利益が出て、新しい家に《買い換えない》場合『不動産を売ったお金の内、どれくらい税金で持っていかれてしまうんだろう…?』
不動産を売却すると、売却価格の金額が売主に支払われます。
不動産売却でかかる税金は、この収入金額に対してではなく、「売却益」に課されます。
本記事の解説をチェックして、納税に備えましょう!



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不動産売却益とは
不動産売却益(譲渡所得)とは、不動産を売却して得た金額から、売却するためにかかった費用と、売った不動産を購入した際にかかった費用を差し引いた金額です。
日本の税法では、売却益に対して税金が課されます。
不動産売却益にかかる税金は、分離課税です。給与所得など他の所得とは分けて、税金額を計算します。
不動産の売却における経費は、不動産を購入する時にかかった費用と、売却する時にかかった費用の合計金額になります。
実際に不動産を売却して利益が出た場合、やるべきことは以下の5つのステップに分けられます。まずは全体像を掴んでおきましょう。
【不動産売却益が出た後の5ステップ】
- Step 1: 売却益(譲渡所得)を計算する
売却価格から経費を差し引き、正確な利益額を算出します。 - Step 2: 使える節税特例を確認する
マイホームの売却であれば「3,000万円特別控除」など、税金の負担を軽くできる特例がないか確認します。 - Step 3: 納税額を計算する
特例を適用した後の利益に、所有期間に応じた税率を掛けて、最終的な納税額を確定させます。 - Step 4: 確定申告を行う
不動産を売却した翌年の2月16日〜3月15日の間に、税務署へ確定申告を行います。(※損失が出た場合も、特例を使うなら確定申告が必要です) - Step 5: 納税する
確定申告の期限内(原則3月15日まで)に、算出した税金を納付します。
このように、利益の計算から納税まで、一連の手続きが必要になります。
「計算が難しそう…」「どんな特例があるの?」と不安に思うかもしれませんが、ご安心ください。この記事で、各ステップを一つずつ詳しく解説していきます。
複数の不動産会社に査定を依頼し、査定結果を比較することで、より高い値段での売却を目指しましょう。



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不動産売却益の計算方法
不動産売却益は、次の計算式で求められます。
売却価格とは
「売却価格」とは、不動産を売却して、支払われた金額のことです。
譲渡価格、譲渡収入金額などとも呼ばれます。
取得費とは
「取得費」とは、売却した不動産を「取得した時にかかった各種費用」のことです。
取得費として計上できる主な費用は、次の通りです。
取得費になるもの
- 売却した不動産を購入した時の代金
- 建物の建築にかかった代金
- 不動産購入時の仲介手数料
- 購入時に支払った税金
- 設備費
- 土地の改良費
- リフォーム費用 など
より詳しく知りたい方は、国税庁ホームページの「No.3252 取得費となるもの」をご覧ください。
※減価償却とは
建物や各種設備は経年によって劣化するため、消耗した部分の価値を計算で差し引く必要があります。これを、「減価償却」といいます。
土地の場合は購入代金がそのまま取得費に加算できますが、中古の建物については、購入代金から減価償却費相当額を差し引かなければなりません。
- 減価償却の計算方法についてはこちらをクリック
譲渡費用とは
「譲渡費用」とは、不動産を売却した時にかかった費用のことです。
譲渡費用として計上できる主な費用は、次の通りです。
譲渡費用になるもの
- 不動産会社に支払った仲介手数料
- 印紙税
- 売却のために支払った建物の取壊し費用
- 売却のために支払った立退料 など
より詳しく知りたい方は、国税庁ホームページの「No.3255 譲渡費用となるもの」をご覧ください。
控除金額とは
「控除金額」とは、課税の対象となる売却益(譲渡所得)から、差し引くことのできる金額です。
所得税は、売却益に応じて課税されるので、売却益の金額が小さくなると、課税額も少なくなります。
税法には、政策上の様々な目的から、条件を満たすと控除を受けられる特例が設けられています。
不動産売却益にかかる税金
不動産売却益(譲渡所得)には、「譲渡所得税」がかかります。
譲渡所得税とは
不動産売却益(譲渡所得)に応じて課される、以下の3つの税金の総称です。
- 所得税
- 住民税
- 復興特別所得税
所得税は国に、住民税は自治体に納める税金です。
2037年(令和19年)12月31日までは、所得税額2.1%分の復興特別所得税も合わせて国に納めます。
売却価格よりも取得費や譲渡費用、控除金額が上回り、売却益が出ない場合や、損失が出た場合は譲渡所得税は課されません。
譲渡所得税の計算方法
不動産売却益にかかる譲渡所得税は、次の式で計算します。
所得税率は所有期間によって変わる
所得税と住民税の税率は、売却する不動産の所有期間によって異なります。
所有期間が5年超えのものは長期譲渡所得、所有期間が5年以下のものは短期譲渡所得になります。
譲渡所得 | 所有期間 | 税率 |
---|---|---|
短期譲渡所得 | 5年以下 | 39.63%(所得税・復興特別所得税 30.63% 、住民税 9%) |
長期譲渡所得 | 5年を超え | 20.315%(所得税・復興特別所得税 15.315% 、住民税 5%) |
費用総額シミュレーターで売却にかかる費用を算出してみよう
以下の費用シミュレーターを使って、あなたの不動産を売ったときにかかる費用を算出してみましょう!
