マンションの売却準備を進めるなかで、売買の流れや費用のことは分かってきたけれど、「税金」の話になった途端に「なんだか複雑で面倒そう…」と感じると思います。
「専門用語が多くてよく分からない」「結局、自分の場合はいくら税金を払う必要があるの?」といった不安から、つい後回しにしてしまいがちです。
ご安心ください。この記事を読めば、マンション売却にかかる税金の全体像がスッキリと理解でき、ご自身のケースで「いくらくらい税金がかかるのか」のイメージをつかめるようになります!
マンション売却の流れや基礎知識を知りたい方は、合わせてこちらもご覧ください。
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マンション売却にかかる税金とは
マンションの売却では、売って得た利益(譲渡所得)に対して
- 譲渡所得税
がかかります。
しかし、たとえ利益が出なかったり、購入時より安い価格でしか売れず赤字(損失)になったりした場合でも、売買契約が成立したという事実だけで支払わなければならない税金が存在します。それが以下の2つです。
- 印紙税
- 登録免許税
また、消費税が仲介手数料などにかかってきます。
譲渡取得税、印紙税、登録免許税、消費税を合わせると、実際どのくらいの税金がかかってくるのかのイメージは以下のようになります。
ケース1 | ケース2 | |
状況 | 所有期間8年 | 所有期間4年 |
売却価格 | 5,000万円 | 5,000万円 |
取得費 | 4,200万円 | 4,200万円 |
譲渡費用 | 約173万円 | 約173万円 |
利益(譲渡所得) | 627万円 | 627万円 |
税率 | 20.32% | 39.63% |
納税額(概算) | 約127万円 | 約248万円 |
「こんなにかかるのか!」
「どういう計算をしたの?」
「税率がなんで2つで差があるの?」
などと思われたと思いますが、これらはあくまで一例に過ぎません。条件によって税率などが変わったり、節税に使える特例などが使えたりします。一つずつ見ていきましょう。
必ずかかる税金
印紙税
印紙税とは、マンションの売買契約書に貼る「収入印紙」にかかる税金です。高額な取引の契約書には、その金額に応じて税金を納めるルールがあり、印紙を貼ることで納税した証明となります。
売買契約書は売主用・買主用に2通作成するのが一般的なので、それぞれが自分の契約書に貼る印紙代を負担します。
税額は契約書に記載された売買金額によって決まります。現在は軽減措置が取られており、通常より税額が安くなっています。
【売買契約金額ごとの印紙税額(2027年3月31日まで)】
契約金額 | 本則税率 | 軽減税率 |
500万円を超え1千万円以下のもの | 1万円 | 5千円 |
1千万円を超え5千万円以下のもの | 2万円 | 1万円 |
5千万円を超え 1億円以下のもの | 6万円 | 3万円 |
1億円を超え 5億円以下のもの | 10万円 | 6万円 |
5億円を超え 10億円以下のもの | 20万円 | 16万円 |
10億円を超え 50億円以下のもの | 40万円 | 32万円 |
50億円を超えるもの | 60万円 | 48万円 |
※参考:国税庁「不動産売買契約書の印紙税の軽減措置」
登録免許税
住宅ローンを組んでマンションを購入した場合、金融機関がそのマンションを担保に取る権利(抵当権)を設定しています。
マンションを売却する際は、この抵当権を抹消してクリーンな状態にする必要があり、その登記手続きにかかるのが登録免許税です。
税額はシンプルで、以下の通りです。
不動産1個あたり:1,000円
マンションは「土地」と「建物」の2つの不動産として扱われることがほとんどなので、合計で2,000円の登録免許税がかかると考えておけば良いでしょう。
なお、この抵当権抹消手続きは司法書士に依頼するのが一般的なため、2,000円の税金とは別に、1万円~2万円程度の司法書士への依頼費用(報酬)が別途かかります。
仲介手数料などにかかる消費税
個人が住んでいたマイホームを売却する場合、マンションの売却代金そのものに消費税はかかりません。
しかし、売却を手伝ってくれた不動産会社へ支払う「仲介手数料」や、前述の登記手続きを依頼した司法書士への「報酬」といったサービス料には、10%の消費税がかかります。
例えば、仲介手数料が150万円だった場合、消費税はその10%である15万円が加算され、実際に支払う額は合計165万円となります。
これらの費用は「必ずかかるお金」として、事前に予算に組み込んでおきましょう。
利益が出た場合に譲渡取得税がかかる
マンションの売却で利益が出たら、利益に対して税金がかかります。かかる税金を「譲渡所得税」といいます。
しかし、そもそもマンションの売却における「利益」とは、どういったものを表すのでしょうか。
