認していきましょう。
- 家の評価額:500万円
- 土地の評価額:3,000万円
- 土地面積:350㎡
■空き家の場合(軽減税率が適用)
土地面積が350㎡なので、200㎡までは1/3、残りの150㎡には1/6の軽減税率が適用されます。
①家の固定資産税
=500万×1.4%=7万
②土地の固定資産税
=3,000万×1.4%×(200/350×1/3)+(150/350×1/6)=10.8万
空き家の固定資産税
=①7万+②10.8万=17.8万
■特定空き家の場合(軽減税率が適用外)
軽減税率の適用が外されるので、1.4%の税率がそのまま掛かります。
①家の固定資産税
=500万×1.4%=7万円
②土地の固定資産税
=3,000万×1.4%=42.8万円
空き家の固定資産税
=①7万+②42.8万=49.8万円
特定空き家は固定資産税が6倍に!
空き家の固定資産税は、しっかり維持管理されていれば居住者がいる場合と変わりません。しかし、放置して空き家が荒廃し、特定空き家に指定されてしまうと固定資産税は6倍になってしまいます。
この章では、特定空き家指定の条件と、特定空き家指定から増税に至る流れを解説します。
特定空き家とは
特定空き家とは平成26年に「空き家対策特別措置法」によって規定された空き家のことです。周辺の住環境や景観を著しく損ねると判断される場合に国や自治体によって認定されます。特定空き家に指定されると、その翌年から最大6倍まで固定資産税が跳ね上がってしまうので注意が必要です。
▽特定空き家の条件
以下のいずれかの条件を満たす場合、特定空き家と指定されます。
- 放置すれば倒壊など危険性がある
└例)建物の傾斜、土台の腐朽や犠害、外壁の剥落がみられる - 放置すれば著しく衛生上有害の可能性がある
└例)害虫や害獣の発生、ゴミの放置がみられる - 適切な管理が行われていないことで景観を損なっている
└例)窓ガラスが割れたまま、草木が家を覆うまで繁茂している - 周辺の生活環境の保全のため放置することが不適切な空き家
└例)土砂の大量流出、落石や枝木が通行を妨げる、空き家への侵入が容易
参考:国土交通省|「特定空家等に対する措置」に関する適切な実施を図るために必要な指針 第2章
特定空き家の固定資産税はなぜ6倍になるの
特定空き家に指定によって固定資産税が増えてしまう理由は、通常の空き家に適用される特別控除が外されてしまうためです。
通常の空き家には「住宅用地の特例」という特別控除が適用されています。住宅用地の特例とは、「土地に対する固定資産税が課税される年の1月1日において、居住用の建物が建っている土地の税率を最大1/6軽減する」という控除制度です。特定空き家は荒廃によって「居住用の建物」と法的にみなされなくなるので、最大1/6の軽減税率が解除され、税金負担が最大6倍に増えてしまうのです。
参考:金沢市公式|固定資産税の住宅用地の特例とは
特定空き家指定から増税までの流れ
特定空き家に指定をされても、特例がすぐに解除されるわけではありません。
特定空き家の指定から、法的に特例が解除されるまで一定の猶予期間があります。
よって、仮に特定空き家に指定されても猶予期間内に条件を改善すれば増税まで至りません。
- 空き家の状態が行政によって調査される
- (特定空き家の条件に該当する場合)特定空き家に指定
- 自治体から空き家の状態の改善を求める「助言・指導」をうける
- (改善されない場合)空き家を修繕 or 除去するよう書面で「勧告」をうける
- (改善されない場合)勧告後の翌年に軽減税率が解除される
(参考:国土交通省|「特定空家等に対する措置」に関する適切な実施を図るために必要な指針 第3章 )
上のとおり、特定空き家指定から特例(軽減税率)解除までに「助言・指導」→「勧告」といった猶予期間があります。助言・指導をうけて改善すれば指定は解除されます。仮に改善できない場合でも、勧告後に改善を行えば固定資産税が増税することはありません。
空き家の固定資産税対策
住んでいない家のせいで資産が減ってしまうのは避けたいですよね。そうならないためには、しっかりと空き家の固定資産税対策を行うことが大切です。
対策には様々な手段が考えられるので、以下で一つ一つ確認しながら、ご自身の状況に最も適したものを考えてみてください。
対策①:親族に貸す
親族など信頼できる人に居住してもらえれば空き家でなくなります。
