「不動産を売却するとどんな税金がかかるの?」
不動産を初めて売却する場合、こんな疑問を抱く方が少なくないのではないでしょうか。
不動産売却をすると、「譲渡所得税(所得税・住民税)」「登録免許税」「印紙税」の4つの税金がかかります。
税金の種類 | 概要 | 金額 |
---|---|---|
譲渡所得税(所得税・住民税) | 不動産売却で得た利益にかかる税金 | (売却価格 ー 取得費用 - 譲渡費用 - 特別控除額 ) × 税率(20%~39%) |
登録免許税 | 不動産の名義変更にかかる税金 | 固定資産税評価額×税率(1.5%~3%) |
印紙税 | 売買契約の締結にかかる税金 | 2,000円~2万円 |
それぞれの税金の支払時期を時系列順に並べると、以下の図のようになります。
この記事では、不動産売却に利益にかかる税金(譲渡所得税)について、概要や税額の計算方法を解説していきます。
また、不動産売却にかかる税金を節約する方法についても、ポイントを絞って掲載しました。
不動産売却を考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
不動産売却の利益には「譲渡所得税」がかかる
不動産を売却して利益が出た場合、売り主には「譲渡所得税」が発生します。
「譲渡所得税」とは、不動産売却で得た利益(譲渡所得)にかかる所得税・住民税の総称です。
不動産売却で得た利益は「個人の所得」とみなされ、会社員の給与や個人事業主の収入と同様に所得税・住民税が課せられるのです。
なお、2037年までは、復興特別所得税と呼ばれる税金が所得税にあわせて徴収されます。
なお、譲渡所得税は、売却した金額の総額ではなく、売却した金額から諸経費や購入費用を除いた「譲渡所得」の額に応じて課せられます。
譲渡所得税の計算式は、「(売却価格 ー 取得費用 - 譲渡費用 - 特別控除額 ) × 税率(20%~39%)」です。
不動産を売却して手元にいくら残るか知りたい方は、不動産会社で査定を受けましょう。
不動産の売却にかかる税金・費用などは、売却額によって変わります。
正しい手取り額を知るためには、正確な査定額を把握する必要があります。
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譲渡所得が出たら確定申告が必要
譲渡所得税は分離課税という種類の税金なので、給与所得・事業所得などの所得とは別で税金を計算します。
そのため、不動産売却で譲渡所得が発生した場合には必ず確定申告が必要になります。
不動産売却で利益が出なかった場合は非課税になりますが、利益が出た場合、不動産売却のなかで最も高額な税金となりえます。
ただし、「3000万円の特別控除の特例」や「相続した空き家の3000万円特別控除」といった譲渡所得税を控除する制度が存在するため、不動産売却で譲渡所得税を支払うケースは意外と少ないです。
譲渡所得税額の早見表【居住用財産】
「難しい計算はせずに、とりあえず譲渡所得税が発生するかどうかだけ知りたい!」
そんな方のために、「居住用財産の譲渡所得税」の早見表をご用意しました。
以下の早見表で、譲渡所得と所有期間から自宅または相続した空き家を売却した際の譲渡所得税額を大まかに知ることができます。
譲渡所得を計算する際には、売却価格から購入したときの価格や売買にかかった手数料を引くのを忘れないようにしてください。
【譲渡所得税額の早見表】
自宅 | 相続した空き家 | ||||
---|---|---|---|---|---|
譲渡所得 | 所有期間 5年以下 | 所有期間 5年超10年以下 | 所有期間 10年超 | 所有期間 5年以下 | 所有期間 5年超 |
3000万円 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 |
4000万円 | 396万円 | 203万円 | 142万円 | 396万円 | 203万円 |
5000万円 | 792万円 | 406万円 | 284万円 | 792万円 | 406万円 |
6000万円 | 1188万円 | 609万円 | 426万円 | 1188万円 | 609万円 |
7000万円 | 1585万円 | 812万円 | 568万円 | 1585万円 | 812万円 |