そもそも「利益」とはなにか
マンション売却の「利益」を求める計算式を簡単に表すと、以下のようになります。
- 取得費:マンションの購入時にかかった費用。
- 譲渡費用:マンションの売却に直接かかった費用。
- 控除金額:課税の対象となる利益から差し引ける金額。
「譲渡所得税」がかからないケース
「譲渡所得税」は、マンションを売却した利益に対して課されるため、以下の場合には課税されません。
- マンションの購入時の代金よりも安い価格で売却した
- マンションの購入時の代金と売却価格がほぼ変わらない
- 売却したのが住んでいたマンションで、購入時よりも値上がりした金額が3,000万円以内
①のケースは、「譲渡損失」になるため、譲渡所得税はかかりません。
②と③のケースは、きちんと計算してみる必要がありますが、譲渡所得税がかからない可能性が高いです。
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マンション売却の利益を計算する方法
マンションの売却で得られる利益を、「譲渡所得」といいます。
売却の利益(譲渡所得)の計算式
改めて、計算式を見てみましょう。
▼譲渡所得とは
「譲渡所得」とは、課税の基準となる金額です。
利益、売却益、譲渡益とも呼ばれます。
▼収入金額とは
「収入金額」とは、マンションを売却して、支払われる金額のことです。
売却価格や、譲渡価格、譲渡収入金額とも呼ばれます。
▼取得費とは
「取得費」とは、マンションの購入時にかかった費用です。
取得費の具体例
- マンションを購入した代金
- 購入時の売買契約書の印紙税
- 所有権移転登記の登録免許税
- 不動産取得税
- 仲介手数料
取得費がわからない・証明できる書類がない場合、「マンションの売却価格×5%」の金額を、概算取得費として計上できます。
▼譲渡費用とは
「譲渡費用」とは、マンションを売却した時に直接かかった費用のことです。
譲渡費用の具体例
- 売却時の仲介手数料
- 売却時の売買契約書の印紙税
- 仲介手数料
- 売却活動中に行った補修やハウスクリーニングの費用
マンションの居住中のリフォーム費用など、維持や管理にかかっていた費用は含まれません。
▼控除金額
「控除金額」とは、確定申告で特例の適用を申請することで、差し引くことのできる金額です。
譲渡所得の金額が差し引かれることで、課税額を抑えられます。
減価償却費の計算
取得費に「マンションを購入した代金」を計上する場合、元の金額から「減価償却費」を差し引く必要があります。
建物は経年劣化するため、築年数を重ねるごとに価値が落ちていきます。
よって、購入当時から価値が下がった分を「減価償却費」として差し引くことで、現在のマンションの価値を金額に反映するのです。
減価償却費の計算方法は、次の通りです。
償却率と耐用年数は、建物の目的や構造によって異なります。
居住用の不動産 | 事業用の不動産 | ||||
---|---|---|---|---|---|
耐用年数 | 償却率 | 耐用年数 | 償却率 | ||
建物構造 | 木造 | 33年 | 0.031 | 22年 | 0.046 |
軽量鉄骨 | 40年 | 0.025 | 27年 | 0.0638 | |
鉄筋コンクリート | 70年 | 0.015 | 47年 | 0.022 |
なお、居住用と事業用では耐用年数や償却率が異なります。
マンション売却時の「減価償却費」とは?計算方法と税金への影響について解説
マンション売却にかかる利益の計算方法
マンション売却における利益である、「譲渡所得」が算出できたら、税率をかけ合わせて譲渡所得税が計算できます。
譲渡所得税の税率は、マンションを所有していた期間によって変わります。
マンションを売却した年の1月1日時点で所有期間が5年以下なら39.63%(「短期譲渡所得」の税率)、5年を超えていたら20.315%(「長期譲渡所得」の税率)が適用されます。
項目 | 所有期間 | 所得税 | 復興特別所得税 | 住民税 | 合計 |
---|---|---|---|---|---|
短期譲渡所得 | 5年以下の場合 | 30% | 0.63% | 9% | 39.63% |
長期譲渡所得 | 5年超の場合 | 15% | 0.315% | 5% | 20.315% |
長期譲渡所得 (軽減税率を適用した場合) | 10年超の場合 | 10%(※) | 0.21%(※) | 4%(※) | 14.21%(※) |
横にスクロールしてご覧ください。
(※)軽減税率が適用されるのは、6,000万円以下まで。6,000万円を超えた金額に対しては、長期譲渡所得の税率が適用されます。
以下の費用シミュレーターを使って、あなたの不動産を売ったときにかかる費用を算出してみましょう!
