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不動産売買で提出される買付証明書|効果的な書き方と活用方法

  • 更新日:2021年6月16日
不動産売買で提出される買付証明書|効果的な書き方と活用方法

多くの不動産物件を眺めているうちに、「これぞ」という物件にたどり着いたとします。いち早く売主に連絡をして購入の意思表示をしないと、同じ物件を狙っている別の買主に買われてしまうかもしれません。そんな焦りの中、最初になにをすればいいのでしょうか。
おそらくは、まず不動産会社に連絡を入れることから始めることになるでしょう。そして、対象物件に興味があることを伝えます。しかし、口頭で伝えただけではなかなか安心できないのが買主の心情というもの。なにかしら形になるものが手元に欲しくなると思います。
そんなとき、売買契約に至る前の意思表示を文書にしたものとして、買付証明書があります。物件に興味があることを表明し、これから交渉に臨むことを売主や不動産業者に伝えた「しるし」となるでしょう。この記事では、買付証明書の役割とその書き方、また効果的な活用方法などについて取り上げます。

不動産売買で提出される買付証明書とは

不動産売買においては、さまざまな段階で多くの書類が交わされることになりますが、買付証明書は最初に作成される書類のひとつです。その定義について調べてみましょう。

不動産を購入する意思がある旨を表明する書面

買付証明書は、不動産の購入希望者が売主や仲介する不動産会社などにあてて、「不動産を購入する意思がある旨」を表明する書面のことです。「証明書」とはいっても、購入を約束したり、あるいは優先的な購入の権利を得るためのものではなく、あくまで購入希望者の一方的な購入意思を差し入れる手段にすぎません。
もちろん買付証明書だけで売買契約には至ることはなく、また、購入希望者はいつでも自由に買付証明書を撤回できます。法的な拘束力もありませんので、買付証明書を取り下げたからといって、なんらのペナルティを負う必要はありません。

買付証明書と購入申込書は同じ性質

例外を除いて、土地付き戸建て住宅や分譲住宅などでは、不動産会社などの仲介を入れずに、売主と直接取引するケースも多いことでしょう。その場合は、「購入申込書」という書面に必要事項を書き入れて提出します。購入申込書も買付証明書と同じ性質を有するのものです。

売主側は売渡承諾書を提出

購入意志のある買主から提出された買付証明書に対し、売主は「売渡承諾書」を提出します。これは売渡証明書とも呼ばれ、買主が買付証明書で提示してきた交渉条件に対しての回答を示すとともに、売却の意思と売却優先順位などを明文化したものとなります。
買付証明書同様、売渡承諾書にも法的拘束力はなく、あくまで価格や売買条件の交渉を書面化したものと考えるとよいでしょう。売渡承諾書を受け取ったからといって売買が確約されたわけではありません。

買付証明書を提出するメリット

法的拘束力もなければ、売買を確約するために取り交わす書面でもない買付証明書。それでは、買付証明書を提出するメリットはどこにあるのでしょうか。

購入するチャンスを得られる

せっかく気に入った不動産物件を見つけたとしても、買主側から手を挙げなければ、売主には気づいてもらうことができません。まずは希望額を素直に書いて提出してみましょう。買付証明書を提出することは、交渉プロセスの中に確立された手段ですので、躊躇する必要はありません。
相場に比べてあまりにかけ離れた希望額を書いてしまうと、さすがに相手にしてもらえないということはあるかもしれませんが、売主や仲介業者にあまり気をつかわず、自分の思った評価額を提示してみてください。運が良ければそのままの金額で購入できることもあるかもしれません。

値下げの通知が優先的にもらえる

売主の売却希望価格に遠く及ばないような、大胆な指値を記入して買付証明書を提出した場合、売主との合意に至らないケースは確かに多くなります。特に、売り出し直後の物件だったり、新築物件だったりする場合は、売主側もまだ強気ですので、なかなか値下げには応じてくれないでしょう。
しかし、なかなか買手がつかずに時間が経過し、それが3カ月、そして半年となると、さすがに売主側にも焦りが出てくるものです。仲介業者にしても同じで、売買契約が締結されない限りは、いつまでたっても仲介手数料などの収入は得られません。
そうなると、売主も値下げにやや柔軟な態度を示すようになり、仲介業者はこれまでにオファーのあった買主に対して、あらためて連絡を取るようになります。値下げ情報が市場に広まる前に、優先的に知らせてくれることもあるでしょう。