住んでもらうことで維持管理を任せることができ、空き家の荒廃(=特定空き家の指定)を防止できます。また、家賃として固定資産税相当分(10万ほど)を払ってもらうことで固定資産税の負担もなくすことができます。
まずは親族に貸して、後々どうするかゆっくり考えるのも手です。相続などで空き家が生じたときには、親族会議をして、住む人や管理する人などを決めておきましょう。
対策②:空き家をそのまま賃貸物件として貸し出す
空き家の状態がよければ、市場で貸し出すのも方法のひとつです。
貸し出すメリットは、人が住むことで建物のいたみ(=特定空き家指定)を防ぐことができ、家賃収入を固定資産税の支払いにあてられることです。また、低所得者用の賃貸として貸し出せば「家賃低廉化補助制度」という補助金制度を利用でき、国や自治体から月額最大4万円を最長10年間うけることができます。
参考:八王子市公式|家賃低廉化補助制度
貸し出すデメリットは、物件管理や入居者のトラブル対応といった手間が増えることです。また、初期投資としてリフォームを費用(工事内容によっては1000万円以上)がかかることもあります。入居者が見つからなかった場合は、リフォーム費用を回収できずに空き家の維持管理と固定資産の支払いを続けることになります。
対策③:空き家をそのまま売却する
すぐにでも空き家を手放したいのであれば売却がオススメです。
売却の最大のメリットは、固定資産税の支払い自体がなくなることです。また、高値で売れる場合は売却による利益が得られます。売却益に対して課せられる税金も、相続から3年以内の売却であれば「相続空き家の3,000万円特別控除」で節税することができます。
□空き家の3000万円特別控除の適用条件
・相続の開始の直前において被相続人以外に居住をしていた人がいなかったこと
・相続発生から3年以内に1億円以下で売却
・敷地とともに建物を売却する場合は、新耐震基準に適合するリフォームを施すか、耐震基準適合証明書又は建設住宅性能評価書の写しがあること。または建物を解体し更地で売却すること
参考:国税庁
ただし、空き家が人口の少ない地方に所在している場合は、売れるまでかなり時間がかかることを覚悟しておきましょう。買い主を探す手段として、「一括査定サイトなどから不動産会社に問い合わせる」、「地方自治体の運営する『空き家バンク』などに登録する」などの手段が考えられます。不動産会社一社に問い合わせただけでは希望に沿う提案がもらえない可能性もあるので、できれば複数の不動産の査定を受け、話を聞いてみましょう。



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→空き家の売却方法の関する詳細はこちらの記事を参照してください。
以下の費用シミュレーターを使って、あなたの不動産を売ったときにかかる費用を算出してみましょう!
「売却価格」「購入価格」「物件の所有期間」「現在住宅として住んでいるか」をそれぞれ入力し、「費用を算出する」ボタンを押すと、売却時にかかる費用が自動で算出されます。
※購入価格が分からない場合は空欄で大丈夫です。
費用の内訳も表示されますので、まずはどんな費用がいくらかかるのかを把握しておきましょう。
対策④:更地にして売却又は賃貸
更地なら、家以外にも畑にしたり倉庫や太陽光パネルを設置したりなど買い手の用途が広がります。土地として貸し出したり、駐車場にしても良いでしょう。
気を付けたいのは、本当に売れるのか、貸すあてがあるかということです。解体費用は100万~150万と高額です。また、更地にすると居有用建物が取り壊されてしまうので住宅用地特例の適用外=固定資産税が最大6倍まで増加してしまいます。つまり、無計画のまま解体に踏み切ると、いつまでも買い手や借り手がつかず、解体費用を回収できないままで上がった固定資産税を払い続けることなります。よって、本当に費用対効果が見込めるのか必ず不動産会社に相談してから解体しましょう。
→解体費用の相場はこちらの記事でご確認いただけます。
また、自治体によっては解体に補助金制度をもうけています。「老朽危険家屋解体撤去補助金」「空き家解体補助金」「空き家解体助成金」「空き家解体費助成制度」など、制度の名称は自治体によって異なります。掛かった費用に応じて定額を助成する場合のほか、定率の補助金を助成するなど制度の内容も様々です。補助金支給の条件もそれぞれ違いますので、空き家の所在する自治体に相談してみてください。
また、「家を売る基礎知識を知りたい」方は家を売る記事が参考になります。