「売却価格」「購入価格」「物件の所有期間」「現在住宅として住んでいるか」をそれぞれ入力し、「費用を算出する」ボタンを押すと、売却時にかかる費用が自動で算出されます。
※購入価格が分からない場合は空欄で大丈夫です。
費用の内訳も表示されますので、まずはどんな費用がいくらかかるのかを把握しておきましょう。
【ケース別】不動産売却の最適な節税方法
ここまで、譲渡所得税が不動産売却益(譲渡所得)に対して課税されるということを解説してきました。
つまり、売却益(譲渡所得)の金額をいかに抑えられるかが、税金額を安くするポイントになります。
売却益の金額を抑えるには、以下の2点を心がけましょう。
- 領収書を揃えて取得費や譲渡費用を残さず計上する
- 控除や軽減税率を適用できる特例を利用する
取得費や譲渡費用として計上できる金額には、どうしても限界があります。
そこで、利用できる控除や軽減税率を適用できる特例がないか探して、活用しましょう。
この章では、ご自身の状況に最も近いケースを選んで読むだけで、使える制度や取るべきアクションがわかるように、完全にケース分けして解説します。
マイホーム(自分が住んでいた家)を売る場合
ご自身やご家族が住んでいた家を売却する、最も一般的なケースです。
利益が出て、新しい家に《買い換えない》場合
このケースでは、「利益を圧縮する特例」を使い、支払う税金を減らすことが目標です。
使える制度①:3,000万円特別控除
【特例の説明】
特例とは、一定の条件を満たすことで税金の負担を軽くできる特別な制度です。マイホーム売却において、この「3,000万円特別控除」は売却で得た利益(譲渡所得)から最大3,000万円までを差し引くことができる、最も代表的で強力な制度です。利益が3,000万円以下なら、この特例だけで税金がゼロになります。
【主な要件】
- 自分が住んでいること
- 住まなくなってから3年以内に売ること
- 親子や夫婦間での売買でないこと
より詳しい適用条件は、国税庁ホームページ「No.3302 マイホームを売ったときの特例」をご参照ください。
使える制度②:軽減税率の特例(所有期間10年超の場合)
【特例の説明】
こちらは、利益が高額になった場合に税率そのものを通常より低くしてくれる特例です。通常、不動産売却益にかかる税率は約20%〜39%ですが、この特例を使えば以下のような税率になります
項目 | 6,000万円以下の部分 | 6,000万円を超えた部分 |
---|---|---|
所得税 | 10.21% | 15.315% |
住民税 | 4% | 5% |
合計 | 14.21% | 20.315% |
【主な要件】
- 売却した年の1月1日時点で、土地・建物の所有期間が10年を超えていること。
より詳しい適用条件は、国税庁ホームページ「No.3305 マイホームを売ったときの軽減税率の特例」をご参照ください。
【ポイント】
「3,000万円特別控除」とセットで使えます。高額な利益が出た場合の税負担を大きく軽減できます。
利益が出て、新しいマイホームに《買い換える》場合
このケースでは、2つの選択肢があり、どちらか一方を選ぶ必要があります。
選択肢①:「3,000万円特別控除」+「軽減税率の特例(該当する場合)」を利用
【メリット】
今回の売却にかかる税金を、その場で最大限安くできます。
【おすすめな人】
とにかく今回の納税額を減らしたい方。
選択肢②:「特定の居住用財産の買換えの特例」を利用
【特例の説明】
新しいマイホームに買い換える場合限定で、売却益に対する課税を、新しく買った家を将来売却する時まで繰り延べ(先送り)できる制度です。目先の納税はなくなりますが、税金が免除されるわけではない点に注意が必要です。
より詳しい内容は、国税庁ホームページ「No.3355 特定のマイホームを買い換えたときの特例」をご参照ください。
【メリット】
手元の現金を最大限残して買い換えに充てられます。
【おすすめな人】
手元資金を厚くしたい方、新しく買う家は将来売却益が出ない可能性が高いと考えている方。
損失が出てしまった場合
損失が出た場合、不動産売却益に対する税金はかかりませんが、確定申告をすれば、払いすぎた税金が戻ってくる可能性があります。
住宅ローンが残っていない場合
使える制度:譲渡損失の損益通算・繰越控除
【特例の説明】
「損益通算」とは、不動産売却で生じた赤字を、ご自身の給与所得や事業所得などの黒字と相殺する手続きです。相殺することで全体の所得が減り、すでに納めた所得税が還付されたり、翌年の住民税が安くなったりします。「繰越控除」とは、その年に相殺しきれなかった損失を、翌年以降3年間にわたって繰り越して控除できる制度です。