仲介業者とのパイプができる

仲介業者にとって、過去に買付証明書を提出した顧客は、物件に一度は関心を示してくれた、いわゆる「見込み客」です。なかなか物件が売れない状況が続いた場合、業者としては売れる可能性が高い顧客として、値下げ通知を持って真っ先に訪ねることになります。
仲介業者としても、購入にある程度前向きであるということを理解してくれているので、他の顧客よりも重要度が高くなります。たとえ今回は売買契約に至らなかったとしても、そこには商売上のパイプができあがり、新たな不動産情報を優先的に持ってきてもらえることもあるでしょう。

買付証明書の作成の仕方

買付証明書には、法的に定められた様式はありません。したがって、よく用いられているサンプルを参考にしながら作成することになります。仲介を行う不動産会社が用意してくれた場合は、それに準ずるようにしましょう。

一般的な記載事項

買付証明書の公的な様式はないものの、購入意志を示す書類として最低限必要となる事項はいくつかあります。以下は、一般的な記載事項ですので参考にしてください。

購入希望価格

購入希望金額を決める際の指標として、物件概要書に記載されている物件価格を参考にすることが多いようです。物件概要書に記載されている内容に対し、価格が納得できるものであれば、買付証明書にも同額を記載してかまいません。
しかし、多くの場合は値引き交渉をして物件概要書に記載されている金額より安い値段で購入したいと考えるでしょう。その場合は「指値」を記載します。「この値段なら買います」という意思表示になりますが、あまり売主の希望額とかけ離れ過ぎないように注意しましょう。

手付け金の金額

正式に不動産売買の契約を結んだ際に、買主から売主に預ける金銭のことを手付金といいます。一般的な契約では、契約締結以降に買主がキャンセルした場合には、違約金として手付金が売主のものになります。また、売主がキャンセルしたときには、違約金として手付金の倍の金額が買主に支払われます。
なお、買付証明書には物件価格の5%から10%程度の金額が記入されることが多いですが、建築中の物件の場合、手付金は物件価格の5%まで、建築中以外の物件は物件価格の10%までと法律で定められています。また、売買契約成立時には、物件代金の購入価格に充当されます。

住宅ローンの額

不動産の購入の際には、多くの場合に住宅ローンを利用することになるでしょう。しかし、売主側にとっては融資が実行されるまで売買が成立するかわからないというリスクが存在します。融資が下りなかった場合は、他の購入希望者と交渉をする必要があり、契約成立までの期間が長期化する原因となります。
したがって、住宅ローンの額は融資が実行される可能性を判断するための重要な要素であり、買主の社会的信用力なども考慮して、交渉継続が妥当かどうかが見極められます。また、住宅ローンの審査が通らず融資が下りなかった場合、契約を撤回できる「融資特約」利用の有無についても記載しましょう。

契約希望日・引渡し希望日・有効期限

契約や引渡しまでのスケジュールを明確にし、価格交渉にあたっての時間軸をイメージするためにも、契約希望日や引渡し希望日を記載します。また買付証明書そのものの有効期限も記載しましょう。概ね1カ月程度を目安にするとよいようです。
売主の購入希望額と買主の売却希望額に差があった場合など、双方の妥協点に落ち着くまで時間がかかることもあるため、買付証明書の有効期限はある程度余裕を持っておく必要があります。

その他の記載事項

金額やスケジュールの他にも、土地・建物に関する事項や構造などについても記載します。物件概要書と重複する内容ですが、買付証明書のベーシックなフォーマットとしては、必ず記載される項目です。

土地・建物に関する情報

土地や建物に関する情報としては、宅地・田・畑などに分類された地目、公図上に記載されている地番、建物の総面積である延べ床面積などです。また、建物の構造を示す木造・軽量鉄骨・重量鉄骨・RCといった情報も記載します。

年収などの情報

買主の資金力は、売買契約締結が円滑に進むかどうかを判断する指標となります。年収の記載までは要しないこともありますが、記載が必要な場合は源泉徴収票に記載されている給与の支払金額や、給与収入と事業収入の合算額を記載します。

買付証明書の提出だけでは契約は成立しない

買付証明書の提出は購入希望の意思表示であり、そこには希望金額が記入されます。書面での提出であることから、契約書に準ずるように感じることもありますが、それだけで契約が成立するわけではありません。