8000万円 | 1981万円 | 1015万円 | 710万円 | 1981万円 | 1015万円 |
9000万円 | 2377万円 | 1218万円 | 852万円 | 2377万円 | 1218万円 |
1億円 | 2774万円 | 1422万円 | 994万円 | 2774万円 | 1422万円 |
- 計算条件の詳細はこちら
- 自宅は「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」「マイホームを売ったときの軽減税率の特例」を適用した場合の金額を計算しています
- 相続した空き家は、「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」を適用した場合の金額を計算しています
- 所有期間は、売却した年の1月1日現在において、所有期間が5年以下か、5年を超え10年未満か、10年を超えているかにより判断しています
いかがでしょうか。
より正確な譲渡所得税額を知りたい場合や、非居住用財産の譲渡所得税を確認したい場合は、「譲渡所得税の計算方法」の章を見ながら実際に計算してみてください。
不動産売却の譲渡所得税の計算方法
この章では、譲渡所得税を実際に計算する方法を詳しく解説します。
簡単に譲渡所得税の税額を知りたい方は、不動産売却の税金シミュレーションで算出できます。
譲渡所得税は、売却価格から売却にかかる経費(=譲渡費用)と不動産の購入にかかった費用(=取得費用)を差し引いて譲渡所得を計算し、譲渡所得に税率をかけることで求めることができます。
売却価格
売却価格とは、不動産が売れた価格のことです。
正式には、「譲渡価額」と呼ばれます。
取得費用
取得費用とは、売却した不動産を取得するのにかかった費用のことです。
具体的には、以下のような費用が取得費用に含まれます。
- 不動産の購入代金
- 不動産購入時にかかった税金
- 不動産購入にかかった仲介手数料
- 建築にかかった費用
- 設備費用
なお、相続した不動産などで実際の取得費が不明の場合は、譲渡価額の5%を概算取得費とすることができます。
また、売却する不動産が建物の場合、取得費用の合計から「減価償却費」を引く必要があります。
減価償却費とは、時間の経過とともに減少した建物の価値の減少分をあらわす費用で、以下の計算式で計算できます。
構造 | 耐用年数 | 償却率 |
---|---|---|
木骨モルタル造 | 30年 | 0.034 |
木造または合成樹脂造 | 33年 | 0.031 |
金属造骨格材の肉厚3mm以下 | 28年 | 0.036 |
金属造骨格材の肉厚3mm以下 | 40年 | 0.025 |
金属造骨格材の肉厚3mm以下 | 51年 | 0.020 |
れんが造、石造又はブロック造 | 57年 | 0.018 |
鉄骨鉄筋コンクリート造又は鉄筋コンクリート造 | 70年 | 0.015 |
譲渡費用
譲渡費用とは、不動産の売却にかかった費用を指します。
具体的には、以下のような費用が譲渡費用に含まれます。
- 仲介手数料
- 土地の測量等にかかった費用
- 貸家の売却に際して支払った立退料
- 土地を売った際の建物の解体費用
特別控除額
特別控除額とは、政府の設けている特別控除の特例の条件を満たすことで、譲渡所得から控除できる金額のことです。
例えば直近まで住んでいた自宅の売却の場合、条件を満たせば譲渡所得から3000万円を差し引くことができます。(マイホームの3000万円特別控除)
特別控除の特例については売却する不動産によっていくつか種類があるので、「譲渡所得税を控除する制度」の章で詳しく解説していきます。
税率
譲渡所得税にかかる税率は、売却する不動産の所有期間によって異なります。
不動産を売った年の1月1日現在でその不動産の所有期間が5年を超える場合、「長期譲渡所得」の税率20.315%が適用されます。
不動産の所有期間が5年以下の場合は、「短期譲渡所得」の税率39.63%が適用されます。
譲渡所得の種類 | 所得税率 | 住民税率 | 合計税率 |
---|---|---|---|
短期譲渡所得 (所有期間5年以下の場合) | 30.63% | 9% | 39.63% |
長期譲渡所得 (所有期間5年超の場合) | 15.315% | 5% | 20.315% |