「売却価格」「購入価格」「物件の所有期間」「現在住宅として住んでいるか」をそれぞれ入力し、「費用を算出する」ボタンを押すと、売却時にかかる費用が自動で算出されます。
※購入価格が分からない場合は空欄で大丈夫です。
費用の内訳も表示されますので、まずはどんな費用がいくらかかるのかを把握しておきましょう。
マンション売却の利益を増やす7つのコツ
マンションを売却して、手元に残る利益額を増やすためには、「収入を増やすこと」と「支出を減らすこと」の両方を押さえましょう。
この章では、以下の7つのコツについて、詳しく解説します。
収入を増やす | 支出を減らす |
---|---|
①時期を見計らって売却する
購入希望者が増える、2月~3月を狙ってマンションを売り出すことで、高い価格で売れやすくなります。
転勤や転職、子どもの進学などで、4月から新生活を送り始める人は多いです。そのため2月から3月にかけては、マンションを購入したい・買い換えたいという需要が増えます。
※レインズマーケットインフォメーション「マーケットデータ(2019年12月度 ※)」より編集部作成
※コロナ流行中の緊急事態などによる成約数の誤差を避けるために、2019年度のデータを元にグラフ化しています。
マンションを売る人に対して、買いたい人の数が多い時は、売主の希望価格で売りやすくなるので、狙い目なのです。
マンションを2月~3月に売却するには、遅くても12月には売却に向けて動き出しましょう。
1月中に不動産会社の査定を受けて契約し、売却の準備をすることで、2月には売りに出ている状態にできます。
②売却期間に余裕を持つ
高い価格で売りたい場合は、その価格で買ってくれる人を粘り強く待つ必要があります。
中古マンションの購入希望者は「できるだけ安く買いたい」と考えています。そして、不動産取引では、値引き交渉はよくあることです。
できる限り安く買いたい購入希望者の中から、こちらの売却希望価格で購入してくれる人や、値下げ幅の少ない人を買主に選ぶには、ある程度時間をかけて多くの買い手を募らなければなりません。
いつまでに売らなければいけないという売却の期限がある場合には、早めに売却活動を始めましょう。
③高く売れる不動産会社を見つける
不動産会社には、取り扱う物件種別や地域について、それぞれ得意分野があります。
マンションを売却するのであれば、マンションの売却が得意な不動産会社に仲介を依頼しましょう。
不動産会社の得意分野を知るには、その会社が公表している仲介実績が参考になります。
また、複数の不動産会社に査定を依頼して、査定結果を比較することも重要です。
査定額は不動産会社によって、大きく差が出ることもあります。先述の通り、不動産会社によって得意分野が異なるからです。
複数の不動産会社に査定を依頼する時は、インターネットで一括査定サイトを利用すると便利です。
不動産一括査定サイトのすまいステップでは、最大4社にまとめて査定の依頼ができす。
すまいステップの査定に参加している企業は、独自の審査基準を満たした優良な不動産会社のみとなっているため、安心して利用できます。
また、各社エース級の担当者が対応してくれます。高額売却を目指したい方は、是非利用してみてください。



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④リフォームはしない
経年でマンションの価値が下がった分を補うためにリフォームを実施しても、かかった費用を売却価格に上乗せできるとは限りません。
そのため、リフォームせずにマンションを売却するのがおすすめです。
引用:国土交通省「中古住宅・リフォームトータルプラン 参考資料」
特に中古マンションを検討している人は「価格の安さ」や「自分でリフォームできること」を重視しているため、リフォームの結果、かえって買い手がつきづらくなることもあります。
リフォームが効果的な場合もありますが、いずれにしても自己判断では行わず、リフォームの実施は不動産会社とよく相談してから決めましょう。
⑤領収書を全て保管しておく
マンションを売却した時にかかる税金は、代金による収入から「経費」を差し引いた金額(譲渡所得)に、税率をかけ合わせることで計算します。
この「経費」には、マンション購入時にかかった費用と、マンション売却に直接かかった費用が含まれます。