売買契約の成立について

一般に、契約成立には書面は不要です。口頭であっても、当事者双方が合意し、申込と承諾が合致すれば契約は成立します。しかし不動産は生活上の重要な財産であり、取引される代金は高額なので、不動産取引に際しての契約は慎重かつ確実に行われなければなりません。
そこで通常は、口約束だけではなく契約書を作成して契約成立を約することが慣行となっています。買付証明書には、詳細な契約条件こそ記載されていませんが、対象物件が特定され購入希望金額も明記されています。
また、購入希望の意志が反映された書面であることから、これをもって売買契約が成立したのではないかと考えられることもあります。しかし、法的にはあくまで契約書の取り交わしが必要であり、買付証明書の提出だけでは売買契約は成立しません。そのことは過去の判例にも明らかです。

買付証明書を提出する時の注意点

買付証明書は法的拘束力がないからといって、やみくもに発行してもよいというものではありません。提出する際の注意点について見ていきましょう。

損害賠償責任が認められる場合もある

買付証明書を取り下げても特にペナルティが無いからと言って、一方的に交渉を打ち切ってもよいわけではありません。特に、契約準備がある程度進んでいる状態で買付証明書を取り下げるときは、合理的な理由が必要となります。
売買契約の締結に対する期待を抱かせておきながら、正当な理由もなく一方的に契約締結を拒むと、その損害に対して賠償責任が生じる場合があります。ひとたび契約の準備段階に入ったら、その当事者は互いに相手方に損害を被らせないようにすべき義務があるのです。
これに違反して損害を与えた場合には、信頼を裏切ったことによる損害(信頼利益といいます)を賠償すべきとされており、これを契約締結上の過失責任といいます。過去には、購入希望者に対して賠償金の支払い義務があるとした判例もありますので、注意しましょう。

安易な取り下げは不利益になることも

契約締結上の過失による責任を問われることが無いケースであったとしても、これといった理由もないのに買付証明書を安易に取り下げることは避けるべきです。確かに不動産取引では、交渉を重ねても買主と売主の条件が折り合わず、契約まで至らないことはよくあります。
買付証明書が提出されると、仲介業者は売主に連絡をしたり、価格交渉のための資料作りをしたりといった活動を行いますので、営業経費が発生します。買付証明書を取り下げても、もちろん違約金は発生しませんが、仲介業者に無駄な手間を掛けさせたり、売主の期待を損ねることにもなります。
合理的な理由のない理不尽なキャンセルを繰り返していると、仲介業者の信頼も失い、やがてはマークされ始めることにもなりかねません。買付証明を取り下げる際は、きちんと理由を伝えて、仲介業者や売主との信頼関係を壊さないようにしましょう。

不動産を売却する場合は売渡承諾書を作成する

買主が買付証明書の提出で購入意志を示すように、売主も不動産を売却する意思があることを示す書類として、売渡承諾書を作成します。

売渡承諾書とは

買主からの買付証明書に対する応答として、売主は売渡承諾書を作成・提出します。売主が所有する不動産を売る意思があることを購入希望者に示す書面であり、買付証明書と同様、売渡承諾書にも法的拘束力はないとされています。したがって、価格交渉の折り合いがつかず、売渡承諾書を取り下げたとしても、損害賠償等のペナルティはありません。
売渡承諾書は、それを受け取った買主にとって、不動産売買のための交渉権を得たことの確認になります。また、買主が住宅ローンの審査を受ける際にも、購入予定物件の取得可能性を金融機関が判断するための材料となります。

一括査定で市場価値を知る

複数の購入希望者から買付証明書を受け取った際、おそらくさまざまな購入希望価格が示されることでしょう。早めに売却を進めたいところではありますが、売主にとっては、所有する不動産の市場価値がどの程度なのか、客観的に判断したいところです。
信頼できる不動産業者の仲介を得て、適正な売却価格を見極めることも大切になるでしょう。

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買付証明書には希望の不動産を購入しやすくする効果を期待できる

法的拘束力こそないものの、不動産売買契約に至るまでのプロセスで重要な役割を果たす買付証明書。価格交渉に臨むためのステップとして欠かせません。

不動産買い替えの不動産業者探しはすまいステップが便利

条件の折り合う不動産が見つかったなら、購入に向けてのはじめの一歩は買付証明書の提出です。売主に購入希望の意思を示すとともに、競合する買主の中から選択してもらうためのアピールにもつながります。購入希望金額の数字的な面だけではなく、社会的信用なども含めて判断してもらうことで、優先的な交渉権を得られる可能性もあるでしょう。
不動産買い換えの際は、売買契約に臨む前の初期段階から安心して相談できる不動産業者を選ぶことが重要となります。価格交渉を有利に進めるためにも、まずはわずか60秒の簡単入力で最大6社からの一括査定ができるすまいステップで、不動産業者探しをてみてはいかがでしょうか。

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