不動産の譲渡所得を計算する際に用いる所有期間は、売却した年の1月1日時点を判断基準にするので注意が必要です。
例えば、2015年4月1日に購入した不動産を2020年4月1日に売却した場合、2020年1月1日時点の所有期間は4年なので短期譲渡所得となります。
所有期間が5年以下だと税率が倍近く変わるので、注意して売却時期を見定めるようにしましょう。
譲渡所得税の計算例
ここまでで見た情報をもとに、譲渡所得税を事例に沿って計算してみましょう。
今回の計算に用いる事例は以下の通りです。
- 新築で購入したマンション(居住用・鉄筋コンクリート造)
- 築年数14年
- 4000万円(うち建物費用2500万円)で購入
- 6000万円で売却
- 取得にかかった諸費用200万円
- 譲渡にかかった諸費用300万円
まずはじめに、取得費用を計算しましょう。
取得費用は、不動産の購入価格に取得費用を足し、そこから減価償却費を差し引いて算出します。
取得費用 = 不動産の購入価格4000万円 + 取得にかかった諸費用200万円 -472.5万円 = 3727.5万円
譲渡所得は、売却価格から取得費用と譲渡費用を差し引いて算出します。
これにより、今回のケースにおける譲渡所得は1972.5万円であることが分かりました。
最後に、譲渡所得から特別控除額を差し引いた金額に税率をかけて、譲渡所得税を算出します。
今回は居住用不動産(マイホーム)の売却なので、「マイホームの3000万円特別控除」を適用することができます。
今回は「マイホームの3000万円特別控除」の適用により、譲渡所得がマイナスとなったため、譲渡所得税は発生しません。
不動産売却の譲渡所得を控除する制度
最後に、不動産売却にかかる譲渡所得税を控除するための特例をいくつかご紹介します。
リンクからそれぞれの特例の詳細や適用条件を見ることができるので、ご所有の不動産にあった特例を確認してみてください。
【不動産売却にかかる譲渡所得税控除の特例】
一点注意していただきたいのは、いずれの特例も適用のために確定申告が必要であるこということです。
不動産売却をした方は、翌年の確定申告時期に必ず譲渡所得について確定申告を行いましょう。
マイホームの3000万円特別控除
自宅を売却した際、条件を満たせば譲渡所得から最大3000万円を控除することができます。(No.3302 マイホームを売ったときの特例)
マイホームの3000万円特別控除の適用条件は以下の通りです。
- 売却した不動産が自宅である(別荘不可)
- 過去2年以内にマイホームの3000万円特別控除の特例、譲渡損失の損益通算および繰越控除の特例を受けていない
- 過去2年以内にマイホームの買換えやマイホームの交換の特例の適用を受けていない
- 売手と買手が、親子や夫婦など特別な関係でない
- 現在住んでいる、あるいは住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却している
- 災害によって滅失した家屋の場合は、その敷地を住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却している
マイホームを売ったときの軽減税率の特例
所有期間が10年を超える自宅を売却した際、条件を満たせば譲渡所得税の税率を14.21%まで下げることができます。(No.3305 マイホームを売ったときの軽減税率の特例)
また、この特例はマイホームの3,000万円の特別控除と併用ができます。
マイホームを売ったときの軽減税率の特例の適用条件は以下の通りです。
- 売却した不動産が日本国内の自宅である(別荘不可)
- 過去2年以内にマイホームを売ったときの軽減税率の特例を受けていない
- 過去2年以内にマイホームの買換えやマイホームの交換の特例の適用を受けていない
- 売手と買手が、親子や夫婦など特別な関係でない
- 現在住んでいる、あるいは住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却している
- 災害によって滅失した家屋の場合は、その敷地を住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却している
