マンションで楽器を演奏するときは、近所迷惑にならないように防音対策のとられたマンションではないといけません。何も対策していないマンションで楽器を弾いてしまうと、近所迷惑となってしまい、トラブルを起こすことになってしまいます。
そうなってしまわないためには、防音対策のとられたマンション選びが大切です。音楽のある暮らしを楽しめるマンション選びをするために、楽器演奏できるマンションの特徴をはじめ、すぐに楽器OKのマンションへ引っ越しができないという場合の対処法などを紹介していきます。
マンション購入で後悔した理由と失敗しない5つのポイントを解説!
楽器演奏可能なマンションの特徴
音楽を思う存分楽しむにあたって、楽器を演奏することができるマンションの特徴について見ていきましょう。楽器演奏可能物件を探すときは、これらの特徴を覚えておき、マンション選びの参考にしましょう。
防音対策が施されて安心して楽器演奏できる物件
楽器奏者にとっては、演奏できる場所と練習時間というのは大事なポイントです。そこで家で気兼ねなく練習することができたら何よりのことではないでしょうか。賃貸物件によっては、楽器演奏可能なところがあります。そのような物件は、しっかりとした防音対策をしていることが多いです。
防音対策といってもマンションによってはそれぞれ違いがあり、どのような練習をしたいのか自身のやり方によってもマンション選びは変わります。まずは、マンションの防音対策について見ていきましょう。
部屋全体が防音設備が整っている
マンションのみならず、物件には基本構造がそれぞれ異なります。木質系と呼ばれる木造タイプ、軽量鉄骨系と呼ばれる鉄骨タイプ、そしてコンクリート系と呼ばれる鉄筋コンクリート造タイプです。その鉄筋コンクリート造のマンションの場合、防音性は高いとされています。
例えば壁は、二重や三重な構造になっていることが多く、床に関しても下の階に響きにくくする湿式二重床工法と呼ばれるやり方で造られていることが多いです。窓は音が漏れにくい二重サッシ、扉に関しても防音対策がされている分、通常の扉よりも重みがありますが、音漏れはしにくい構造になっています。
このように、壁や床、扉までもしっかりとした防音設備がされているマンションでは、24時間の楽器演奏が可能です。
部屋の一部だけが防音対策が施されている
マンション自体が防音対策とられている部屋もあれば、中には特定の部屋だけが防音設備が整われていることもあります。つまり、その部屋以外は通常の防音されていない部屋です。そして、防音されている部屋ならば、24時間演奏は可能となっているところが多いので、安心して楽器を弾くことはできるでしょう。
マンション内で共用できる防音スペース
ピアノを置けるほどのレッスン室や、映画鑑賞、楽器の演奏などに利用できるシアタールームという共用施設があるマンションもあります。共用ですので、他の住人の方も利用する形になり、いつの時間でも可能というわけにはいきません。物件にもよるので明確には言えませんが、時間が定められているマンションもあります。
また、利用料は無料の場合もあるため、気兼ねなく利用できるところが大きなメリットでしょう。もちろん二重サッシなど、防音対策はしっかりとられています。
決められている時間内であれば楽器演奏できる物件
24時間演奏可能ではないけれど、決められた時間帯内なら楽器の演奏しても大丈夫とされる物件もあります。例えば夜間などは時間外にされていることが多いので要注意です。また、防音設備してるといっても、通常のマンションと特に設備に差がないことも有り得るため、その場合でも注意は必要でしょう。
万一、決められた時間帯以外に楽器演奏してしまうと、近所迷惑となり、大家や隣近所との騒音トラブルに発展しかねませんので覚えておきましょう。
指定された楽器なら大丈夫な物件
楽器といっても、様々な種類の楽器が存在します。そのため、演奏可能な楽器が決められている物件も中にはあります。限定されている楽器以外は使用してはいけないため、そこは予めチェックしておく必要はあるでしょう。
楽器の種類によって発する音量は異なる
楽器によって音の大きさは異なります。音の大きさの単位は「dB(デシベル)」で表しますが、例えばクラシックギターやヴァイオリンは80~90dBです。この数値は、パチンコ店の騒音レベルとされています。ピアノとなればそれ以上、サックスなどの金管楽器やドラムは、地下鉄以上と言われているほど、相当の騒音となってしまいます。
音というのは何をしてても耳に入ってきますので、ドラムやトランペットレベルになると、ジェット機や落雷レベルの騒音となり、迷惑をかけないよう対策をとらねばなりません。
楽器の種類によっては演奏不可の場合も
不動産会社によっては、演奏しても良いとされている楽器指定があります。予めチェックしておく必要があるのと、特に記載がされていない場合もあるため、そのときも不動産会社に確認をしておく方が良いでしょう。個人の判断で勝手に楽器を演奏してしまうと、隣近所の住民に迷惑がかかり、後々に様々なトラブルが起きる可能性は否めません。