かかった費用を「経費」として計上できるように、領収書など支払いを証明できる書類をきちんと揃えておくことで、税金額を減らせます。
⑥控除などの特例を利用して節税する
経費を計上する以外にも、控除を受けたり、税率が軽減できる特例を利用したりして、かかる税金を節税する方法もあります。
節税できれば手元に残るお金を増やせるため、利用できる特例がないか調べてみましょう。
ここでは、マンションの売却で活用できる可能性がある特例として、以下の3つをご紹介します。
なお、特例を適用する場合には、確定申告で申請する必要があります。
▼3,000万円の特別控除の特例
《3,000万円の特別控除の特例》は、「居住していたマンション」を売却した場合に、最大3,000万円の控除を受けられる特例です。
課税の対象である「収入から経費を差し引いた金額(譲渡所得)」から、更に最大3,000万円を差し引けます。差し引いた結果、金額が0を下回る場合は、納税額が0円になります。
ただし、住宅ローン控除とは併用できません。住み替えの場合は、どちらを適用するべきか、よく検討しましょう。
▼所有期間10年超の軽減税率の特例
《所有期間10年超の軽減税率の特例》は、売却した年の1月1日時点で所有期間が10年を超える「居住していたマンション」を売却する場合に、「収入から経費を差し引いた金額(譲渡所得)」にかけ合わせる税率を更に軽減できる特例です。
詳しい適用要件は、「国税庁|No.3305 マイホームを売ったときの軽減税率の特例」をご覧ください。
▼マイホームの買い換え特例
《マイホームの買い換え特例》は、住み替えのためにマンションを売却した価格よりも買い換えた家の金額が高い場合に、「収入から経費を差し引いた金額(譲渡所得)」にかかる税金の課税を先送りにできる特例です。
先送りにされた課税は、買い換えたマイホームを将来売却する時に、合わせて課税されます。
特例の適用を受けるには、売却するのが「所有期間が10年を超えた居住用のマンション」である必要があります。
また、先に紹介した「3,000万円特別控除の特例」や「所有期間10年超の軽減税率の特例」とは併用できません。
買い換え先のマイホームについても、条件があります。
詳しくは、「国税庁|No.3355 特定のマイホームを買い換えたときの特例」をご覧ください。
(対象となる期間は2023年12月31年までに延長されています。)
⑦仲介手数料を安く抑える
「仲介手数料」を値引きしてくれる不動産会社を選ぶことで、手元に残るお金を少しでも多くするという方法もあります。
仲介手数料とは、マンションを不動産会社の仲介で売却した場合に支払う報酬のことです。
仲介手数料の金額は、不動産会社ごとに決められていますが、法律で上限金額が定められています。しかし、下限については定められていません。
そのため、中にはキャンペーンなどで仲介手数料を半額にしたり割引したりしてくれる不動産会社もあります。
マンション売却は利益を計算しておこう
マンションの売却価格は、そのまま利益になる訳ではありません。
手元に残る金額は、売却価格から税金や仲介手数料などを差し引いたものになります。
住み替えで次の住宅購入の資金計画を立てる方は、利益をきちんと計算しておくとよいでしょう。
手元に残る金額を増やすには、「高く売ること」と「支出を減らすこと」を意識しましょう。
不動産会社によっては仲介手数料を値引きしてくれるところもあります。
また、マンションの売却が得意な不動産会社を選んで仲介を依頼すると、より高い価格での売却を目指すこともできます。
信頼できる不動産会社を見つけるには、すまいステップの利用がおすすめです。
独自の厳しい審査をクリアした全国の優良な不動産会社のみが登録しているため安心して利用することができます。

- 監修寺岡 孝
- アネシスプランニング株式会社 代表取締役。
大手ハウスメーカーに勤務した後、2006年にアネシスプランニング株式会社を設立。
住宅の建築や不動産購入・売却などのあらゆる場面において、お客様を主体とする中立的なアドバイスおよびサポートを行い、これまでに2500件以上の相談を受けている。
【保有資格】相続診断士 住宅ローンアドバイザー 他。
【URL】アネシスプランニング株式会社