- 売った年の1月1日において売った家屋や敷地の所有期間がともに10年を超えている
相続した空き家の3000万円特別控除
相続した空き家を売却した場合、条件を満たせば譲渡所得から最大3000万円を控除することができます。(No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例)
相続した空き家の3000万円特別控除の適用条件は以下の通りです。
- 相続した空き家もしくは空き家の建っていた土地を更地にして売却している
- 昭和56年5月31日以前に建築されている
- 区分所有建物登記がされている建物でない
- 相続の開始直前において、被相続人以外に居住者がいなかった
- 相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却している
- 売却時に一定の耐震基準を満たしている
- 相続から売却までに賃貸に出したり、居住したりしていない
- 売却代金が1億円以下である
不動産売却の譲渡所得税の節税方法
譲渡所得税は、不動産売却にかかる税金の大半を占める、負担の重い税金です。
しかし同時に、控除の特例などが充実している税金でもあります。
適切な知識さえあれば、譲渡所得税はかなり節税することができるのです。
この章では、譲渡所得税を最低限におさえるためのポイントを解説していきます。
- 自宅は10年以上所有してから売る
- 相続した実家は相続から3年以内に売る
- 相続税を取得費に加算する
- 譲渡所得が出たらふるさと納税をする
自宅は10年以上所有してから売る
譲渡所得税を節税するための方法の1つ目は、「自宅は10年以上所有してから売る」です。
先述のとおり、不動産を売却したときの譲渡所得税の税率は、不動産の所有期間によって変わります。
特に自宅に関しては、所有期間が10年を超えると、所有期間5年の場合と比較して譲渡所得税率が15%も低くなります。
例えば、譲渡所得が4000万円だった場合、所有期間が5年以内だと譲渡所得税は396万円ですが、所有期間が10年以上だと142万円になります。
納税額が250万円近く違うのは、かなり大きいですよね。
相続した空き家は相続から3年以内に売る
譲渡所得税を節税するための2つ目の方法は、「相続した実家は相続から3年以内に売る」です。
両親等の住んでいた空き家を相続した場合、相続から3年以内に売却すると、マイホームの3000万円特別控除と同じ効果が得られます。
3000万円の控除があるかどうかは、譲渡所得税を節税をする上で非常に重要です。
特に、実家などは取得費用がわからなくなっているケースも多く、取得費用が安く計算されがちなので、譲渡所得税が出やすいです。
住む予定のない相続空き家は、早めに売却することをおすすめします。
相続税を取得費に加算する
相続によって相続税が発生しているケースでは、課税された相続税を不動産の取得費用に含めることができます。
これを、「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」と呼びます。(国税庁 No.3267)
なお、この特例は相続税が課税された人しか使えないので、利用する前には自分が相続税を課税されたどうかを確認しましょう。
相続において相続税が発生しないケースも少なくありません。
譲渡所得が出たらふるさと納税する
不動産を売却して得た利益は、給料などと同じくその人の所得です。
そのため、不動産売却をして譲渡所得が出た年は、年間の所得が増えているという認識になります。
譲渡所得による所得の増加もふるさと納税控除の上限額の引き上げになるので、譲渡所得が出た年は、控除内でいつもより多くの返礼品をもらうことができます。
まとめ
不動産売却にかかる税金は譲渡所得税・登録免許税・印紙税の3種類で、このうち譲渡所得税が大部分を占めます。
しかし、控除の特例の条件を満たせば、譲渡所得税を大きく減らすことができます。
特例の利用を忘れて損をすることがないよう、早めに売却する不動産に適用できる特例を見つけておきましょう。
なお、「自宅が控除の特例の条件を満たしているか自分じゃ判断が難しい……」という場合には、不動産会社に相談してみましょう。
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