楽器応相談物件の場合はじっくり考える
楽器応相談物件は元々は通常のマンションとなっていましたが、何かしらの事情によっては応相談にする場合があります。例えば長期間空き家の状態で、本当は楽器演奏が駄目な物件でも、「楽器相談物件」と掲載していることもあるということです。
この場合は、通常のマンションですので防音対策が整っていないことが多いです。さらには、いざ入居して初めは楽器演奏が可能となっていても、他の住民からクレームでも入ってしまえば一切の楽器演奏禁止となることも有り得ます。そのためには、すぐに物件を決めずに慎重になるべきでしょう。
楽器演奏できる物件の価格は高額なのか
そして気になるのが、マンションの金額です。楽器演奏ができるというのは、通常のマンションよりもかなり特殊で防音対策がとられているため、その分高くなってしまうのかというのは気になるところではないでしょうか。実際、どうなのか見ていきましょう。
完全防音されているほど家賃は高い
防音対策がしっかりされているところほど、家賃の金額は高めとなっています。例えば、防音マンション、防音室付きマンションが通常よりは高めです。そして、時間帯限定で演奏できるマンションや、音の大きめ楽器演奏ができるマンションは、通常より少し高い程度となっています。
また、楽器応相談物件は、通常のマンションと大差はないところが多いです。高めでも防音対策がされている方が良ければ、防音マンションや防音室付きマンションがおすすめです。
楽器演奏OKの物件の売却は高額になることもある
楽器演奏ができるマンションというのは意外と少ないため、音楽に携わり、かつ楽器奏者の方でそのようなマンションを探しているという人は多いです。そのため、常に需要があるのは間違いないでしょう。そして、そういった楽器演奏可能物件は売却するときは高額になることもあります。
・防音対策が完備されてる
・演奏可でも条件有りがある
・防音性高ければ家賃は高め
楽器演奏可能マンションを探すときのポイント
続いては、楽器演奏ができるマンションを探すときのポイントを見ていきましょう。楽器演奏可能な物件というのは案外少なく、探すのも大変ですが、ポイントを押さえておくと案外見つかることもあります。マンション選びを失敗しないために、ポイントを身に付けておきましょう。
楽器演奏可能や応相談などの記載は必ずチェックすること
仮に「楽器演奏可」や「楽器応相談」と記載されている場合は、注意しておかないといけません。文字面通り信じず、慎重に考えましょう。というのも、防音設備が整っていない部屋が多く、弦楽器や打楽器、金管楽器は禁止ということも有り得ます。夜間の演奏も難しいため、趣味程度の人向けとされています。
さらに楽器に関して記載されていない場合は、基本的には楽器不可と思っておきましょう。仮に相談してOKとなっても、住民から苦情が入ってしまえば禁止になることも考えられます。
音楽系大学周辺の物件は防音対策されていることが多い
居住する地域にこだわりや、離れられない事情というのが無ければ、音楽大学や音楽系の学部のある大学周辺は、楽器演奏可能マンションが多いです。音大に通う学生といえば、何かしら楽器を演奏する人が多いため、家に楽器を持ち帰って練習する学生もいます。そうすると、防音設備のあるマンションに住む人が多いのです。意外と狙い目なため、探してみても良いでしょう。
防音具材も実際にモデルルームで体験してみる
マンションのモデルルームでは、実際に防音性がどのくらいかを体験できる場所があります。マンションの一室を体験や見学できるよう開放しているのですが、そういったモデルルームで実際体験してみることで、防音性がどのようなものかを確かめることができます。
すべての防音マンションで体験できるとは限らないため、そのような体験ができるマンションを探してみるのも良いでしょう。
・記載内容をしっかり確認
・音大周辺物件が狙い目
・防音体験できる場所がある
楽器演奏のための引っ越しは考えていないときの対処法
楽器演奏できるマンションは、楽器奏者からしたらとても魅力的です。しかし、そのために引っ越しするのは難しいという場合はどうしたら良いのかについて紹介していきます。諦めなくても、楽器演奏のために対策をすることは可能です。自分でできることを行ない、音楽を楽しめる環境を整えましょう。
リフォームして防音対策をする
わざわざ引っ越しまでしなくても、リフォームで防音工事をすることで、防音対策が可能です。後からでも壁や床は二重構造にリフォームできますし、防音ドア、遮音シート付き換気扇などを用いて音が漏れないようにすることもできます。
但し、費用面はどうしても必要で、おおよそではありますが、大体6帖で工事費用は200万円~250万円ほどかかってくるでしょう。それ以上に広い部屋ならば、もっとかかります。