より詳しい内容は、国税庁ホームページ「No.3370 マイホームを買い換えた場合に譲渡損失が生じたとき」をご参照ください。
【ポイント】
損失が出たからといって何もしなければ適用されません。節税のためには必ず確定申告が必要です。
住宅ローンが残っている場合
使える制度:特定の居住用財産の譲渡損失の損益通算・繰越控除
【特例の説明】
こちらは、売却したマイホームに住宅ローンが残っている場合に使える、さらに手厚い損益通算の特例です。適用できれば、上記の制度よりも有利になる可能性があります。
より詳しい内容は、国税庁ホームページ「No.3390 住宅ローンが残っているマイホームを売却して譲渡損失が生じたとき」をご参照ください。
【ポイント】
こちらも、損失が出たからといって何もしなければ適用されません。節税のためには必ず確定申告が必要です。
相続した不動産を売る場合
親などから相続した不動産を売却するケースです。「誰が」「どのように」住んでいたかで使える制度が異なります。
親などが一人で住んでいた「空き家」を相続して売る場合
使える制度:相続空き家の3,000万円特別控除
【特例の説明】
相続によって取得した空き家を売却する際に使える専用の制度で、利益(譲渡所得)から最大3,000万円を控除できます。マイホームの3,000万円控除とは別の制度で、適用要件がより細かいのが特徴です。
【主な要件】
- 被相続人が一人暮らしであったこと
- 相続開始から3年以内に売ること
- 売却代金が1億円以下であること
- 売る前に耐震リフォームを行うか、家を取り壊して更地で売ることなど。
より詳しい適用条件は、国税庁ホームページ「No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」をご参照ください。
利益が出て、新しいマイホームに《買い換える》場合
この場合、ご自身が被相続人の居住を引き継いでいるため、実質的に「マイホームを売る場合」と同じ扱いになります。
使える制度:上記の「利益が出て、新しい家に《買い換えない》場合」または「利益が出て、新しいマイホームに《買い換える》場合」で解説した特例が適用できる可能性があります。
【ポイント】
「取得費」や「所有期間」は、亡くなった親(被相続人)がその不動産を取得した時期や金額を引き継いで計算します。
また、最大4社までの査定なので、十分に比較をした上で、売却を任せる不動産会社選びをスムーズに進めやすいです。



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不動産の譲渡所得税の確定申告
不動産売却で発生する譲渡所得は分離課税になるため、確定申告をしなければいけません。
確定申告をしないと、取引で得た譲渡所得を正しく申告しないことになり、最悪の場合は脱税に該当します。
一方、売却損が出た場合は確定申告をすることで給与所得から差し引き、減税することができる利点もあります。
確定申告と納付する時期
確定申告を行うのは、不動産を売却した年の翌年の確定申告期間内です。
2023年1月1日~12月31日の取引 ⇒ 2024年の確定申告
申告期間は、2月16日から3月15日です。
(曜日の関係で、年度によって若干ずれ込むことがあります。)
この期間に申告しなければペナルティを課せられて、税負担が大きくなる可能性があるため、注意しましょう。
確定申告を行う方法
確定申告を行う方法は複数あり、主なやり方だと次のものが該当します。
- 税務署の窓口で申告
- 税務署の時間外文書収受箱への投函
- 確定申告会場で申告
- e-taxで電子申告
申告方法はどれでも構わないため、期間内に素早く終えることが大切です。
期限ぎりぎりになると各種窓口は混み合いますので、余裕をもって申告しましょう。
確定申告の時期になると税務署などで無料相談会を行っていることもあります。
書類作成で困ったことがあれば相談してみましょう。
納税する方法
納税が必要な場合は口座振替や現金、クレジットカードなど、複数の方法で納税できます。
また、反対に税金が還付される場合は、口座を指定して振り込んでもらいます。
クレジットカードが利用可能なものは、カードで支払うとポイントが貯まり、少しでもお得になるのでおすすめです。
不動産売却益が出たら控除を活用して節税しよう
不動産売却益が出た場合は、売却益の大きさに応じて税金がかけられるため、節税を考えて利用できる制度は積極的に活用することが大切です。
また、売却後には確定申告が必須なため、早めから準備を整えておかなければなりません。
不動産は売って終わりではないため、その後のことも考えて準備を進めておきましょう。