部屋の中に防音スパースを作る
通常のマンションの部屋の中に、防音スペースとなる部屋を作ることもできます。部屋全体を防音対策するとなると費用もかなりかかるため、全部屋とかでなくても良いのなら、防音スペースを検討してみてはいかがでしょうか。
防音対策された独立型タイプ
遮音性能が高く、防音ドアでできた部屋で、楽器の大きさによっても部屋の広さを選ぶことができます。声楽やフルートなどの場合ですと小型部屋で良いので、そうするとおおよそ60万円からとなっています。他には、アップライトピアノの場合は2.0~2.5畳、グランドピアノの場合は3.0~3.5畳は必要でしょう。2.0畳なら80万円台、3.0畳なら100万円台です。
また、部屋の壁などを傷つけないため、引っ越しのときにも移設や撤去もしやすいというのがメリットでしょう。
防音室をDIYで手作りする
防音室は、自作することもできます。そのために必要なのが市販の防音シート、防音カーペット、防音カーテンです。これらを使って防音対策をとることができるとされています。しかし、防音対策をとったとしてもあくまでも自作です。完璧な防音とはなりませんので、期待し過ぎないようにしましょう。
また壁などに固定するなど、賃貸マンションで行う場合は大家の許可を貰ってから行いましょう。
隣室に近い壁側に家具を置く
意外と簡単にできる防音対策が、壁側に家具を置くことです。隣との壁が薄いようなマンションですと、隣の生活音が聞こえてきてしまいます。逆も然りで、隣の音が聞こえるということはこちらの音も相手に聞こえているということです。
そういったときに、壁側に家具を置くことで隣への音の影響を軽減させることができます。防音の効果は期待できるほどではありませんが、全くしないよりはマシになるため、試してみる価値はあるでしょう。
ミュート機能のあるもので音を遮断
ミュート機能のある楽器での練習なら、家でも気兼ねなく楽器演奏することができるでしょう。優れた消音性能、しかし音程は安定しているというものです。楽器に差し込むような形で使い、例えばトランペットの場合は、音が出る箇所に差し込みます。
では音はどう聴くのかというと、イヤホンで繋がっていますので、外部には漏れないけれど自身の耳でしっかり聴けます。金管楽器などは、このようなミュート機能を付けると便利です。
ピアノの場合はソフトペダルを踏み、弱音にすると良いでしょう。ヘッドフォンで接続できる電子楽器に変えてみても良いですし、近年ではミュート機能のある商品は増えてきていますので、利用するのをおすすめします。
カラオケルームを活用する
引っ越しも難しい、加えて防音対策をとるのも難しいという場合は、カラオケルームを利用してみることもひとつの方法です。カラオケルームの建物は防音対策がとられています。そのため、カラオケの会社によっては楽器演奏可能な場所もあるため、まずは事前に演奏可能か確認した上で、持ち運びできる楽器の場合は活用してみましょう。
・自分で防音対策をする
・ミュート機能商品を利用
・カラオケなら防音完備
楽器演奏によるトラブル・演奏者としての心構え
楽器演奏して練習に励むのは悪いことではありませんが、演奏者としてはしっかりと心得ておかないといけないことがあります。トラブルに発展することもあるため、しっかり心得ておきましょう。
楽器の音以外にも騒音となることもある
いくら演奏する音を消しても、楽器によっては音が出てしまいます。例えば鍵盤やドラムを叩く音と振動は、防音対策のとられていないマンションだと他の部屋に伝わってしまう可能性もあります。その場合は、楽器の下に振動を軽減するように防音シートやカーペットなどを敷くようにしましょう。
綺麗な音色でも、近隣にはただの騒音にしか過ぎない
いくら綺麗な音色で楽器を奏でたとしても、音楽に興味のない人からしたら、ただの騒音です。音というのは嫌でも耳に入ってきてしまうものですので、それが騒音トラブルに発展し、最悪の場合は裁判ということも考えられます。
マンションなどの集合住宅は、自分だけがそこに住んでいるわけではありません。常に周囲を思いやるという気持ちと、守るべきことがしっかり守っていくようにしましょう。
・防音シートやカーペット
・演奏者以外には騒音
・思いやる気持ちが大切
楽器演奏可能マンションへ移り住むのなら
楽器演奏ができるマンションを探すのは、決して容易ということではありません。音大の近くなどでは見つけやすい場合もありますが、実際はなかなか少ないでしょう。そして、そう簡単に引っ越しもできないという事情があることもあります。防音対策をとるのにもそれなりに金額はかかるため、簡単には決断はできません。
しかし、楽器演奏者にとっては楽器演奏できる場所を確保することがとても重要なことです。もし、引っ越しするという場合は、本当に楽器演奏ができるのかどうか、決まり事はあるかどうか、必ず物件の概要のチェックをして、不動産会社にもしっかり確認し、準備万端な状態に整えましょう。